今や世界から人気を集める登別。
登別温泉、地獄谷などが非常に有名ですが、それに並ぶ観光地として、登別温泉街に「のぼりべつクマ牧場」という場所があります。
「クマ牧場」と聞くと、「私クマに興味ないから行かなくていいや」と思われてしまいそうですが、「クマ牧場」の魅力はクマだけではありません(私はむしろクマ以外の魅力の方が大きいと感じます)。そんなクマ牧場の魅力と見どころをご紹介します。
入場料3000円に躊躇しそうになるが・・・
まずお金の話です。のぼりべつクマ牧場の入場料は大人1人3000円。結構な値段がかかるように思われます。一見高く見えますが、それだけの価値があるのだ、ということを知っていただきたいと思います。
入場料3000円は、「入場料」と言うから高く聞こえるのです。実際には、山頂までの往復のロープウェイ運賃・クマ牧場の料金・クマに関する展示の観覧料・展望台の入場料・その他施設見学をすべて含んだ金額です。特に往復のロープウェイを含んで3000円とは、かなり良心的な値段なのではないでしょうか。
クマ牧場の見どころ
続いて、そんなクマ牧場の見どころを紹介します。
ロープウェイ
まずはこれから。クマ牧場は、山の上にあるので、そこまでロープウェイで移動します。ロープウェイとは言いますが、みんなでまとまって大きなロープウェイに乗り込むのではなく、1組ずつ1つのゴンドラに乗る、というスタイルです。私的にはこういうものは「ゴンドラ」と呼んだ方がしっくりくるのですが、おそらく定義上ロープウェイなのでしょう。スキー場のゴンドラのそれと同じようなものなので、全員が必ず座れる点は安心ですね。
山頂までの所要時間はおよそ7分。結構ガッツリ乗るのです。ゴンドラから眺める遠くの山々や、見下ろす登別温泉の街並みはとても美しく、これを見るだけでもかなりの価値があると思います。
クマ牧場
山頂に着くと、そこは全てクマ牧場、と言うわけではありません。山頂のスペースの一部エリアに、クマがいるスペースがあるのです。
上からクマを眺めるだけでなく、餌を投げ込むこともできますが・・・
これ、私が訪問した時は、クマのいるスペースに大量のカラスがいました。おそらく、観光客がクマに向けて投げ込む餌を、カラスが狙っているのです。カラスの鳴き声が絶え間なく聞こえ、カラス自体も人慣れしているのか低空飛行を繰り返し、あまり気持ちのいい空間ではありませんでした。
ちょっと面白い区画として、「ヒトのオリ」というものがあります。
まあ要するに、クマが周りを取り囲んでいて自分が檻の中に入っているような感覚を味わえるといった場所ですね。分厚い壁と厳重なガラスで囲まれているのでもちろん安全です。壁にはクマに餌をあげる用の穴が設けられており、そこからクマに餌やりができます。餌は檻の中の無人販売機で売られています。
クマの生態・クマとアイヌの歴史の展示
ロープウェイの山頂駅を降りてすぐ右にある建物の2階には、クマの生態や、クマと共に暮らしてきたアイヌ民族の暮らしなどが展示されているスペースがあります。ちなみにこの建物の屋上が、この後紹介する倶多楽湖展望台になっています。
アイヌにとって、クマはカムイ(神)でした。アイヌにとっては自然界の植物・動物・自然などあらゆるものがカムイとして信仰の対象ではありましたが、その中でもクマは特別でした。単に「カムイ」というとクマを指す、というくらい特別な存在だったのです。クマを語る上で、アイヌとの関係は欠かせないもの。そういったことを、展示から学ぶことができます。ここは動物園ではありません。クマを見た、かわいい、それで終わりではないのです。クマとアイヌの関係、それを学ぶことがクマ牧場の大事なポイントの一つです。
倶多楽湖展望台
あの、これが本当にすごいです。クマを見るためというよりもむしろ、この展望台からの景色を眺めるために、3000円を払ってここを訪れてほしいと思います。
倶多楽湖(くったらこ)は綺麗な円形をしたカルデラ湖。国内でもトップクラスの水質・透明度を誇る湖です。また支笏洞爺国立公園の中ということもあり、この湖を見ることができる場所は限られています。綺麗な形といい、透明度といい、周辺の地形といい、非常に神秘的な湖です。
そして、かつては本当にこの倶多楽湖展望台がメインの観光地でした。かつてはクマ牧場などなく、倶多楽湖展望台に上がるため人々がこの山頂を訪れていたのです。
しかし登別は霧の多い場所で、しばしば霧で展望台から倶多楽湖が見えなくなってしまいます。そんな時は、観光客はしょんぼりして帰るだけ。これじゃあかわいそうだ、たとえ景色が見えなくてもお客さんを楽しませられるものを山頂に作ろう、ということで作られたのが「クマ牧場」であるわけですね。
「クマに興味ないからクマ牧場は行かない」は、あまりにも勿体無いです。こんなに素晴らしい展望台があるんですよ。
アイヌの暮らしの展示(ユーカラの里)
屋外の「ユーカラの里」という場所には、アイヌの人たちが住んでいた家(チセ)が展示されていたりします。中に入ることもできます。チセの中には、アイヌが使っていた道具などが展示されていたり、実際アイヌが暮らしていたチセの中の様子が再現されていたりします。有料ではありますが、アイヌの民族衣装を借りて写真を撮ることもできるようです。
ただし、ユーカラの里は、冬季間の積雪が多いときなどには、見学できないことがあります。
その他の見どころ
あとはリスも飼育されており、小屋の中に入ると見ることができます。
また時間になると、アヒルの競走も。
飲食もできますよ!
倶多楽湖展望台がある建物の1階にはレストランもあり、食事をすることも可能です。アヒルの競走などのイベントの時間までここで食事をして待つ、なんてことも可能です。
見学の所要時間は?
ロープウェイの山麓駅から山頂に上がり、観光して戻ってくるまで、最短で45分、標準的には1時間30分程度でしょう。ただ、ロープウェイが混雑してしまうと乗車までに時間がかかる可能性があるので、注意が必要です。ただその場合でも2時間見ておけば十分でしょう。
もちろん、山頂で食事をしたり、何か(アヒルのレースなどの)イベントをみようと思ったら、もっと時間がかかります。あくまで上記の所要時間は、食事もせずイベントの時間も待たず、クマ牧場・常設展示・展望台などを一通り見てくる場合のものです。