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#14 僕、北比布! 北比布駅(比布町・宗谷線)

無人駅めぐり

「なんか来ないうちにおっしゃったらどう?」

「比布・・・(ガタンゴトンガタンゴトン 列車の通過音)」

「聞こえた?」

「ううん、何にも」

(中略)

「2、3日立っててみます?」

「僕、北比布」

「じゃあ私は南比布だ」

というピップエレキバンのCMで名前が登場した北比布(きたぴっぷ)駅。もちろん私は知らない世代ですが、聞いたことのある方も多いでしょう。名前だけは全国に放映されても、その姿を知る人は非常に少ないと思います。

北比布駅があったのは、旭川から北へ向かう宗谷線に乗り込んで30分程度のところです。旭川から比較的近く、この区間の列車本数は普通列車、快速列車合わせて1日上下12本ずつあります。一見たやすく訪問できそうな駅に思えますが、実際はそうではありません。当然快速列車はこの駅を通過しますが、普通列車でも半数が通過し、この駅に停車する列車は1日上下わずか4本ずつのみ。決して訪問が容易な駅ではないのです。

北比布駅は、板張りの短いホームと小さな待合室を持つ駅です。乗ってきた2両の列車は、後ろの1両が完全にホームから外れてとまっています。周囲は田園が広がるため、冬は辺り一面銀世界。遠くに何軒か人家が見えるものの、雪原の中と言って差し支えないでしょう。

乗ってきた列車は雪の中に消えていきました。

降りしきる雪は止みそうにありません。日が暮れるにしたがって、雪の色も空と同じ色に染まっていくように感じます。

駅前通りの様子です。360度同じ色の世界が広がり、方向感覚を見失ってしまいそうになります。当然のように、標識も街灯もありません。

真冬の道北の寒さは半端ではないです。でもだからこそ風景は美しいです。線路はずっと直線が続いており、なんだか距離感覚まで麻痺してしまいそうです。

待合室は2人入れば満員の大きさです。室内には、申し訳程度に小さな裸電球が1つあります。自分の体で影を作ってしまうと、手元が見えなくなるくらいの明るさです。

実はこの待合室、2014年に建て替えられたばかりの新しいものだったりします。

待合室は物置としても使われています。除雪用スコップが大小2つ置いてありました。待合室自体は簡素なつくりで、床は砂利敷きとなっています。

踏切が鳴り、通過列車が駆け抜けていきました。雪は風に流されるほど軽く、地上の雪が舞い上がります。

小さな待合室、中は決して明るいとは言えないのですが、このように見ると明るく見えますね。風雪を凌げるだけでもありがたい存在です。

木の温もりを感じる待合室。簡素で小さいものの、妙に貫禄を感じてしまいます。

ホームを照らす照明はひとつです。毎日ほとんど誰もくることのないホームを照らし続けているのでしょう。

駅のすぐ横にある踏切です。すごいロケーションだということがわかると思います。夜の帳が下りてきて、幻想的な風景が広がります。

暗くなってくると、雪も風も激しさを増してきました。

どっぷり日が暮れれば、周囲は漆黒の世界になります。この駅だけが光を放ちます。

極寒の中ですが、踏切の黄色い明かりが、あたたかい雰囲気を醸し出します。北の無人駅、その響きにふさわしい雰囲気でしょう。

北比布駅は、2021年3月に廃止されました。

(以上2021年2月訪問時)

北比布駅・2013年

待合室が建て替わる前、すなわちかつての待合室が現役で使用されていた頃の北比布駅です。

簡素で短いホームに、ブロック造りの無骨な待合室が寄り添います。

待合室は建物自体が歪んでいるように見えます。また屋根は傷んでおり一部壊れかけ、ドアも壊れているように見えました。

所々ヒビも入っており、心配になる建物ですが、正真正銘のJRの駅です。中に入ってみましょう。

内部は荒れ果てていました。色々なかけらが散乱し、雑草が床から顔を出していたりもします。座れそうなベンチもありません。もしかしたら上の写真右側、壁から出ている突起の部分に腰をかけられるのかもしれませんが、体重をかけたらすぐ壊れてしまいそうな見た目で、とても使ってみようという気持ちにはなれません。

ホームです。板張りのホームは、一部の板に防腐剤が塗られ緑がかっています。それぞれの板の色の違いが楽しいですね。簡素な駅に彩りを与えているように感じられます。

駅名標はフレームも含めて古いタイプです。駅名標はホームの上ではなくホームの外側に立っています。

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