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#17 坂を下れば海 釜谷駅(木古内町・道南いさりび鉄道線)

無人駅めぐり

函館駅から道南いさりび鉄道線に乗って50分ほど。北海道の鉄道の中でも海がよく見える区間として知られている場所に、釜谷(かまや)駅はあります。

乗ってきた列車が去っていきます。駅の向こうに函館山を望むことができました。

駅舎は道内ではよく見るかつての貨車を改造したもの。青く塗られ、すぐ近くに海が広がる風景にマッチしています。またちょっとした装飾もきいており、貨車駅舎にしてはおしゃれです。駅舎周辺のちょっとした緑や花も、のどかでしゃれた風景に一役買っていますね。

小さな駅舎に反して、駅舎の中にはきっぷ売り場もあります。営業は基本的に午前中のみで、この時はきっぷ売りの方は不在でした。もちろん道南いさりび鉄道の社員によるものではなく、地元の方が委託を受けてきっぷを販売している駅です。きっぷを売る方がいる以上、完全な無人駅ではないと言われるかもしれませんが、一応このような駅は「簡易委託駅」と呼ばれ無人駅の分類に入れられることが多いようです。そういった意味で「無人駅めぐり」のカテゴリーで紹介していますが、大丈夫ですよね。完全な無人駅ではない場合にはこのようなことわりを入れますので、ご理解ください。

きっぷ売り場はなんだか生活感があります。この無防備な姿は、いかにも地方という感じがします。営業時間内でもここで買える切符は、釜谷から木古内(きこない)まで・五稜郭まで・函館までの乗車券の3種類のみです。

簡易委託駅であるにもかかわらず、1日の乗車人員は5人程度と決して多くはないです。しかし地元の方の利用はある駅のようで、この時も利用客の地元のおじいさんに会いました。木古内で開かれる会議に行くらしく、いつもは車で行くが今日は酒を飲んでくる予定のため汽車に乗るとのことでした。駅舎内には大きな蜂のようなものがいて、怖がっていると駅に備え付けてあったうちわで4〜5回叩いて殺してくれました。地元の方は強いです。ただ耳が遠くて会話は大変でしたけどね。

駅舎内の窓からも、風鈴の向こうに海が見えます。暑い夏でも、風鈴の音は涼しさを感じさせてくれます。

駅舎自体は年季が入っていても、出入り口のドア周りは綺麗に保たれていました。

駅のホームからも海を望めます。色とりどりの屋根の家が並んでおり、明るい雰囲気です。屋根の形も独特なものが多いですが、おそらく積雪に対応したものなのでしょう。

駅は小さくとも、ここは本州と北海道を結ぶ貨物列車の大動脈。この線路を走る貨物列車がなければ北海道の農作物を、本州で今ほど気軽には買えないことでしょう。大事な使命を担っている線路には、貨物列車が利用する立派な架線柱が並んでいます。

ここに停まる普通列車はほとんどが1両、長くても2両でしょうが、ホームはそれなりの長さがありました。ただしホームの幅は狭く、列車通過時には注意が必要でしょう。

ところでこの駅にはホームが2つ、線路が2線あり、それも合流している様子がはっきり見えないので複線に見えてしまいます。しかしここは類に漏れず単線区間で、この駅で列車の行き合い(すれ違い)が可能になっているだけです。20両くらい繋がっている長い長い貨物列車同士が行き合うこともあるだけに、貨物列車の長さにも対応した行き合い設備となっているのです。線路は遠くでちゃんと1線に合流しています。

函館と反対方向にも山が見えます。青森県でしょうか。北海道・渡島半島の一部という可能性もありますが、それにしては遠く見えますし、逆に青森県にしては近くに見えすぎている気もします。

なんだか高床倉庫のようにも見えますが、駅の正面も洒落ています。駅舎の右側の窓が開いていますが、ここに風鈴が設置されています。風鈴の音は、駅舎内だけでなく駅前広場にも聞こえてきます。

駅舎の下の空間は太陽が当たらないはずですが、実際には雑草が繁茂していました。花は流石に太陽のあたる位置に生えていますね。

駅前通りはこの風景です。海なし県で暮らす方にとっては、憧れる光景ではないでしょうか。「とまれ」の看板がアクセントになっていていいですね。

駅舎があるのは、駅前通りの正面ではなく、やや左寄りです。駅の構内踏切と駅前通りが一直線になっている印象です。

駅前通りを下ると、国道228号になります。付近は住宅が立ち並び、交通量もそれなりにありました。駅の雰囲気に反して意外と活気がある駅周辺ですが、コンビニがあるような場所ではありませんでした。漁港や郵便局は近くにあります。2003年までは釜谷小学校も近くにありましたが、現在は廃校となり、物置として使われているほか、万一の際の避難場所ともなっているようです。校舎や遊具もまだ残っているというのですから驚きです。

まったりとした海辺の町を楽しむことができる釜谷駅、ふとした時にぜひ下車してみたい駅です。

(2023年7月訪問時)

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