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#15 じゃあ私は南比布だ 南比布駅(比布町・宗谷線)

無人駅めぐり

北比布駅を紹介して、セットでこの駅をとりあげない手はないでしょう。

「僕、北比布」

「じゃあ私は南比布だ」

だけではありません。様々な要素から、北比布と南比布(みなみぴっぷ)は双子のような存在なのです。

まず、北比布駅の開業は1955年12月2日、当時は駅ではなく北比布仮乗降場として開業しました。そして南比布駅の開業も全く同じ日です(こちらも開業当初は南比布仮乗降場)。当時の比布村の設置運動により開設されました。

のちに1959年に双方の仮乗降場が正式に駅に昇格し、それぞれ北比布駅と南比布駅になります。国鉄の分割民営化がきっかけで仮乗降場から駅に昇格したものも多いですが、この両駅は分割民営化前に駅に昇格しています。駅への昇格も2駅同時です。

2014年には、両駅の待合所が老朽化のため解体され、新しい待合所が建てられます。そしてお揃いのもの(左右対称のもの)が建てられたのです。それまでの古い待合所は両駅で異なるものでしたが、形状は似ていました。

ずっと一緒だった両駅は、2021年3月13日、利用者僅少のため、同時に廃止されます。

ここまでの双子駅というのは、なかなか珍しいのではないでしょうか。

さて、南比布駅の風景に移ります。

雪原に佇む小さな駅、に見えますが実は・・・

駅のすぐ横を、国道40号(名寄国道)がオーバークロスしています。国道の交通量は多く、車の音はかなり聞こえます。でもほとんどの人は、道路の下にこんな小さな駅が隠れているなんて思いもしないでしょう。

かつては国道40号も地べたを通っており、線路との交差部分には踏切があったようです。

待合室です。北比布と同じつくりですが、屋根の向きが反対ですね。

主要道路は駅の上。上を走っていく車の雰囲気は確かに感じ取れます。しかしそれに反して、駅の目の前の道路は、車通りがほとんどありません。いや、ほとんどどころか、滞在中は1台もありませんでした。雪山で道路が狭くなっていますが、何の問題もないのでしょうね。

雪原を真っ直ぐ貫く線路。果てしなく続いていくような錯覚を覚えます。真冬の道北、この鉄路の存在は、住民の方にとっても旅人にとっても心強いものです。それにしても、空も地面も真っ白の世界です。

夕方になっていき、少し空が青くなってくると、雪は激しさを増してきました。外にいるとザックにさえ雪が積もってしまうので、待合室の中に入ることにしましょう。

待合室のつくりは、基本的に北比布駅と変わりません。窓が2つありますが、そのうちの1つは雪山に覆われており、外を見ることができなくなっています。外から見ると、待合室自体が出入り口以外の3方を雪山に囲まれているんですよね。

「南比布駅 営業終了のお知らせ」の貼り紙が貼ってあり、寂しさを感じさせます。しかしその横には「寄せ書きをお願いします! ・・・(中略)・・・北比布駅が廃止になります」という別の貼り紙が。いや、確かに北比布駅も廃止になるので間違ってはいないのですが、明らかに「南比布駅が廃止になります」の間違いですよね。最後まで混同される北比布と南比布の両駅。南比布駅も「北比布と間違えられるなら別にいいか!」と思っていそうです。

鉄道施設よりも道路のほうが立派です。ここはいくら小さいとはいえここは駅です。駅の存在自体に気づかず通りすぎていく人がほとんどなのは、この南比布駅の特徴がもちろん主要因でしょうが、車社会の北海道、鉄道の地位の低さを如実に表すようにも感じられます。

雪はますます激しさを増し、寒さも堪えますが、これが道北の日常です。

(以上2021年2月訪問時)

南比布駅・2013年

2013年、まだ旧待合室が現役の頃の南比布駅です。

ホームはこんな感じです。雪がないだけで印象が異なります。

駅名標はこの頃から変わってないのではないでしょうか。隣駅は北永山で、旭川方面(南)から来ると永山・北永山・南比布・比布・北比布の順番に駅が並んでいます。なかなかわかりやすい並びではないでしょうか。

ちなみに南永山駅があれば完璧に思えますが、南永山はここ宗谷線ではなく石北線の駅としてあります。

ホームから国道の方を見渡せば、建物も散在しているようです。住んでいる方がいそうなだけに、駅の利用客がゼロに近いのは寂しいものですね。

かつての南比布駅の待合室です。木造であり、ブロック造りの北比布とは異なりますが、よく見ると形状が似ています。「JR南比布駅」の表示も、北比布駅のそれと共通のものに見えます。待合室の床は土間となっていました。そしてドアはありません。

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