あまり知られていませんが、新千歳空港の近くに「レラ」という北海道内最大級のアウトレットモールがあります。新千歳空港の近くといっても、最寄り駅は新千歳空港ではなく、隣の南千歳駅。南千歳駅は、空港方面から函館・釧路方面への乗り換えに多くのお客さんが利用する駅です。
しかし、みんな乗り換えには使う南千歳駅ですが、駅の改札の外に出る人はほとんどいないのが実情です。南千歳駅の駅前にある巨大アウトレットモール・レラも、そんな立地が災いしたのか、お客さんは減るばかり。ついに閉鎖することを決めたようです。具体的な閉鎖の時期は2024年4月現在、まだ決まっていません。
レラ。どんな場所なのか行ってみることにしました。
南千歳駅を降りると
南千歳駅の改札を出てみると、「レラ」の大きくて綺麗な看板があります。まるで駅直結のショッピングモールがあるような雰囲気です。行ってみましょう。
「レラ」の方向に歩いていくと、ついに駅の出口に着きましたが、なんだか閑散としています。駅の大きな看板を頼りにしてここまで歩いてきたのに、いきなり何もない駅前に放り出されてしまいました。数台のタクシーがとまっているだけで、人もいません。ここからどっちに向かって歩けばいいのでしょう。
こんな時はGoogle先生に頼りましょう。マップを見て「レラ」のある方向に向かいます。
すると見えてきました。アウトレットモール・レラの立派な門です。
人がいない
アウトレットモールに入りますが、全然人がいません。もちろんしっかり営業時間内です。
そして空きテナントばかりなのです。まるで廃墟のようにも感じられますが、日中でも灯っている照明と、スピーカーから聞こえてくるアップテンポの曲が、ここはまだ営業中だということを訴えかけてくるようです。
左の地図のように、「レラ」は非常に大きいです。全部を歩こうとするとかなりの時間がかかります。北海道内でも最大級のアウトレットモールであることは間違いありません。
しかし入っているテナントはこれだけ。入っているテナントよりも、空き店舗の方が多いという実態でした(2024年3月)。
レラアトリウム
「レラ」のメインゲート(ゲート1)の正面には、「レラアトリウム」というレラの中心的役割を果たす場所があります。ガラス張りの建物で、ちょっとおしゃれでモニュメンタルな空間となっています。総合案内所も入っており、「レラ」の中の案内のほか、周辺の観光情報も収集できるようです。
この「レラアトリウム」の建物内ですらお客さんはいません。ただそれでもこの中のお店は元気な姿のようで(2024年3月)、確かに人はいないのですが悲壮感は感じません。床や椅子・テーブルなども清潔感があり、しっかり管理が行き届いているようでした。
レラドーム
メインゲート(ゲート1)から入って一番奥、つまり南千歳駅から(ほとんど)一番遠い位置に、「レラドーム」と呼ばれる区画があります。
ここは大きな屋根にすっぽり覆われた全天候型の場所。円形になっていて、その円の中に机と椅子が置かれた休憩スペースがあります。
そしてレラドーム周辺のモール街も屋根ですっぽり覆われた区画です。他の場所も歩道部分には屋根がありますが、風が強かったりするとどうしても雪や雨にあたってしまいます。しかしここはそんな心配はなく、悪天候時でも安心して買い物ができそうです。
「クリスピークリーム」がありました(2024年3月)。相当昔に混雑で話題になった店のはずですが、ここなら貸切で、好きなだけ楽しめそうです。
競争の激化ゆえの衰退か
「レラ」も開業当時はすごく賑わっていたようです。しかし、おそらく「レラ」が営業を開始した当時(2005年)に比べ、新千歳空港のショップもはるかに充実したでしょうし、何より大きな原因として挙げられているのが北広島に新たに開業した「三井アウトレットパーク」にお客さんが移ってしまったこと。そのほかにも、いろいろなところにイオンなどの大型ショッピングセンターができたことも、レラからお客さんが離れていった理由の一つかもしれません。
かつてはここ、レラと新千歳空港を結ぶ無料シャトルバスが運行されていましたが、現在は廃止されています。空港での待ち時間にレラに買い物に来ることや、空港へ、または空港からの移動の際にレラに立ち寄る利用が想定されていたのでしょう。そして本当にそのような利用も昔はあったのでしょうが、そんな需要も細くなってしまったのだと思います。やはり新千歳空港の施設は立派なので、買い物も食事も空港内で済んでしまいますからね。
それでも、これまで北海道最大級のアウトレットとして果たしてきた役割は非常に大きいと思います。閉鎖が決まってしまった「レラ」ですが、最後の姿を見に、買い物に行かれてみてはいかがでしょうか。