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#13 山中の木造駅舎 峠下駅(留萌市・留萌線)

無人駅めぐり

石狩平野の深川と日本海側の留萌の間には、恵比島(えびしま)峠と呼ばれる峠があります。JR留萌線は、かつてこの峠を越えて、深川と留萌を鉄路で繋いでいました。この峠越え区間の少し留萌寄りに、峠下(とうげした)駅はありました。

深川・留萌の道路としてのメインルートは、高速道路を除くと国道233号です。国道233号線から分岐し、400メートルほど山の方へ入ったところが峠下駅。この奥まった立地から、駅は完全に山奥の雰囲気です。

駅舎は古くて大きく、雰囲気があります。典型的な国鉄型の駅舎といえます。屋根も補修した時期によるものか色が異なっているところが面白いですね。この駅舎に「JR」の大きな文字はいささかミスマッチです。

昔はこのような形の駅舎は道内各地にありました。多くは解体されてしまい簡易駅舎に置き換わっていますが、この駅は列車交換駅(列車のすれ違いが可能な駅)です。交換駅では、冬季に保線作業員が駅に常駐し、駅舎内の詰所を利用するために、古くて大きな駅舎が解体されずに残る傾向があります。

峠下駅は、留萌線(深川〜留萌)で唯一列車交換が可能な駅でした。主要駅の石狩沼田や比較的大きな街にある秩父別もあるのに、この駅だけが交換可能駅として残ったのは、留萌線のほぼ中間に位置するという要素が大きそうです。石狩沼田も秩父別もかつては交換駅でしたが、前者は1994年に、後者は1986年にそれぞれ交換設備が廃止されています。

駅舎には、ホーム側にも「JR」の大きなマークがありますね。かなり珍しいと思います。ホーム側にも正面にも「JR」のマークはない方が、木造駅舎として人気が出る気がするのですが。

大きなJRマークを設置すべき理由が何かあったのかもしれませんね。

立っているだけで汗がででくる暑さですが、木造駅舎の影の中はいささか涼しく感じます。この辺りが、日陰でも暑い都会との違いに思います。

「峠下駅」の文字もなんだか時代を感じます。このフォント欲しくなりますね。いや、別にならないか。

山間のホーム。雰囲気満点です。写真だけ見ると一日中いてみたい雰囲気ですが、実際はそうもいきません。夏の北海道の無人駅は割とどこもそうですが、虫が大量に飛んでいます。特にこの駅は、黒くて大きなアブが執拗に襲ってくるので、かなり厄介です。虫除けなんてもちろん効きません。とにかく走って逃げましょう。

しつこい虫の攻撃をかわすには、駅舎内に避難するのも一つの手です。いつまでも走って逃げ続けるのは大変なのでしばらくここで時間を費やしましょう。ここなら蛾が2〜3匹飛んでいるだけです。日の当たるベンチでの室内ひなたぼっこもいいですね。

まあ、室内にいれば虫の心配はないものの、殺風景な待合室内はやることも特にありません。旅の思い出を綴ることができる駅ノートにも、せっかくなので一筆書いていきましょう。

そうです、この駅の構内踏切には警報機がありません。とはいえこの駅を通過する列車はなく、上下線ともに構内踏切の手前側にホームがあるので、必ず列車は構内踏切の手前で一旦停車することになります。警報機がなくても特に問題はないように思います。

駅前の道路はこんな感じです。舗装されていますが、山の中で人家も見えません。車の通りもほとんどありません。ただ、滞在中に一度トラックの運転手さんが駅に寄り、トイレを使っていきました。こんな山奥で、トイレが維持管理されているだけでもすごいと思います。

峠下駅の1日平均乗車人員は1人以下。この駅を駅として使う人よりも、山中の公衆トイレとして立ち寄る人の方が多いのかもしれません。

少し離れたところから駅の全景を見渡します。路線廃止によりこの線路、そして駅がなくなってしまうのは仕方のないことですが、無人駅の風景としてはやはり勿体無さを感じてしまいます。

国道233号まで歩くと、「峠下分岐点」バス停があります。列車は数時間後のためここからバスで脱出します。バスは定刻より10分以上遅れてやってきました。

峠下駅は2023年4月の路線廃止により、その役目を終えました。2023年9月現在、駅舎は窓などが板で覆われ閉鎖されていますが、まだ解体されずに残っているようです。

峠下駅・2013年

2013年の峠下駅の様子です。

駅舎の雰囲気が少し違います。細かな違いもありますが、なんといっても正面に「峠下駅」の表示がありません。ただJRの大きなマークが主張しているだけです。これでは駅ではなく詰所のように見えてしまいます。

駅名表示をする場所は茶色い四角になっています。一見この部分に穴が空いていて茶色い外壁が見えているだけのような気がしますが、よくみると木の色も違いますし、横向きのラインを見ても高さがあっていません。

ホームの雰囲気はほとんど変わっていません。

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