網走を代表する観光地、かつての網走刑務所について学べるのが「博物館 網走監獄」です。現在も網走刑務所はありますが、ここはかつての網走刑務所の建物を移転し、博物館として観光地化した施設です。現役の「網走刑務所」と、「博物館 網走監獄」は別の場所なので、訪問する際は注意が必要です。
博物館網走監獄の監獄食堂
その博物館網走監獄に、「監獄食堂」という食堂があります。博物館の入場料を払わなくても利用が可能です。
その監獄食堂のメニューに「監獄食」があります。こちらは現在の網走刑務所で出されている食事(を再現したもの)を味わえるというものです。博物館網走監獄で展示されている当時の受刑者が食べていたものではなく、あくまで現在の網走刑務所で出されている食事の再現です。そのため、博物館の展示の中にある、当時の受刑者に出されていた食事とは全く異なります。
監獄食には、2種類「監獄食A(さんま)」と「監獄食B(ほっけ)」があります。
メニューには監獄食しかないわけではなく、普通のラーメン、そば、うどん、カレーなどのほか、ザンギ丼、ロコモコ丼などもあります。娑婆で刑務所の食事食べたくないわ!っていう方でも安心です。ただ、やっぱり人気なのは監獄食ですね。こんなものを食べられるのは全国的にも非常に珍しいと思います。
では店内も刑務所を再現しているのか、というと全くそんなことはありません。普通の広々とした食堂です。むしろ平均的な食堂よりゆったりしているかもしれません。長居もしやすそうな雰囲気ですが、くれぐれも他の客の迷惑にならないように、長居は空いている時間だけにしましょう。
店内に入るとまずは券売機があり、券売機で好きなメニューを注文、食券を店の人に渡し、自分で好きな席に座って食べることができます。
これが監獄食だ!
私が注文したのは、監獄食B(ほっけ)。これが刑務所の食事です!
玄米に大きなほっけ。そして小皿・中皿と味噌汁。実はこれが刑務所の食事と全く同じかというと、そうではありません。実際の刑務所の食事では、味噌汁の代わりに番茶が提供されているようです。あくまで観光客のための定食として、味噌汁のほうが喜ばれるだろうという判断なのでしょう。確かにご飯、魚、小鉢と来たら味噌汁が欲しくなりますよね。
気になる味ですが、美味しかったです。特にホッケがめちゃくちゃ美味かったですね。私だって北海道のホッケは食べ慣れているわけですが、これは美味かった。刑務所の食事とはいえ、やっぱりここは北海道。特別美味しいものを持ってこようとしなくても、つまり普通のホッケでも、北海道のものを北海道で食べればこの美味さなんですよね。
まあホッケがずば抜けですが、他の皿も美味しかったですよ。あと特筆すべきは麦飯でしょう。刑務所で提供する主食は麦飯とすることが矯正施設被収容者食料給与規程で定められています。さらに米:麦=7:3という割合までしっかり決められているのです。一般に私たちが口にする「麦ご飯」はもっと白いですが、刑務所の麦飯は麦の割合が高く、また私たちが口にするお米よりも精米の精度が低いため、このように茶色っぽい米となるのです。
実際の刑務所の食事って??
「監獄食堂」は綺麗で広く美味しい食堂ではありますが、その反面、実際の刑務所の食事にはどんなルールがあるのか、など実際の刑務所の食事について深く学べるわけではありません。ということで、実際の刑務所の食事と食事ルールについて、ここで解説をしておきましょう。
健康的な刑務所の食事
まず刑務所の食事は、1日3食、1か月分の献立を管理栄養士が決めています。栄養がしっかり考えられており、1ヶ月ずつ決めるあたり、まるで学校の給食みたいですね。またアルコールはもちろん出ないですし、アルコールを含んだもの(料理酒・みりんなど)も料理に使用しないというルールがあります。
調理は受刑者が行う
管理栄養士は、献立を考えるだけ。そしてその作り方を管理栄養士から刑務官に伝え、さらに刑務官が受刑者に伝えて受刑者が調理します。誰でも作れるような献立を考えないといけない、という点は、管理栄養士にとって難しさを感じる点であるようです。
黙食・食事は30分以内
まず刑務所での食事は黙食です。食事時間は30分間。一見長く見えますが、これは休憩時間も含んだ時間です。この30分間で食事と休憩をとって、次の刑務作業に備えるのですね。
座席は固定・離席禁止
座る席は予め決められており、また食事中の無断離席はできません。受刑者同士のトラブルを防止するためです。
あげる・もらうは禁止
自分の食事を多すぎるから、または苦手な食材だからといって他の人にあげたり、逆に他の人からもらったりすることはできません。受刑者同士のトラブルや、変な上下関係ができてしまうことを防ぐためです。
おかわりもできない
ご飯おかわり!はできません。自分に与えられた量を食べることになっています。
意外?!食事の量は受刑者全員一律ではない
結構驚きなのではないでしょうか。受刑者の食事の量は、その刑務作業の内容によって決められるようです。内容といっても、お前は無能だから食事はこれだけな!ってことではありません。肉体労働の場合はたくさんのカロリーを消費するので、ご飯の量は多めになり、逆に室内作業をする受刑者の場合は、それほどカロリー消費が激しくない仕事ということで、それに見合ったご飯の量が提供されるようです。
変わるのはご飯などの主食の量で、おかずの量やメニューそのものが変わるわけではありません。
ということで・・・
ということで、刑務所の食事を追体験するためには、黙食で、30分以内に、離席することなく食べる。例えあなたが体調が悪く、全部食べられそうにない場合でも友達にあげることはできない。量が少なくてもおかわりはできない。もし仮に友達のご飯は多いのに、あなたのご飯が少なかった場合でも、文句を言ってはいけない。これらを意識すれば、より刑務所の食事に近い体験ができるでしょう。
とはいえ、言うまでもないことですが、実際受刑者ではないわけですから、たくさん喋りながら楽しく刑務所の食事を楽しむのがいいと思いますよ。実際「監獄食堂」には以上のようなルールは全くありませんので、ご安心ください。