美瑛を代表する観光地である「青い池」と、美瑛を代表する宿泊地「白金温泉」の間の道中に、「不動の滝」という滝があります。「不動滝」「不動の滝」は全国に数えきれないほどあるので、それらと区別すべく、ここは「白金(しろがね)不動の滝」と呼ばれたりします。
目の前にバス停!ただし駐車場はない
公共交通での訪問の場合、青い池や白金温泉とセットで
美瑛駅から白金温泉へ行く路線バスの停留場に、「不動の滝(道北バス)」というバス停があります。ここが不動の滝への入り口の場所。目の前にバス停があるため、公共交通でもアクセス容易な滝ですが、バスの本数は決して多くありません。また不動の滝周辺には時間を潰せる場所は全くないので、バスを使って訪れるなら、路線バスで「青い池」で降り、青い池を観光してから徒歩で「不動の滝」へ、そしてまた歩いて「白金温泉」へ行き、そして白金温泉から再び帰りのバスに乗る、または白金温泉で宿泊するなどが現実的でしょう。
徒歩の所要時間としては、青い池から不動の滝へは、徒歩25〜30分程度、不動の滝から白金温泉へは、徒歩20〜25分程度です。登り坂になるので余裕を持った移動をお勧めします。
一方で、白金温泉から不動の滝、不動の滝から青い池という方向だと、下り坂になるので体力に自信のない方はこちらの方向に歩くのがいいでしょう。
青い池〜不動の滝〜白金温泉の道のりは、ちゃんとした歩道があるので安心して歩けます。また一本道なので迷う心配も要りません。一方で、道中は本当に何もない山の中なので、飲み物等は必ず持参して歩くようにしてください。
駐車場はない!
車での訪問の場合、ネックとなるのが駐車場がないことです。あるのはバス停とともに設けられた路肩だけです。
路線バスが来ない時刻を狙って、路肩の邪魔にならない部分に車を止める。そして滝をなるべく早く見て急いで車を動かす、というのが現実的でしょう。長時間の駐車は迷惑になる場所です。
パワースポット・不動の滝
不動の滝へは、道路のバス停がある部分から遊歩道に入ってすぐ。ほんの1分ほど歩けば滝に到着します。
かつては白金不動の滝は「丸谷不動の滝」と呼ばれていました。ここに安置されている不動尊は、かつてあった温泉・丸谷温泉のご主人である、丸谷吉之助が信仰していたものであるためです。詳しくは後述します。
「新四国八十八ヶ所霊場」の一つでもあります。なぜ四国??と思われるかもしれませんが、「新四国八十八ヶ所」は四国まで行けない人のために設置された霊場なので、全国至る所にあるのです。
滝不動明王像。
これが不動の滝です。ちょっと渓流瀑テイストのある分岐瀑になります。落差は25mほど。緑の中を流れる水の流れ、とても気持ちがいいです。
青い池に近いので、青い水じゃないの?と期待されるかもしれませんが、決してそんなことはなく、普通の色の水が流れています。水が青いのは美瑛川の本流の方、この不動の滝は美瑛川の支流にある滝なので、青い池を作っている川とは別です。
滝の落ち口。倒木が何本か見られました。
滝壺付近にも倒木が。何本もある倒木が景観を損ねている気もしますが、これが自然のままの姿ということでしょう。ガッツリ苔が生えていたりするのでかなり前からここに倒れているのでしょう。
不動の滝と丸谷温泉
昔、この不動滝が「丸谷不動の滝」と呼ばれていたことは先述のとおりですが、この不動の滝と、丸谷温泉・丸谷吉之助の関連を、歴史とともにご紹介しましょう。
丸谷温泉がかつてあったのは、現在の望岳台付近です。
丸谷温泉は、初代常吉、2代捨吉、3代吉之助と3代続いていましたが、大正15年5月24日の十勝岳大爆発がこの地域を襲います。「大爆発」という文字通り、山の形をまるっきり変えてしまうほどの大規模な噴火であり、美瑛・上富良野地区は多数の犠牲者を出す甚大な被害を被りました。そしてその中でも丸谷温泉は施設ごと溶岩に飲み込まれ、火山泥流の下に埋没することとなってしまったのです。
そのとき犠牲になってしまった丸谷温泉のご主人、丸谷吉之助が信仰していたとされる不動尊をここに安置したことで、「丸谷不動の滝」となり、後に現在の呼び名である「白金不動の滝」に名前を変えたとされています。
なお、十勝岳大噴火については三浦綾子の小説「泥流地帯」で描かれています。三浦綾子の代表作のひとつなので、ぜひ手に取ってみてください。
また、現在ある美しい「美瑛の丘」の風景がつくられた発端も、実はこの十勝岳大爆発です。美瑛は元々は平らな土地でしたが、大噴火によって発生した火砕流で、100mほどの厚さのマグマの下に埋まってしまったのです。そしてそのマグマで埋め尽くされた土地が、長い年月をかけて風雨にさらされ、少しずつ削られていって、現在のような「美瑛の丘」の風景、すなわち波打つ丘の風景が出来上がりました。