北海道・長万部(おしゃまんべ)の名物は?と言うと皆さん口を揃えて言います。「かにめし」と。
実際、長万部のかにめしは非常に有名です。主に知られているのが駅弁でしょう。北海道を代表する人気駅弁の一つで、以前特急列車に車内販売があった際は、長万部駅から「かにめし」の駅弁を積み込み、車内で販売していました。それも、車内販売のアテンダントさんが全ての車両をまわる前に途中で売り切れてしまうほどの人気だったと記憶しています。
かにめし弁当は実は「かなや」だけではない
長万部のかにめしといえば、ほとんどの方は駅弁となっている「かなや」のかにめしを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、実際は「かにめし」を作っているのは「かなや」だけではありません。横手商店やかにかにKAN 魚粋など、かにめしを作っているところはたくさんあります。これがかにめしが長万部の名物である証拠。かなやだけではないのです。
とはいえ、やはり駅弁として名高い「かなや」の知名度が圧倒的に高いのも事実です。本記事では、「かなや」のかにめしに絞って、その歴史と魅力をご紹介します。
かにめしの歴史
かにめしが生まれたのは第二次世界大戦の後。戦後の食糧難の中、大量にあったのは噴火湾で取れた毛ガニだけでした。長万部駅には駅構内で弁当販売をしていた長万部駅構内立売商会(現在のかにめし本舗かなや)がありましたが、この食糧難を受けて、長万部駅で煮カニを弁当の代わりに販売したのが「かにめし」の始まりです。
毛蟹は夏に取れるものですから、煮カニは一年中味わえるものではありません。そこで考えられたのがカニを使った弁当で、試作に試作を重ね1950年に「かにめし」弁当が完成しました。
そして1966年に日刊スポーツ全国駅弁大会で日本一の駅弁に輝き、全国区の人気を獲得しました。
楽しみ方1:駅弁でかにめしを楽しもう!
「かにめし」は駅弁から始まりましたから、やはり王道の食し方は駅弁です。しかし長万部駅の駅弁として有名ではあるものの、現在は長万部駅構内では売られていません。
しかしご安心ください。かにめしの店「かなや」は長万部駅からすぐ近くです。
駅を出て駅前すぐの道に・・・
ありました。「かなや」の名前と、かにめしの幟が目に入るのですぐにわかると思います。駅弁が売られているのは写真中央の「かなや」の茶色いのれんがかかっている店ではなく、その左側の奥まっている場所になります。そこまで行ってみましょう。
ここですね。ここが長万部の名物「かなやのかにめし」駅弁が売られている場所です。
ほんのり温かいご飯の上にカニがぎっしり。カニは水分がしっかり飛ばされており、旨みが凝縮している印象です。中心には梅と、そこから3方向に広がるように舞茸が配置されています。カニが手足を広げている様子をイメージしているとのことです。ちなみに乗っているカニはズワイガニです。もともと毛蟹から始まったかにめしですが、現在では毛蟹はとれなかったりするのです。一緒に入っている佃煮もかなや特製のものなので、ぜひ味わいましょう。
自家製の佃煮や漬物のほか、異色のネタとしてみかんの缶詰が入っていたりもします。これも昔からほとんど変わっていないとのことです。
楽しみ方2:かにめしをかなやの店内で!
今度は中央の茶色い暖簾がかかっている店について。ここでは「かにめし」を店内でいただけます。「かにめし」は駅弁が有名ですが、実はかなやのお店で直接食すことができるのです。
こちら。「カネカツかなや食堂」です。駅弁のかにめしも、結構あったかい状態で提供してくれるかなやさんですが、やっぱり弁当よりも店で食べた方が美味しいです。もちろん弁当も絶品ですよ。でも店内で食べるかにめしは格別です。長万部名物の名に恥じません。
注文したいのが、こちらの「かにめしセット」。店内飲食はかにめしの他にも多様なメニューが用意されています。しかしやはり「かにめしセット」の人気は高く、他のメニューよりも、注文してから短時間で運ばれてくる印象がありました。
私が駅弁との違いとして感じたのは、カニの身の柔らかさです。店内で食べるかにめしの身は本当にふわふわでした。そして味噌汁や茶碗蒸しも付いているのでかにめし一本だけよりも満足度が高いですね。小鉢も美味しいです。
「カネカツかなや食堂」の営業時間内で、長万部で時間があるのなら、店内でかにめしを食べることをお勧めします。
おまけ:長万部は遠い・・・という方には
特急列車の車内販売がなくなった今、長万部のかにめしを現地で食すには、長万部駅で下車することが必要です。札幌〜函館などを車で移動する際などは簡単に立ち寄れますが、長万部は訪問のハードルが高いという方も多いでしょう。
実は長万部に行かずとも、かなやのかにめしを変えるところがあるので、最後に紹介します。
1つは札幌にあるかなやの直売所。札幌・大通の丸井今井の地下1階にかなやの直売所があり、かにめしの駅弁を購入できます。
ただしこちらは駅弁。店内で温かいかにめしを味わうことはできません。やっぱり店内で味わいたい、そんな方には札幌近郊・新琴似駅の近くにある「カネカツかなや食堂 新琴似店」へ。ここでは店内でかにめしを食せます。
え、札幌も遠いですって?そういう方は冷凍のかにめしでよければネット上でも買えますよ。ただ、やはり冷凍物ではなくて、出来立ての絶品かにめしを是非味わっていただきたいものです。