函館に「茶房 旧茶屋亭」という喫茶店、いや喫茶店よりもお茶屋さん、といったお店があります。
赤レンガ倉庫群、教会群、八幡坂などのスポットは、函館を代表する観光地であり、多くの観光客で賑わいます。そして「茶房 旧茶屋亭」はそれらから非常に近い位置にあります。最寄駅は函館市電の十字街駅。十字街といえば、赤レンガ倉庫群、教会群、八幡坂のほか、函館山の夜景を見に行く場合にも使う駅です。まさに、函館観光といえばここだ!という場所に、旧茶屋亭はあるのです。
十字街にあるたくさんの観光スポットを歩いて巡れば、喫茶店で休みたくなることもあるでしょう。そんな時にここは立地の面でも素晴らしいですし、この喫茶店自体が函館観光の一環だと思います。以下で詳しく紹介します。
和洋折衷の外装・内装はまさに函館
旧茶屋亭は、「開港通り」という通りに面しています。函館(当時は「箱館」表記だった)はみなさんもご存知の通り、江戸時代鎖国をしていた日本が、日米和親条約の締結を機に真っ先に開港した場所です。そのため西洋の影響を強くうけ、それがさらに日本の文化と融合し、和洋折衷の、函館独特の文化が発展しました。
赤レンガ倉庫も、そこにあるオルゴールの店も、そして数々の教会も、すべてはこの江戸末期に真っ先に開港したことによる外国文化の流入の影響です。函館で塩ラーメンが有名なのも、中華スープの影響を受けたと言われていますし、教会や修道院があるのも当然キリスト教の流入によるもの。そして函館はスイーツでも有名ですが、これも西洋のお菓子作りの文化がいち早く入ってきたためです。
以上のように、函館はまさに港町であり、外国の文化がどんどん入って日本のものと融合していった場所です。函館の観光地・グルメはいろいろありますが、「港町」というキーワードで(もちろん多少の例外はありますが)スッと1本の筋で繋がっており、ここが函館の面白いところです。
旧茶屋亭の建物は内装も外装も、そしてメニューも、まさに「和洋折衷」と呼べるもので、これぞ函館文化、という印象を強く感じます。
この建物は1988年に伝統的建築物に指定された建物。元々は明治時代末期の海産商「近藤商会」の店舗であったそうです。その店舗と内装をリニューアルし、1992年に旧茶屋亭がオープンしました。
他のお客さんがいたので内装の写真は撮っていませんが、異国情緒あふれ、さらに椅子も同じものではなくバラバラであるなど、凝ったインテリアで豪華な印象でした。なんだか大正時代にタイムスリップしたかのようでした。
抹茶と甘味
そんな西洋風の外観と内装ですが、ここはお茶屋さん。抹茶とそれに合う甘味をいただけます。甘味はかなり日本的なものから洋風のものまで、いろいろな種類があるようですが、その時々によって変わるようです。季節的なものもあるのかもしれません。
日本的な「抹茶」と、和洋折衷の建物、洋風の甘味やシャーベットもあるなど、函館らしく、異文化が綺麗に融合している印象を受けました。
抹茶といえば温かい飲み物ですが、ここ旧茶屋亭では氷が入った冷たいバージョンもメニューにあります(夏季限定だと思います)。温かい抹茶だけでないのは非常に嬉しいポイントですね。また抹茶の濃さも好みによって調整してもらうことが可能です。
また私が行った時は(抹茶の)器も選ばせてくれました。初夏にふさわしい涼しげがあり、「ばやしの北海道紀行」のテーマカラーに近いこちらの器を選択。器のバリエーションも多彩なので選ぶのも楽しいです。
そして甘味。すごく美味しかったです。寒天なども手作りであるそうです。いちごやキウイも、そこらへんのショートケーキに乗っているようなものとはまるでレベルが違います。
シャーベットは手作りのようです。レモンのシャーベットであり、しっかりレモンの果肉も感じられました。レモンそのもの、何も不純物を感じない上品な味わいでした。
ただ単に美味しいだけでなく、西洋的だけど日本的。でもやっぱり西洋的。そんな「函館らしさ」を味わえる店でした。以上3つのセットで、1500円ほど。それでも抹茶を味わえる店はそう多くありませんし、この店の雰囲気、高級感を考えればリーズナブルだと個人的には思いました。店の方も親切で、結構ゆっくりできますよ。個人的には、もっと注目されてもいい場所だと思います。
実はコーヒーも名物
そしてここ、抹茶だけではなくコーヒーもあります。そしてその名も「3年間熟成珈琲」。コーヒー豆を3年間熟成させており、そのこだわりようは半端ではありません。元々は提供していなかったコーヒーですが、お客さんからの要望に応え、1997年にメニューとして追加されたようです。中には抹茶もコーヒーも苦手・・・という方もいらっしゃると思いますが、その場合にはほうじ茶を選択できます。
「旧茶屋亭」のサイトはこちら
旧茶屋亭について、詳しくは以下をご覧ください。