この記事は、春の胆振散歩(3)の続きです。
測量山展望台
空いていたので文学館でゆっくりした後、外に出ると天気は割と良い感じに。というわけでそろそろ行動を始めることにしました。
はじめに向かおうと思ったのが、測量山展望台です。室蘭市を一望できるスポットで、ここ室蘭駅前からも決して遠くありません。片道2km強なので歩いてもいいかな、と思いましたが、もちろん展望台までは上り坂ですし、日が暮れるまでにある程度観光名所を見ておきたい、そうすると残り時間的にもきついかな・・・と思っているところに目の前にタイミングよくタクシーが現れました。
測量山展望台までタクシーで連れて行ってもらい、帰りは歩いて室蘭駅まで帰ればいいでしょう。
そんな話をタクシーの運転手さんにすると、「メーター止めて待っててやるから帰りも乗らないか」とのこと。それならとお言葉に甘えることに。
タクシーに待ってもらい、測量山展望台への階段を上がります。右下に止まっているのが待っててくれているタクシーです。
展望台からは、昨日近くまで行った白鳥大橋が望めます。天気の回復を待った甲斐あって、ちゃんと青空の下、美しいです。
ここは測量山の山頂。電波塔が並びます。
展望台は貸切状態でした。360度のパノラマを楽しめるのが、ここ測量山の特長です。
さて、タクシーに戻り、駅まで送ってもらう予定でしたが、本当の私の次の目的地は駅ではありません。次は室蘭を代表する観光名所、地球岬まで行きたいのです。それならこのままタクシーで地球岬まで送ってもらったほうがいいと思い、地球岬まで行った場合の料金を尋ねると、1000円くらいなら負けてやるよ、とまで言っていただけました。いや、待っている間メーター止めてもらえただけでもすごいのに、本当に親切ですよね。
と言うわけで、地球岬まで運ちゃんに送ってもらうことに。
途中で寄ってもらった室蘭八幡宮。
トッカリショ・金屏風・地球岬
地球岬に行く際、地球岬の奥にトッカリショという景勝地があるのですが、トッカリショと地球岬の往復分はサービスしてやるからぜひ見ていってほしい、と言っていただけました。そんなわけで、地球岬の前にトッカリショへ向かうことに。
すごい光景です。独特な地形とこの断崖絶壁。もちろん他に観光客などいなく、この景色を独占です。地球岬にはたくさんの観光客が訪れますが、そこからさほど遠くないここに来る人は多くないでしょう。少なくとも公共交通機関ではかなり難しい場所です。
反対側の景色もまた美しさがあります。最果て感も感じる風景に思えますが、割と車さえあれば手軽に来れてしまうのはすごいポイントです。車さえあれば、ですけど。
そう、この風景に出会えたのはタクシーの運ちゃんがサービスしてくれるおかげです。
地球岬に行く前に、金屏風というこれまた景勝地があるのでそこに寄ってもらいます。
どうですか。岩肌が金色になっていませんか。この時の感じだと手前の岩は確かに金色ですが、奥の岩はそうでもないように思えました。陽の光の当たり方によっては、両方の岩がしっかり輝きを放つ金色になるようです。
続いて室蘭一の観光地であろう、地球岬です。
地球岬の名前は、アイヌ語で断崖を意味する「チケプ」に由来します。「地球=earth」とは関係がないのですが、ぐるりと見渡せる水平線に、地球の丸さを感じます。
観光地だけあって展望台もしっかり整備されており、360度の大パノラマを楽しめます。オフシーズンだからか、超有名観光地なのに心地のいい観光客数です。
展望台の上は強風が吹き荒れています。3月の北海道とはいえ室蘭はもう春の風。風は強くとも寒さは感じませんでした。
展望台には鐘があります。その鐘のデザインもなんだか地球チック。あのか〜ね〜を〜鳴らすのはあな〜た〜です。
まだ3月。売店はやっていませんでした。
絵鞆岬・銀屏風・ハルカラモイ
地球岬には長居しましたが、ずっとメーターを止めて待っていてくれたタクシーの運ちゃん。まあこのまま帰ってもいいのですが、せっかくこんなにいいタクシーを捕まえたのでもっと室蘭の絶景を巡ってしまいたい気もしてきます。いわゆる「室蘭八景」など景勝地を全て巡る場合、どのくらいの料金になりそうかをまず運転手さんに確認。流石に高くなるかな・・・と思っていましたが意外と良心的な金額だったので、ここはもうこのタクシーに頼って室蘭の名所を巡ってもらうことにしました。
本当は今日と明日も多くの時間を室蘭観光に使う予定でしたが、今日タクシーで巡ってしまえば明日は室蘭観光ではなく、別のことに時間を使えるわけです。要するに今日1日で2日分の内容を達成できるということで、結構いいんですよ。1泊延泊して観光するのにも宿代・食費・交通費等かなりかかりますからね。こんな風にタクシーを駆使しても2日分の内容を1日に詰め込めば、トータルで見ればコストは小さいだろうという判断です。
あれ、なんか見覚えありますね。昨日来た絵鞆岬です。「昨日来たんだったらここはいいよね?」と言ってスルーされそうになりましたが危ない危ない。昨日とは天気が違うのですから、もちろん立ち寄ります。
地球岬でタクシーを待たせすぎたからか、ここではタクシーの運ちゃんも外に出てきて色々説明してくれました。空気が澄んでいる日ははっきりと羊蹄山を望めるようです。
さっきの金屏風と対になる「銀屏風」。
ここはハルカラモイという場所。アイヌ語で「食料をとる入江」のこと。北海道の名付け親である松浦武四郎の文献にも記されていた場所であるとのことです。ただの景勝地ではなく、漁労活動によく使われた場所で、この辺りに古くから暮らしていたアイヌの人たちにとっても、生活の上で重要な場所だったのでしょう。
ローソク岩・マスイチ浜
こちらはローソク岩。確かに蝋燭に見えます。
そして最後はこちら。マスイチ浜です。マスイチはアイヌ語で「ウミネコの家」の意。ウミネコの巣が多くあったようです。またこの辺りではアイヌが狩猟生活を送っていたようで、1959年にはそれを示す遺跡が発見されています。
またタクシーを入れて一枚。
ちゃんと展望台もありました。
マスイチ浜の反対側の景色もなかなかの絶景。室蘭の地形は本当に面白いです。
東室蘭へ
さて、いよいよ帰ります。本当はタクシーで室蘭駅まで送ってもらう予定でしたが、電車の時間が1時間くらいなかったので、宿をとってある東室蘭まで直接送ってもらうことにしました。もう室蘭駅周辺での時間潰しは飽きるほどやりましたから。
東室蘭の宿まで送ってもらったので、結局タクシー代は少し高くついてしまいましたが、それでも全然納得できる金額、いや普通にこれだけタクシー使ったことを考えると安すぎるのだろう、ということは想像がつく金額でした(最後のメーターの金額からも2000円ほど引いてもらいました)。それでも学生の分際なので1日の出費としては確かに痛かったですが、今日1日で2日分の内容をこなしたと考えればまあいいでしょう。
タクシーで送ってもらったのは宿まで(宿の方が駅よりまだ近いのでね)ですが、これで1日を終わらせるつもりはありません。せっかくタクシーを使って時間をお金で買ったわけなので、さらに詰め込みます。
電車に飛び乗って白老へ
とりあえず苫小牧行きの普通電車が出る時刻だったので、これに乗ることに。発車時刻ギリギリだったので宿から全力で走ってきました。電車に乗る前に行き先を決めて切符を買う必要があったわけですが、ここは白老に決定。白老牛食べてこようかな、と思ったのです。そのきっかけはもちろんこの旅行記から。
春色の汽車に乗って、海沿いを走っていきます。
白老駅に到着。白老といえば「ウポポイ」なわけですが、ウポポイの観光は何時間も必要なもの。今回は行きません。まずは観光案内所へ。
観光案内所でまず白老牛の店の情報を集めます。結構駅から遠い店が多いんですよね。あとは白老牛のハンバーグならある、という店も。うーん、白老牛はハンバーグじゃなくてちゃんと食べたいなあ、なんて言いながら色々な調査の結果「羊のアジト」という店に行ってみることに。
ちなみに観光案内所の人は(おそらく)中国の方が担当してくださいましたが、めちゃくちゃ親切でした。空いていたこともあるのでしょうが、かなり長い時間熱心に調べてくれ、お店に電話で確認したりも全てやってくれました。また、最後にオリジナルのエコバッグをいただきました。こっちが一方的にお世話になっただけなのに。感謝です。
「羊のアジト」は海賊をイメージしたお店。いい雰囲気です。
白老牛。言うまでもなくめちゃくちゃ美味しいです。脂がとにかくすごい。口の中ですぐに溶けてなくなります。
そして名物である羊肉のジンギスカンも注文。普通はジンギスカンは鹿肉ですが、羊肉のジンギスカンという珍しいものもあるのです。もちろんめちゃくちゃ美味しかったです。まあ美味くないわけがないです。
暗くなりかけた白老駅に到着。ここから東室蘭までJRで戻り、宿まで帰ることとします。