札幌市からほど近く。それも「滝野すずらん公園」という国営の公園内に、日本の滝100選にも選ばれるような屈指の名瀑があるのです。「公園内の滝?大したことなさそう!」「札幌から近いの?そんなに簡単に行けるってことは大した滝じゃないよ、大きな滝は山奥にあるんだ」なんてことを言う人を見事に裏切ってしまうであろう美しい滝です。そんなアシリベツの滝ですが、観光するにあたっては注意点もいくつかありますので、観光の際の注意点に触れながら、アシリベツの滝の魅力にも迫ってみたいと思います。
滝野すずらん公園はめちゃくちゃ広い!!
まずはこれ。公園と聞くと、「アシリベツの滝があるのは滝野すずらん公園なのね、じゃあそこに行けばいいんだ」と安直に思ってしまいそうですが、この公園、めちゃくちゃ広いのです。うーん、「広大」という言葉が似合いますかね。あのね、公園というよりもむしろ山一帯全体が「滝野すずらん公園」っていう感じなんですよね。仮に1日あっても、公園内を全部観光することは難しいかもしれません。そのくらい広いのです。

すずらん公園の地図。左のマップが「公園全体図」で右にあるのが中心部を拡大したもの。もう広すぎて訳がわかりません。ただ「広い」という表現はあまりにもざっくりしすぎているので、ちゃんとした数字で言うと、公園の敷地面積はおよそ400ヘクタール。東京ディズニーランドのおよそ8倍の広さ、というとわかりやすいでしょうか。
だから、すずらん公園のここに行くついでに滝も見にいこう、なんて安易に計画を立てると痛い目に遭うことがあります。同じ「滝野すずらん公園」でも、「同じ公園にあるから、寄り道感覚で行けちゃうだろう」なんていう風に、簡単に考えてしまわないほうがいいでしょう。
アシリベツの滝への要注意なアクセス
アシリベツの滝に行くには、車で行く場合、「滝野すずらん公園 渓流口駐車場」に車を停め、そこから徒歩になります。駐車料金は普通車420円(2025年7月現在)です。
一方、公共交通機関であるバスでいく場合は、バス停「すずらん公園渓流口」で下車します。「中央口」「東口」ではなく「渓流口」なので注意です。

またさらに注意が必要なのは、すずらん公園渓流口の前に「厚別(あしりべつ)の滝」というバス停があることです。アシリベツの滝に行きたいのだからバス停「厚別の滝」で降りるべきでしょう、と誰もが思ってしまいそうですが、「厚別の滝」はトラップです。正しいバス停は「すずらん公園渓流口」ですから、降り間違えることのないようにご注意ください。
また、バスでアシリベツの滝に行く場合、もう一つ注意点があります。路線バスは、地下鉄真駒内駅からのバスと、地下鉄福住駅からのバスの2系統がここに来ます。ただし、真駒内駅からのバスは通年運行していますが、福住駅からのバスは冬季(12月〜3月)は完全に運休、それ以外の時期も土日祝日だけの運行になっていたり運行日に注意が必要です。詳しくは以下のサイトから見ていただきたいのですが、この複雑な運行日ゆえに、時折Googleマップの経路検索などで本来はないバスが経路として出てくることがあります。福住駅からのバスは運休の日なのに経路検索の中の時刻表に表示されたりしてしまうことがあります。真駒内駅からのバスを利用する場合は、基本毎日運行なので心配入りませんが、福住駅からのバスを利用する場合、十分注意が必要です。

また、終バスもかなり早いです。すずらん公園を出る真駒内駅行きの最終バスは、16時30分ごろ(2025年7月現在)です。公園の閉園よりも前に最終バスが出てしまうので、帰れなくなることがないよう、最終バスのチェックは不可欠です。
渓流口からアシリベツの滝までは徒歩1km!

渓流口に車を停めて、またはバスを降りて、アシリベツの滝まではおよそ1km、徒歩15分ほどです。また滝までの道のりは自転車でも行けるくらい整備されており、非常に歩きやすいです。滝に近づいて山奥に入ってくると少し道は悪くなるのですが、基本的にはコンクリートで舗装された道をずっと歩くことができます。階段もないので、滝までの道のりはトップクラスに歩きやすいです。

滝までの道のりはこんな感じ。さすが公園内とあって、滝に行く道とは思えないほど整備されています。

流れる川を見ながら歩く気持ちよさは格別です。

滝に近づいてくるとさすがに序盤ほど綺麗な道ではありませんが、十分自転車でも車椅子でも走れるであろう道です。
ここがすごい!アシリベツの滝の魅力
アシリベツの滝は落差26メートル。北海道を代表する名瀑ですが、意外にも落差としてはそこまで大きくありません。特別大きいわけではないにもかかわらず、滝の幅や水量は申し分なく、もっと大きな滝のように感じてしまう迫力があります。

ただ何よりも特徴なのが左右両側の流れがあること。滝に向かって右側からの流れが本流で、水量も多く迫力があります。こちら側、本流の滝を雄滝と呼ぶそうです。

よく見ると、水の跳ね方もなかなかに綺麗ですね笑

そして少し木に隠れてしまっていますが、向かって左側を流れるのは支流・清水沢川から流れる雌滝。こちらは優美な流れです。
アシリベツの滝は見られる時間に注意!
さて、そんなアシリベツの滝ですが、忘れてはいけません、一応公園の中にある滝です。ということで、滝を見られるのは公園の営業時間内だけです。すずらん公園内には入場料が必要なエリアもあるものの、アシリベツの滝があるスポットは入場料はかからないエリアなので、無料で滝まで行くことができます(駐車場を使う場合、駐車料金はかかります)が、公園の営業時間には従う必要があります。営業時間等について詳しくは、公式ホームページをご覧ください。
最後に:虫はいるの?クマはいるの?
虫はいます。でもかなり少ないです。さすが公園内といった感じで、しっかり人の手が届いているのか、滝に近づいた山の中でもかなり虫は少なく、快適でした。もちろん山の中としては「少ない」というだけで、一般的な公園と比較すればある程度虫はいますから、どうしても虫が苦手な方は虫除けを持参するといいでしょう。ただ多くの方は、虫除けを持参しなくともそんなに煩わしい思いはしないでしょう。
続いて。クマさんは「いない」と断言することはできませんが、公園内ということもあり出会う確率はかなり少ないです。「ほとんどない」と言ってもいいくらいで、過度に心配する必要はありません。とはいっても、北海道ではどこにいても熊が出てくる恐れはありますし、山の中ということを考えれば、可能性は決してゼロではありません。それは念頭に置いておきましょう。