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[全行程7時間半] 「ニセコ号」を使って函館本線を全線走破する!

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函館と旭川を札幌経由で結ぶJRの鉄道路線・JR函館線。その距離なんと423km。かつては函館〜札幌〜旭川を結ぶ大動脈でした。函館から札幌に行く特急・急行列車などは、当然のように函館本線を経由していました。

しかし現在は、函館から札幌へ向かう特急列車「北斗」号は、長万部まで函館本線で北上したのち、函館本線から分岐する室蘭線に入り、千歳線経由で札幌に行きます。昔と違い、長万部〜札幌は函館本線を経由しないのです。

引用元:Google社 Google マップ

引用元:Google社 Google マップ

理由はその線形にあります。函館本線の長万部〜札幌間、その中でも特に長万部〜小樽間は「山線」という別名があるように山間を走り、カーブや勾配が連続するためスピードが出せません。遠回りであっても室蘭線・千歳線を経由した方が速いのです。

そのため、函館本線も函館〜長万部間と小樽〜札幌〜旭川間はまだまだ大動脈と言える区間ですが、その間、長万部〜小樽間(山線)は函館本線とは名ばかりのローカル線になっています。北海道新幹線開業により廃線になることもすでに決まっているようなレベルです。

しかしJR北海道は、毎年9月に函館から札幌まで、全線「函館本線」を通って、すなわちかつての特急・急行列車のルートを使って走る列車、臨時特急「ニセコ号」を走らせてくれます。当然ながら「ニセコ号」は観光列車としての側面が強く、車内で山線沿線の自治体の方が特産品を販売してくれたり、町のゆるキャラが「ニセコ号」をお出迎えしてくれたりするようです。普段特急が走らない山線ゆえに、沿線の自治体にとって「ニセコ号」は町をアピールするチャンスの1つなのでしょう。

そんな「ニセコ号」で函館から函館本線経由で札幌へ、そしてせっかくなので札幌から特急「ライラック」に乗り継ぎ旭川まで行くことにします。まあ単純にその日のうちに旭川に行きたかっただけなのですが、これによって往年の大動脈であった函館本線を全線、特急列車で走破できてしまうのです。結構貴重な体験でしょう。少し昭和の時代にタイムスリップした気分になれるかもしれません。

函館駅を出発

かつての北海道の鉄道の中心はここ、函館駅でした。青森からの連絡船で函館港に降り立ち、ここから鉄道が道内各地に出ていたのです。現在函館駅を出る特急は札幌行きのみですが、今回の目的地である旭川行きのほか、釧路行きや稚内行きもこの駅から出ていたのですからすごいです。

函館駅の写真は朝のものですが、「ニセコ号」の出発はお昼過ぎです。旭川まで423km、7時間半の長旅が始まります。

ニセコ号は虹色の車体が綺麗な「ノースレインボーエクスプレス」と呼ばれる車両です(2022年現在。現在は別の車両となっています)。天窓があったり、客室はハイデッカー仕様であったりと観光列車感満載の豪華な車両です。驚くことにもう30年も活躍しているそうですが、見た目に古さは感じません。5両・5色の車両を見て、あれ、虹って7色じゃなかったっけ?なんて思ってはいけません。あえて5色でレインボーを名乗るところが面白くて好感が持てるところです。

札幌(小樽経由)の文字が、通常の特急と異なる経路を使うことを示しています。先にも述べたように、かつてはこちらがメインルートだったんですけどね。正規の函館本線はこっちです。

函館駅を出ると市街地の中を走り、七飯駅あたりで市街地はなくなります。田園の中に現れるのが新幹線との乗り換え駅、新函館北斗駅です。駅前は東横インとレンタカー屋さんくらいしかありません。

小沼と駒ヶ岳、そして噴火湾

新函館北斗の次の駅、仁山駅は時刻表上は通過ですが、実際には列車は仁山駅に停まり、反対方向の列車の待ち合わせをします。臨時列車なので、他の列車の邪魔をしないように気を遣って走っているのでしょう。そういえば前の七飯駅でもいささか停車をしていましたね。

写真は仁山駅停車中のものです。実は下車したことがありますが、木造駅舎がいい雰囲気です。

しかし行き合いの列車が遅れており、この列車も発車が遅れるようです。単線区間では1本の列車が遅れると他の列車にも迷惑がかかるので大変ですね。しかし、この列車に乗る人で遅れに怒りだす人はいないはずです。函館〜札幌は通常の特急「北斗」で4時間弱。そこをわざわざ函館本線経由で5時間半かけて走る「ニセコ号」に乗る人は、急いでなんかいないのです。もしかしたら倶知安などへ行く人もいるのかもしれませんが、ごく少数でしょう。

大沼公園に近づくと、渡島富士とも呼ばれる秀麗、駒ヶ岳が見えてきます。小沼とその向こうに見える駒ヶ岳の風景は、ぜひ見ておきたい車窓です。

列車は赤井川駅で、列車行き合いのため再び停車。そのあとは駒ヶ岳の麓の複雑な地形を、右へ左へカーブを描きながら下っていきます。駒ヶ岳が右に見えたり左に見えたりを繰り返し、仁山付近で上げた標高を徐々に下げていき、いかめしで有名な森駅に着く頃には右手に海が見えます。森駅では、毎度たくさんのカモメがお出迎えしてくれます。

森からは噴火湾(内浦湾)沿いを走っていきます。海沿いを快調にとばし、5分ほどの遅れも長万部までに取り返せそうな勢いです。

天窓のある開放的な車内。椅子もフカフカで、とても快適です。景色を見ることに重点が置かれたこの車両、まさに絶景の連続である北海道にぴったりです。

実はノースレインボーエクスプレス車両に最初に乗ったのは、まだ北海道にも北海道の鉄道旅行にも興味のなかった小学生の頃です。スキーに行くのに「トマムサホロスキーエクスプレス」を利用していたのですが、それがこのノースレインボーエクスプレス車両でした。やっぱりワクワクさせる列車でしたね。

ついに函館本線の山線へ!

列車は長万部(おしゃまんべ)駅に到着。長万部町のキャラクター「まんべくん」がこの珍しい列車を出迎えてくれました。

ちゃんとポーズも取ってくれるまんべくん。どこか狂気を感じさせる表情がクセになる可愛さですね。長万部駅での停車時間は16分。まんべくんもギャラリーを飽きさせまいと、いろいろなポーズをしてくれます。

今度は車両にもたれかかってますね。良い子はやめた方がいいんじゃないでしょうか?

当時(2022年)は、長万部町の飯生神社で巨大水柱が出現していた年です。それとノースレインボーを同時に映してみました。うーん、わかるかな。

長万部を出ると、ついに函館本線の山線と呼ばれる区間に入ります。冒頭に記した、通常の特急は通らない「長万部〜小樽〜札幌」の区間です。普通の特急は、長万部を出て直進、室蘭線に入って札幌を目指しますが、この「ニセコ号」は大きく左にカーブして山の方へ山の方へと進んでいきます。速度も一気に落ちます。

山の中を進んでいくと、蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山が姿を見せます。山線を象徴する風景がこの羊蹄山です。渡島富士と呼ばれる駒ヶ岳よりもずっと富士山らしい見た目ですが、駒ヶ岳もかつてはこのような綺麗な姿でした。噴火による山体崩壊によって現在のような形となったのです。あの形はあの形でいいですけどね。そういえばなんだか日も傾いてきましたね。

ニセコ駅に到着です。ここでは7分の停車時間があります。7分では特に何もできませんが、とりあえずみんな出ているので外に出てみましょうか。用がなくても外に出ようと思う、そういうアクティブさが大事でしょう。

色づき始めた木々の中を、「ニセコ号」はゆっくり走っていきます。見えるのは尻別川で、線路はこの川に寄り添うように通っています。

ここで地元の観光協会の方が車内販売に来てくれました。地元の特産品、名物を車内で売ってくれます。普段日の目を見ることがない山線に期間限定で特急が走るだけあって、地元も力を入れてくれています。

これら3つを購入しました。トマトジュースは、本当は「シンディースイート」というものが販売される予定だったはずのですが、どうやら欠品らしく、代替としてこのジュースが売られていました。それでも地元のものには変わりありません。

トマトジュースの「シンディースイート」は私も飲んだことがあって、めちゃくちゃ美味しいんですよ。トマトジュースの範囲を超越する反則級の美味しさです。そんなシンディースイートの代替品ということで、これも期待して飲みましたが割と普通でした。期待しすぎたかもしれません。しかし「シンディースイート」レベルだと勝手に思わず、普通に飲めば確実に美味しいトマトジュースだったと思います。あとはかぼちゃクッキーが個人的には好きでしたね。

沈む太陽が見えます。いつもより夕日が輝いて見えるのは気のせいでしょうか。

「山線」らしい車窓が続く

倶知安(くっちゃん)駅に到着、6分停車します。羊蹄山が綺麗です。ここは北海道新幹線の駅ができる予定であり、その工事が行われています。ちなみに工事の関係から、倶知安駅のホームは仮設ホームでホームの長さが短く、後ろの1両がホームからはみ出してしまっています。

列車は倶知安峠を越えたあと、難所として知られる稲穂峠に差し掛かります。急勾配・急カーブが延々と続きます。まさに「山線」を感じさせる区間で、ここを普段特急が通らないことに誰もが納得する区間でしょう。

列車は小沢駅で列車行き合いのため停車したあと、稲穂トンネルを抜け、峠の頂上に位置する銀山駅を通過します。峠の上とあって眺めの良さそうな駅でした。今度ぜひ降りてみたいですね。

銀山駅からは急勾配・急カーブを今度は下ります。引き続き山の中を走ります。

街らしい街が見えてくると、そこは余市駅です。余市駅を出ると、いよいよ小樽駅。閑散区間に別れを告げ、一気に札幌近郊の大都会に突入です。

函館から5時間半、札幌駅に到着!

小樽駅から先は、今までのローカル区間から一転、通勤電車が頻繁に行き交う大都会の路線に入ります。今まではカーブが多くスピードが出せなかった「ニセコ号」ですが、なぜか小樽を出て大都会に入ったのにも関わらずノロノロ走ります。きっと前を走る各駅停車に追いつかないように走っているのでしょう。

手稲駅に到着。札幌までラストスパートです。通勤客や観光客がたくさんいる中で、しかも特急列車が普段走らない区間とあって、間違って乗ってこられる方もいました。車掌さんが「この列車は特急列車です。ご乗車には乗車券の他に特急券が必要です」と頻繁に放送していました。

通勤電車が行き交う中に、こんな虹色の変なのがやってきたら特別な列車だと分かりそうなものですが、海外からのお客さんも多いのでそうはいかないのかもしれないですね。

19時26分に終着・札幌駅に到着です。函館を出たのが13時52分だったので、実に5時間半。それでもふかふかな椅子に座っていたので疲れはありません。もっと乗っていても大丈夫なくらいです。

ちなみに、この「ニセコ号」の1時間以上後の15時1分函館発の札幌行き「北斗15号」は、札幌に18時47分に着いてしまうのです。山線経由の「ニセコ号」の方が走行距離は短いのにもかかわらずです。

特急「ライラック」で旭川へ

札幌からは、20時ちょうど発の旭川行き特急「ライラック41号」に乗り換えます。こちらの特急は「ニセコ号」と違い、毎日何本も走っている通常の特急列車です。札幌と旭川を結ぶ特急「ライラック」は特急「カムイ」と合わせて本数も多く、高速バスを圧倒するスピードを誇る俊足特急であり、非常に利便性の高い列車です。これまでも何度もお世話になっています。

私が札幌〜旭川間を移動するときには特急「カムイ」にあたることよりも「ライラック」に当たることが圧倒的に多く、すでにおなじみの存在です。

旭川まではわずか1時間25分。通勤客を横目に、札幌駅を出発します。

実は札幌駅での乗り継ぎの際に駅弁を購入しています。札幌駅の駅弁は、個人的には「いしかり」が一番ですね。もちろん好みによると思いますが、スタンダードな幕の内なのでこの弁当が嫌いという人は少ないと思います。ぜひ試していただきたい逸品です。

中身はこんな感じ。地元のものがつまっています。米に肉に魚にと、食材の種類もかなり充実しています。

暗闇の中をひたすら走って、終着の旭川に到着です。

21時25分、ついに函館本線の終点・旭川駅に到着です。函館から7時間半、飛行機で成田〜ホノルルを飛ぶよりも長い時間です。

旭川駅はいつ見ても本当に美しいですね。遠い遠い函館からやってきたということで、なんだか達成感もあります。唯一の心残りは「シンディースイート」を飲めなかったことですね。あれは冗談抜きで美味しいです。

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