オホーツク海と濤沸湖(とうふつこ)に挟まれた場所にある小清水原生花園(こしみずげんせいかえん)は、シーズンを通して200種類の花が咲き、観光客から人気を集めています。
原生花園駅は、小清水原生花園を訪れるための専用駅のようなもので、駅の営業は観光客が訪れる夏季シーズンのみです。冬季は全列車が通過します。
この原生花園駅は園内中心部にあるので、確かに観光利用に便利に見えますが、類にもれず列車の本数が少ないため、ここに来る観光客の大半は車で来るようです。ただ、1両のローカル列車が花畑の小さな駅にとまる風景が見られるということで、園内の見どころのひとつになっているようです。
そんなシーズン中のデイタイムは賑やかなこの駅も、9月末の夜に降りてみれば別世界です。
真っ暗な原生花園駅に到着です。人の気配は全くありません。ちなみに車内もガラガラでした。
原生花園の真っ只中なので、人家はありません。観光地とはいえ自然の中ですから、観光客がいなければ本当に静かです。
駅ホームの照明が、小さなホームを眩しいくらいに照らします。
踏切は遮断機や警報器がないタイプのものですが、それでも「とまれ」の看板がピカピカ光っています。非常に見通しがいいのでこれで十分な設備でしょう。線路の向こう側に見える建物が、小清水原生花園インフォメーションセンターで、日中ならお土産などが売られているところです。
昼間の賑わいは嘘のように、静まりかえっている原生花園駅の夜でした。
駅舎の中です。今は何もありませんが、シーズン中はここでも記念きっぷなどの販売をするのかもしれません。
駅舎内には喫煙ルームのような見た目のガラス張りの小部屋が。意味ありげなスペースです。
駅舎の外観は、いかにも観光地という感じのログハウス調です。尖った三角屋根が特徴的ですね。
駅舎正面の「原生花園駅」の看板は、その字体がまるでお化け屋敷のようです。全然怖い雰囲気ではないですがね。
こんな時間帯に降りる人などほとんど皆無でしょう。実際、シーズン中でも20時以降の列車は全て通過します。でも最終便が19時代にあるので、少し日が短くなった頃ならこういった真っ暗で誰もいない原生花園駅を楽しむことが可能です。日中の賑やかな時と、こういうときと、両方来てみるとなかなか面白いと思いますよ。
この後は最終便で網走に向かい、宿泊します。乗り遅れたら大変なので、早めにホームに上がり列車を待ったほうがいいでしょう。
(以上2021年9月訪問時)
原生花園駅 2012年
観光客が訪れる、昼の原生花園駅です。観光客のお土産にと、駅舎の正面で記念きっぷなどが売られています。
駅舎や線路の柵は立派な作りですが、ホームへ向かう階段は錆び切っています。みんな原生花園に来たついでに駅舎は見にきても、ここから列車に乗る人は多くありません。そんな実態を物語るようです。
駅名標も錆びています。ホームに上がらなくとも「げんせいかえん」の表示が見えるように、表と裏の両方に駅名が書かれている駅名標です。この頃は名所案内もありました。
いやあ、この頃はまだ列車本数が多かったですね。はい、そのレベルです。網走方面からの定期普通列車で、「緑行き」や「知床斜里行き」は現在では走っていないと思います。
遮断機のない踏切には、「踏切一旦停止 安全確認」と書かれたのぼりが立てられ、注意喚起をしています。のぼりで注意喚起をするというのが珍しく感じられますが、また注意喚起しているものがのぼりのみだということも面白いポイントではないでしょうか。
緑行きの普通列車が近づいてきました。本当に見通しがいいですね。
原生花園の中です。すぐそこはオホーツク海で、天気がよければさぞ美しいことでしょう。この日は曇天ですが、それでも綺麗です。
一応7月なのですが、花は申し訳程度に咲いているくらいです。この辺りが、人が手を加えていない「原生花園」を感じさせ、逆に好感が持てるところかもしれません。変にたくさん咲いているのは意外と面白くないものです。
右側がオホーツク海、左側は濤沸湖です。ここは湖と海に挟まれた小さくて細長い陸地部分なのです。
花はなくとも散策は楽しい、そんな美しさです。園内はとても広いので、時間があれば歩き回ってみるといいでしょう。
オホーツク海の向こうには、左からすらーっと伸びる陸地が。あれが能取半島(のとろはんとう)で、その突端が能取岬でしょう。