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真冬の北海道横断の旅(3)流氷を探して

旅行記

こちらの記事は、真冬の北海道横断の旅(2)の続きです。

[2日目]

始発列車

案の定ほとんど寝ていませんが、早朝の網走駅に到着です。皆さんも修学旅行の時とかほとんど寝てなかったでしょう?

この「網走駅」の縦書きの看板が有名なんですけど、ご存知ですか? 出所した受刑者たちが横道にそれないように、との願いを込めて、横書きでなく縦書きの看板なのだ、とよく言われていますが真偽はわかりません。

駅に着くと、釧網線の始発列車、釧路行きがもう発車を待っていました。もちろん毎度お馴染み、1両のワンマンカーです。

目的地は?というと止別(やむべつ)駅です。車窓から流氷を眺めた後止別駅で降り、また反対方向の列車に乗り込んで、流氷を眺めながら網走に帰ってこようという作戦です。ついでに止別駅に降りることができるので、「無人駅めぐり」も兼ねているというわけです。

網走駅発車は6時41分。網走から止別まではわずか30分ほどです。網走の次の駅、桂台(かつらだい)はまだ街中ですが、桂台を出るとオホーツク海が見えてくるはずです。果たして流氷は来ているのでしょうか。

はい、全然流氷がありません。流氷のりゅの字もありません。

ただの真冬の海岸線を、列車は快調に走っていきます。

7時12分、流氷が見えないまま、予定通り止別駅に降り立ちます。味わい深い木造駅舎が特徴の駅です。

見事な木造駅舎。「えきばしゃ」という喫茶店が駅舎内にあるのですが、流石に午前7時にはやっていません。静かです。

駅前はこんな感じ。いい雰囲気です。

さて、駅の雰囲気を楽しむのもそうですが、流氷が見えないという事態に、再び作戦会議が必要になりそうです。予報では流氷が来るはずだったのですが・・・

まずは流氷観光船「おーろら」に電話します。昨日満席で取れなかったわけですが、今日ならキャンセルが出ている可能性もあるかと思って。あと流氷の情報とかも聞きたかったのです。

電話したところによると、「おーろら」は案の定満席で、乗ることはできないようです。そして流氷も網走付近には来ていないという情報もいただきました。仮に「おーろら」に乗れたとしても流氷を見ることはできない、とのことでした。

やがて網走行きの列車がやってきて乗り込みます。車内は通学の高校生で混雑していました。

作戦会議

車窓を眺めても流氷は見えませんから、景色は眺めずひたすら情報収集に徹します。今日はサロマ湖に移動しないといけないので、12時には網走を出る必要があります。残された時間は4時間ほど。さてどうしましょうか。

方向としては2つあります。1つは流氷の情報を引き続き探し、なんとか流氷を見られないか模索すること。もう1つは流氷を諦め、他の面白そうな場所を観光することです。

結論が出ないまま、列車は網走駅に到着しました。

夏は朝市などもある網走ですが、冬に、特に徒歩圏内で観光する場所というとそこまで多くありません。まずはセントラルホテルに戻ります。

悩んだ結果、とりあえず道の駅に歩いて行ってみることにしました。道の駅であれば、観光の情報も流氷の情報もどちらも得られるだろうと思ったためです。観光船「おーろら」も道の駅から出ているので、もしかしたら直前キャンセルが出て乗ることができるかもしれません。まあ、仮に乗れたとしても流氷は見れないのですがね。でも流氷は見えなくても、何かしら楽しませてくれるでしょう。

ホテルから道の駅までは1kmもありません。

道の駅に到着です。ここで情報を仕入れる前に、海に近づいて海の様子を見てみます。

うーん、よく見ると結氷はしているんですけどね。

ほらほら、こうやってみるとわかりやすいでしょう。

道の駅で得た情報としては、「おーろら」にはやはり乗船できないこと、仮に乗れても流氷は見えないこと、午前中に流氷を見るのは厳しいということです。しかし一方で、網走から離れた斜里(しゃり)町の朱円海岸には、流氷が接岸しているという情報を得ることができました。

流氷が網走に来ないのから、こっちから流氷に近づけばいいのです。そうです、これから斜里に向かいます。

もちろん最初は、教えてもらった斜里の朱円海岸に行こうと思いました。しかし、朱円海岸は地元の人しか立ち入らないような海岸で、行くのは現実的ではないことが判明。でもいいのです。とりあえず朱円海岸に近づくしかないでしょう。果たして近づけるのか、どうやって近づけばいいのかさえわかりませんが、もう見切り発車で斜里に向かいます。

流氷物語号

急いでホテルに帰り、荷物をまとめて網走駅へ向かいます。乗るのはこの時期だけ運転されている臨時列車「流氷物語号」知床斜里(しれとこしゃり)行きです。

「流氷物語号」の網走出発は9時58分、だと網走駅のコンコースに着くまで思っていました。しかし発車標を見てびっくり、出発時刻は9時52分でした。急いで改札を通って跨線橋を渡り、列車に乗り込んだのは9時51分。危なかったです。

道の駅からホテルに戻り、そこから駅に行って列車に乗るという行程はあまりにバタバタしていたので、写真1枚撮っていません。流氷物語号に乗って斜里に行くなんて、当初の計画には全くありませんでしたから。

「流氷物語号」の車内から再びオホーツク海を眺めます。さっきと違い、遠くにうっすら流氷が見えますね。本当にうっすらですが。

列車は、オホーツク海に一番近い駅、北浜(きたはま)駅に到着です。ここで10分の停車時間があり、その時間中に車外に出て流氷を楽しみましょう!という時間です。まあ流氷来てないんですけれども。

ほんとにね、うっすら見えるんですよ。遠くに。うっすら流氷が。

斜里の50分

10時42分、列車は終点の知床斜里駅に到着です。11時30分知床斜里発の網走行き「流氷物語号」で網走に折り返さないと今日の宿泊地、サロマ湖に行けなくなってしまいますから、与えられた時間はわずか48分。この間になんとか流氷を見に行きたいのです。

というわけで一目散に改札を飛び出し、駅前に運よく1台だけ停まっていたタクシーの運転手さんに状況を伝え、流氷を見られる確率が少しでも高そうな場所に連れて行ってもらうことにしました。斜里って、海を眺めながら海沿いを走る道がないので、地元の人でもいつどこに流氷が来ているのかわからないんですよ。でもここは運転手さんの勘に賭けるしかありません。

まあこれは勝ちでしょう。しかも独り占め状態です。

足元も流氷なんですよ。これ。気づいたら流れ着いた流氷の上に乗っていたりもするのです。流氷を持ち上げることもできました。かなり重かったです。

わかりますかね。流氷はすぐそこで終わっています。たどり着いたのは、流氷の一番端の部分。タクシーの運転手さんがこの場所を選んでくれたおかげで、ぎりぎり見ることができたのです。他の場所が選ばれていたら流氷は拝めなかったでしょう。

忘れてしまいそうですが、時間がありません。急いで駅に戻らなければ列車に乗り遅れてしまいます。こんな状況を考えてくれ、タクシーの運転手さんは行きも帰りも、(もちろん法定速度の範囲内で)すごく飛ばしてくれました。本当に感謝しかありません。

(つづく)

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