大沼公園にはレンタサイクルがあり、自転車を借りると大沼を一周することを勧められます。1週14km、70分と言われますが、時間には注意が必要です。というのも、途中にいくつか見所があるので、それらにしっかり寄っていると70分で一周するのは結構厳しいです。時間には十分余裕を持って行き、自転車で大沼一周して余った時間を公園内の遊歩道散策に使う、というのが賢いと思います。
また電動と普通の自転車を選ぶことができますが、道のりは多少のアップダウンがあるものの、比較的平坦なのでどちらでもいいと思います。普通の人にどちらをおすすめするかといえば、距離が長いので電動を勧めますが、ある程度の体力があれば普通の自転車で楽々走れてしまう道のりです。
急な上り坂はないですが、なだらかな上り坂が比較的長距離続く区間があるので、それも踏まえて判断するといいと思います。
大沼公園駅前から出発!
ここは大沼公園駅前。ここから自転車を走らせます。写真右がレンタサイクルのお店ですね。実は道は非常に簡単で、この道をずーっとまっすぐ行くだけで大沼を一周し、ここに戻ってくることができます。迷う心配は要りません。
住宅街も、気づけばいつの間にか自然の中の道に。車の交通量も多くなく、また歩道もしっかり整備されているので安心です。こんな場所、歩行者などいるはずもないですしね。
緑の中を自転車で疾走するのは非常に気持ちがいいです。つい立ち止まってしまいたくなります。
今まで見えていなかった大沼ですが、ついに左側に見えてきました。美しい緑と湖面。最高です。
駒ヶ岳正面
引き続き緑の中を走ります。
大沼公園を出て、最初に現れた開けた場所がここ。ちょっとした休憩所になっています。そして正面には駒ヶ岳を望みます。だいたいこのあたりが、大沼一周サイクリングの中で、まさに駒ヶ岳を「正面」に捉えるスポットです。
湖面スレスレまで降りることができ、人工物も何も入らない駒ヶ岳を独占できます。人工物どころか、木が遮ったりすることもありません。レンタサイクルで来なければ見られない、まるで絵画であるかのような美しさです。
湖畔の木道
美しい駒ヶ岳の姿を拝んだのち、さらに自転車を前に進めます。
苅澗川(かるまがわ)を渡ります。大沼に注ぐ小さな川です。
駐輪場がありました。ここに自転車をとめて、果たして何があるかというと・・・
大沼湖畔の木道散策ができます。ここは水芭蕉の群生地としても知られています。
そして木道の先には、もちろん大沼と駒ヶ岳です。
この複雑な山の形は、大規模噴火による山体崩壊の結果です。駒ヶ岳は、かつては富士山型の綺麗な形で、標高ももっと高かった駒ヶ岳ですが、1640年の大規模噴火で山体が東側に崩壊。その山体は噴火湾や大沼に流れ(岩屑なだれ)、大変な被害をもたらしました。特に大きかったと言われているのが、岩屑なだれが大沼に流れ込んだことによる津波(駒ヶ岳噴火津波)です。700名以上が津波に巻き込まれ命を落としたという記録があります。
そしてこの山体崩壊が、現在の大沼・小沼、そして駒ヶ岳周辺の地形を形作ることとなりました。例えば地図を見ると駒ヶ岳の東側、噴火湾に向かってツノのように飛び出た部分があります。ここは出来澗崎(できまざき)と呼ばれる場所ですが、駒ヶ岳の岩屑なだれによってできた地形です。
また、山体崩壊による岩屑なだれが堆積し、大小さまざまな山や丘を形成した土地を流れ山地形と言いますが、駒ヶ岳東側にはこの流れ山地形がよく見られます。それを証拠に、「流山牧場」など「流山」が地名に使われていますね。
東大沼キャンプ場
さらに自転車を走らせると、東大沼キャンプ場です。
キャンプ場というだけあり、車も停まっていますし人もいました。トイレもあるので、必要な方はここで利用するのがいいでしょう。この先の大沼園地にも一応トイレがありますが、ここが一番綺麗で大きいです。
このキャンプ場が大沼一周中に唯一人の営みを感じられる場所でした。今までの大自然真っ只中とは雰囲気が違います。
鮮やかな色の芝生と木々。そして目の前の湖面。なんともまったりとした空間です。テントを張って湖を眺めている人たちも結構な数いました。今度またキャンプしに来てみたいな。
大沼は目の前ですが、この辺りから大沼の向こうに駒ヶ岳は見えなくなります。大沼を一周しているので、今までは大沼の向こうに駒ヶ岳を望んでいたのが、この辺りまでくると位置関係が変わってしまうのです。
ということでここからは、ゴール付近まで駒ヶ岳の姿を見ることはありません。この先の道のりでは、駒ヶ岳は大沼の反対側にきます。
この辺りで大沼一周もだいたい半分(ここはスタートから6km地点/1周は14km)。いよいよ後半戦です。
大岩園地
駒ヶ岳と大沼の間を走ります。
「大岩園地」に到着です。「大岩」というのは、この近くの駒ヶ岳神社にある大きな岩を指します。この岩は駒ヶ岳大噴火の際の噴石だったりします。
小さな沼だなあ、と思うかもしれませんが、これはこれまでずっと見てきた大沼です。ちょうど大沼が入り江のようになっている場所なので、このように見えるのです。
そしてここから遊歩道が続いています。今回は散策する時間はないので、遊歩道に進むことはなく自転車で先を急ぎます。
大沼公園駅へ
引き続き、大沼が見えたり隠れたりします。
赤井川(あかいがわ)を渡ります。赤井川も大沼に注ぐ川で、序盤の苅澗川は東から大沼に注ぐ川でしたが、これは西から注ぐ川です。
そしてなんだか景色がひらけてきました。ゴールもすぐそこではないでしょうか。
大沼を行く観光船が見えました。もうだいぶ人里に出てきたようです。
月見橋(つきみばし)を渡ります。ここが大沼と小沼の境目です。この橋の左が大沼、右が小沼。
先ほど見えていた観光船が、橋の下をくぐっていきました。
帰ってきました。大沼をぐるっと一周し、大沼公園駅すぐの、大沼公園正面に到着です。そしてここが公園の散策路の入り口。自転車を停めて、余った時間で散策を楽しみましょう。