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#1 豪雪地帯の由緒正しい駅 紋穂内駅(美深町・宗谷線)

無人駅めぐり

最も北海道らしい無人駅といえば、個人的にはここでしょうか。

駅舎はかつての貨車を再利用した簡素なもの。最近では数を減らしていますが、北海道のローカル駅にはこのタイプのものが多く、ここもその類です。

そしてかつては立派な木造駅舎が立っていて、駅員さんも所属、当駅折り返しの列車が設定されていたこともあるほど、かつては栄えていた駅。そのような点も実に典型的です。特に紋穂内(もんぽない)は林業で栄え、木材の運搬が頻繁に行われていたようです。

旭川から宗谷線の列車で北上すると、この駅の一つ手前、初野(はつの)駅付近で水田の北限を迎え、紋穂内付近からは酪農地帯になります。旭川から普通列車で2時間半、いよいよ最北の地方に入ったと感じさせる場所です。

駅の周囲に人家は見当たらず、主要道路からも離れているため非常に静かです。少し歩いたところにこの大自然がウリの小さな宿、「青い星通信社」があります。

豪雪地帯を走る宗谷線も、この辺りは特に雪が多く、ホームは雪で嵩上げされていました。

雪に埋もれている駅舎です。シンプルな駅舎が青空に映えます。

駅舎の塗装はもう限界。美しさを感じるレベルです。

この日は運良く快晴でしたが、気温はマイナス18度。それでも今日は風がないので、空気が冷たいだけです。

太陽に照らされるホーム。辺り一面真っ白なので、とても眩しいです。

駅名標も朝日に照らされ、いささか輝いて見えます。ここ1週間ほど吹雪が続いていたので、太陽の光を受けて輝きを放つのは久しぶりでしょう。

駅舎に入ろうとすると、ドアは凍りついていました。駅舎の塗装とともに、この駅の厳しい気候を物語ります。

駅前には軽トラックがとめてありました。

駅前の道路から紋穂内駅を見上げれば、駅は新雪の向こうです。

列車本数は1日上下4本ずつ。ただ冬は列車の運休が頻発するので、やはり訪問は難しい部類だったでしょう。紋穂内駅の1日の乗車人員は1〜2人程度。高校生の通学などに利用されていたようです。

この駅自体は、2021年3月のダイヤ改正で残念ながら廃止されてしまいましたが、「青い星通信社」への宿泊は可能なほか、かつて駅へと続いていた道路(道道445号紋穂内停車場線)も現役です。紋穂内の雰囲気だけは、まだ味わえると思います。

(以上2021年2月訪問時)

紋穂内駅・2019年

続いて2019年夏の紋穂内駅の様子です。

緑が萌える夏の紋穂内。雪に閉ざされた雰囲気とは異なり、夏は駅自体が緑に囲まれます。

列車から窓を開けて撮影しました。最近でこそ冷房搭載車両が増えていますが、北海道ローカル線の普通列車は冷房がなく、夏は列車の窓を開けて走るのが普通でした。そのため、列車の中からも紋穂内駅に停車中、じかに駅の雰囲気を感じ取ることができます。こんな小さな駅、停車時間はたった30秒ほどであり、束の間の出会いと別れですが、これでもなかなか充実感を得られるものです。降りたくなってはしまいますが、列車本数が少ないのでなかなか難しいものです。

紋穂内駅・2013年 夏

駅舎の下にレンガの土台が見えます。これが紋穂内駅が貨車改造の簡易駅舎になる前、立派な木造駅舎が建っていた頃の名残でしょうか。旧駅舎の基礎のように見て取れます。そんな基礎部分も、駅舎の出入り口から遠い部分は人の手が加わっていないのか雑草が繁茂しています。

2013年では駅名標のフレームもまだ綺麗でしたね。2013年当時でも利用者はわずかだった紋穂内駅ですが、この頃は北海道内で廃止になる駅などほとんどなく、廃止という2文字はほとんど意識されていなかった頃ではないでしょうか。

当時はまだ塗装の劣化も少しおとなしかったですね。まるで時が止まっているかのような紋穂内駅、何年もの時を経ても同じ雰囲気であることに安心させられる駅ですが、そんな駅でもしっかり年をとっていたことがわかります。

紋穂内駅・2013年 春

2013年3月ももうすぐ下旬。暦としてはもう春ですが、まだこの駅に春の足音はなさそうです。

雪に埋もれている紋穂内駅。これでも2月に比べたら、雪が減った方なのかもしれません。こんな場所にも律儀にとまる普通列車に驚かされます。当然乗降客はありません。

雪山が駅を隠しています。繰り返しますが、これは3月も下旬に差し掛かろうというとき、3月18日の景色です。この駅の雪が完全に消えるのはいつごろなのでしょうか。

廃止後の紋穂内駅(2022年)

紋穂内駅廃止から1年半、2022年7月に紋穂内駅跡を宗谷線の普通列車で通った時の様子をお伝えします。

左側に雑草の生えていない部分が見えます。ここが駅舎が建っていた場所でしょう。駅舎はすっかり取り壊されています。

旧駅舎の部分です。一般人が駅跡に入れないようにロープが張られています。ホームも取り壊されていることがわかります。

駅の倉庫はまだ残っていました。もう列車がとまることがないのは寂しいですね。

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