北海道の鉄道旅の最大の魅力は、その雄大で美しい車窓でしょう。
この記事では、ばやしの北海道紀行が選ぶ、北海道の鉄道車窓10選をお届けします。この内容を参考にしつつ、ぜひ鉄道で北海道を旅して、北海道の美しさを感じていただければと思います。順番は基本的に北から並べてあります。優劣を表すものではありません。
#1 宗谷線 利尻富士
引用元:Google社 Googleマップ
宗谷線:抜海〜南稚内 間 旭川から稚内に向かって進行方向左側
まずは最北の区間、宗谷線の抜海〜南稚内間です。この区間では、日本海と利尻富士を同時に見ることができます。最北を感じさせる車窓として、北海道を代表する車窓風景の一つです。ただし、この景色はほんの10数秒程度。しっかり身構えておく必要があります。
日本海と利尻富士が同時に見えるのは一瞬ですが、実は利尻富士は比較的長い間車窓に見ることができます。
基本的にはこのように利尻山の頭だけ見える車窓が続き、抜海〜南稚内間の峠の頂上に列車が差し掛かった10数秒のみ、利尻山を裾野から見ることができるのです。
ただし、天気によっては利尻山が霞んでいたり、全く見えないなんてこともあります。
それでも、峠を登り切って、今まで見えなかった日本海が一気に見えるようになる車窓は、気持ちのいいものです。
#2 宗谷線 天塩川
引用元:Google社 Googleマップ
宗谷線:名寄〜幌延 間 旭川から稚内に向かって進行方向左側
次も同じく宗谷線、名寄〜幌延では、列車は天塩川(てしおがわ)と並行して走ります。穏やかな天塩川の流れは、宗谷線の見どころの一つです。
ここは神路渓谷と呼ばれる場所です。比較的新しい鉄道路線であればトンネルで突っ切ってしまうような場所を、右へ左へ天塩川に寄り添って進む車窓は圧巻です。
同じ場所ですが、上の写真は2022年撮影、下は2019年撮影です。少し天塩川の水量が違いますね。
冬は天塩川は真っ白になります。それでも木が生えていない場所から、川であることを認識できます。
#3 釧網線 オホーツク海
引用元:Google社 Googleマップ
釧網線:桂台〜知床斜里 間 網走から釧路に向かって進行方向左側
続いて釧網線です。日本の現存する鉄道路線で唯一オホーツク海が見える区間、釧網線の桂台〜知床斜里付近です。
綺麗なオホーツク海。しかし海が見える路線は北海道に他にもあります。ここが特別なのは、海が見えることだけではありません。
ここ、流氷が見えるのです。シーズンには臨時列車「流氷物語号」が網走〜知床斜里間に運行され、車窓から流氷を眺めたい観光客に好評です。
一応、流氷が見えている車窓です。本当はベストコンディションだと、流氷がしっかり接岸し、車窓いっぱいに流氷が広がります。流氷の分布は風向きによって毎日変わるため、真冬だからといって必ず見えるわけではありません。
また、美しいのは海側の車窓だけではありません。北浜〜浜小清水付近では海とは反対側にも濤沸湖(とうふつこ)が広がります。海側だけに集中しないほうがいい区間です。
#4 釧網線 釧路湿原
引用元:Google社 Googleマップ
釧網線:標茶〜釧路湿原間 進行方向両側
超有名観光地、釧路湿原ですが、実は釧網線の車内からガッツリ見えます。釧路湿原の中は、一般の車が走行できる道路はほとんど通っていません。もちろん環境保護のためです。しかし釧網線はガッツリ湿原の中を走っていきます。釧網線ができたのは釧路湿原を保護しようという運動が本格化する前のこと。だからこそこんな湿原を通り抜ける鉄道路線を建設できたのです。
釧路湿原がよく見えるのは標茶〜釧路湿原間です。基本的に湿原は、釧路方面からの場合主に車窓左側、網走方面からの場合右側に広がりますが、線路自体が釧路湿原国立公園内を通っているため、実際は両側に湿原らしい風景を望むことができます。
よく注意して見ていると、丹頂が見えることもあります。写真は茅沼駅から見えた丹頂です。列車の走行中は構えていないと写真を撮るのが結構難しいですが、冬期間であれば何羽かは見ることができるのではないでしょうか。
#5 花咲線 別寒辺牛湿原
引用元:Google社 Googleマップ
花咲線:厚岸~茶内 間 進行方向両側
湿原の風景でいえば、こちらの別寒辺牛湿原の方が湿原らしさがあるかもしれません。厚岸〜茶内間になります。
窓のすぐそばに湿原らしい風景が。知名度は釧路湿原に劣りますが、湿原らしい車窓では負けていません。確かに釧路湿原の方が広大さは味わえますが。
#6 花咲線 落石海岸
引用元:Google社 Googleマップ
花咲線:別当賀~落石 間 釧路から根室に向かって進行方向右側
花咲線のハイライト、ここも外せません。別当賀~落石間になります。まさに最果てを感じさせる車窓が、この区間の魅力です。
見えてくる突き出た地形が落石岬です。霧が出やすい場所でもありますが、天気が良ければ本当に日本離れした風景が楽しめます。
#7 函館線 羊蹄山
引用元:Google社 Googleマップ
函館線:長万部〜倶知安 間 長万部から小樽に向かって進行方向右側
函館線の山線と呼ばれる区間、羊蹄山が見えるのは長万部〜倶知安間です。基本的に羊蹄山を望めるのは札幌・旭川方面に向かって車窓右側ですが、線路が蛇行しているので車窓左側からでもチラチラ見ることができます。ただ、車窓左側から眺める羊蹄山は上級者向けです。ある程度羊蹄山の位置を把握していないと難しいでしょう。
蝦夷富士と呼ばれるだけある、綺麗な成層火山です。麓から綺麗に見ることができます。
#8 函館線 噴火湾
引用元:Google社 Googleマップ
函館線・室蘭線:森〜長万部〜東室蘭 間 函館から札幌に向かって進行方向右側
続いては函館線の噴火湾(内浦湾)の車窓。東室蘭から森まで、噴火湾を270度ぐるっと回ります。天気のいい日には噴火湾の反対側の陸地を望むこともできます。
陸地がぐるっと海を取り囲んでいるのがわかりますね。
窓を開ければ気持ちのいい潮風が入り込みます。
森駅近くでは、噴火湾と駒ヶ岳を同時にみることができます。
#9 函館線 駒ヶ岳
引用元:Google社 Googleマップ
函館線:仁山〜森 間 進行方向両側
函館線の駒ヶ岳も、北海道を代表する車窓の一つです。函館線の仁山〜森間でみることができます。大沼公園経由の路線(本線)と鹿部・渡島砂原経由の路線(砂原線)がありますが、どちらからも駒ヶ岳を眺めることができます。駒ヶ岳の全体を見渡しやすいのは、大沼公園経由(本線)の方です。
以下、大沼公園経由の本線の車窓に絞ってお伝えします。特急「北斗」などは、特殊な臨時列車などレアケースでない限りこの本線を経由します。
基本的に駒ヶ岳が見えるのは函館から札幌に向かって進行方向右側ですが、駒ヶ岳の複雑な地形により線路がかなり蛇行するので(特に駒ヶ岳〜森間)右側でも左側でもちょくちょく駒ヶ岳を見ることができます。
特に有名なのが、仁山〜大沼間で、札幌方面に向かって進行方向左側に見える小沼と駒ヶ岳の景色。ハイライトです。
#10 道南いさりび鉄道線 函館山
引用元:Google社 Googleマップ
道南いさりび鉄道線:上磯〜札苅 間 函館から木古内に向かって進行方向左側
あまり目立たない区間ですが、実はかなり風光明媚な車窓が楽しめます。海の向こうには函館山が浮かびます。新幹線の車窓からだと防音壁に阻まれ、わずかにチラッと見えるだけの函館山ですが、いさりび鉄道なら窓を開けてこれでもか!というくらいに絶景車窓を堪能できます。
北海道の車窓は絶景揃い!
今回取り上げた10の車窓はほんの一部です。他にも本当に美しい車窓が北海道にはたくさんあります。ぜひ、皆さんのお気に入りの車窓を、自分だけの風景を探しに、北海道へ行かれてみてはいかがでしょうか。