「乙女の涙」という別名でも知られる知床の「フレペの滝」。知床自然センターからフレペの滝へは遊歩道が整備されているのですが、知床五湖やオシンコシンの滝などの超有名観光地と比較すると情報は少なく、「どれだけ大変な道のりなの?危険じゃないの?クマとか出ないの?と心配になる方も多いでしょう。そこでこの記事では、フレペの滝の行き方・アクセス・ガイドさんの必要性などを含めたフレペの滝の観光ガイドをします。そしてフレペの滝の魅力ももちろんご紹介します。
フレペの滝への行き方と所要時間は?
フレペの滝へは、知床自然センターへ行き、そこから「フレペの滝遊歩道」を歩きます。


自然センターに行けば道しるべもちゃんとあります。案内はしっかりしていますから、迷う心配はほとんどありません。自然センターからフレペの滝までは1kmほど。決して長い道のりではなく、一般的な方でも20分ほどあれば滝まで行けてしまうでしょう。
自然センターからフレペの滝まで行って帰ってくるまでの所要時間はおよそ60分です。行きの道のりに20分、帰り20分、滝の前で20分といった感じですね。
ガイドさんは基本必要ありません!
基本的に、道中の詳しい説明が聞きたいとか、そういう理由がなければ、ガイドさんをつけなければならない道のりではありません。道もしっかりしていますし、ところどころ迷わないように看板も出ています。看板を見ながら、道なりに進んでいけば自然とフレペの滝まで行けますから、初心者でもガイドなしで十分到達可能です。



アップダウンも少なく、よく整備された遊歩道が滝まで続いています。開けた大地の上を、遠く知床連山を望みながら歩ける遊歩道は、歩くだけで気持ちがいい道のりです。時間があれば風を感じながら、のんびり歩いてみてください。
熊の出没には注意!
とはいっても、フレペの滝への道のりは気持ちのいい大自然なので、ヒグマが出るリスクはあります。ヒグマに出会わないための対策と、ヒグマに出会ってしまった時にどのような行動を取るのか、ということはしっかり頭に入れておきましょう。一応観光地ですから、熊撃退スプレーとかまでは持参する人はほとんどいないでしょうが、基本的な知識は不可欠です。
まずヒグマに出会わないために、周囲の人と話しながら、音を立てながら歩くこと・そして万が一ヒグマに出会った時は落ち着いて、クマに背中を向けずにゆっくりクマとの距離を取ることが大切です。決してパニックになって大声を出したり、走って逃げては行けません。ヒグマは非常に臆病な動物ですから、大半のヒグマは人間に出会いたくないと思っています(一部狂ったヒグマもいますが)。だからヒグマも人間に出会ってしまうと驚くわけです。そこで人間が悲鳴を上げるなどして刺激を与えると、ヒグマも興奮状態になり襲ってくる、ということがあるのです。ヒグマにそもそも出会わないように歩くこと、そしてもし出会った時は、ヒグマを刺激しないこと。これが超基本にして最重要事項です。
また、よく周囲を見渡して、早めにヒグマの存在に気づく、ということも大切ですね。ヒグマに気づかずに至近距離まで接近してしまい、ヒグマと目の前で出くわした場合、ヒグマも人間もパニックになることは必至ですから、大変危険です。
ここまで書くと「ヒグマが心配だからやっぱりガイドさんをつけたい」と思われる方もいらっしゃるでしょう。それはもちろん正しくて、ガイドさんと一緒の方が遥かに安全でしょう。ただ、個人的にはガイドさんをつけることよりも、個人個人がヒグマに関する基本的な知識を持って行く、ということの方が大切だと思いますし、もちろん稀に危険なケースも発生しますが、正しい知識をもとに十分気をつけていればヒグマのリスクは下げることができますので、ガイドさんが必須か、というとそこまではいかないかな、と思います。
フレペの滝の魅力
では、フレペの滝ってどんな滝??行く価値あるの?ということで、フレペの滝の魅力をご紹介しましょう。

こちらが「フレペの滝」です。断崖絶壁を静かに流れる滝で、「乙女の涙」という別名がいかにも似合います。また、写真を見ていただければわかるでしょうが、この滝は川から流れ落ちているわけではありません。断崖の岩肌から染み出した水が流れているという、珍しいタイプの滝です。このような滝を潜流瀑(せんりゅうばく)と呼びますが、川から流れ落ちず、岩肌からしとしと水が染み出す様子は、まさに涙のように見えます。

そして視界を滝の上に向けると、見えるのは知床連山です。

そして次に視界を下に下ろしてみます。断崖絶壁の先はなんとオホーツク海。なんとこの滝、オホーツク海に直接落ちる滝なのです。このように海に落ちる滝を海水瀑と呼ぶのですが、フレペの滝は潜流瀑かつ海水瀑という、極めて珍しいタイプの滝なのです。

そして断崖絶壁の先は、美しいオホーツク海。写真だとスケール感が麻痺してしまいそうですが、フレペの滝の落差はおよそ100m。この断崖はかなり高く、迫力があります。

また断崖の向こうには灯台が見えます。宇登呂(うとろ)灯台です。この断崖絶壁と、そこを静かに流れ落ちる滝、背後の知床連山、そして雄大なオホーツク海、その海を見守る小さな灯台。この風景が、なんともダイナミックで、でもそれでいて風情があって、なんとも言えない良さがあるのです。


フレペの滝の最大の魅力は、この静かな滝と山々、小さな灯台、そして険しい断崖と雄大なオホーツク海の組み合わせでしょう。決して水量は多くない「フレペの滝」ですが、世界遺産知床を代表する滝の一つに数えられているのは、滝の種類としての珍しさだけでなく、この景色の美しさがあると思います。
滝だけ見る人の中には「水量が少ないし大したことない滝だね」で帰ってしまう方もいるかもしれません。でも水量が少ないのは、「潜流瀑」という珍しい滝ゆえのことですし、滝の後ろの知床連山、滝を取り囲むような断崖と、眼下に広がるオホーツク海、そしてそっと寄り添う小さな灯台。この風景をちゃんと見たら、きっとこの場所が知床を代表する美しい場所だということをお分かりいただけるはずです。ぜひ足を運んでみてください。