網走といえば刑務所。もう立派な観光地です。
はじめに注意
まずはじめに注意していただきたいのが、「網走刑務所」と「網走監獄」の違いです。
「網走刑務所」というと、現役の網走刑務所を指します。実際に今でも使われている刑務所です。もちろん、警備も厳重で、一般人がズカズカ立ち入って見学できる場所ではありません。
一方、「網走監獄」は、「博物館 網走監獄」を指します。かつて網走刑務所として使われていた建物を移設し、刑務所を再現した博物館として観光地化したものが、「博物館 網走監獄」です。
両者は場所が異なるので、タクシー等で行かれる際などはご注意ください。博物館網走監獄に行きたいのに、「網走刑務所に行ってください！」というと現役の刑務所に連れて行かれてしまうでしょうし、博物館に行きたいのに「刑務所前」でバスを降りてしまうと大変です。
もちろん、網走刑務所に言ってみたい！というノリで皆さんがイメージされるのが後者です。博物館ですので入館料を払い、かつての刑務所の生活を含んだ展示や、かつて実際に使われていた建物を見ることができます。あの放射状の有名な建物も、博物館網走監獄にあります。基本的には博物館網走監獄に行かれてください。
しかしこのページでは、あえて前者、現役の網走刑務所に行ってみたい！という声にお応えして、現役の網走刑務所の観光ガイドを行います。警備もしっかりとした現役の刑務所なのですが、有名な網走刑務所ということで意外と訪れる人は多く、観光客でも近づけてしまいます。
現役の「網走刑務所」
まず網走刑務所の立地についてです。網走刑務所の場所は、町に対して網走川を渡った反対側、かつ周りを山で囲まれた場所にあります。３方を山、１方を川に囲まれた場所ということです。もちろん、これは脱獄を難しくするためです。
そのため、網走刑務所へ行くには橋で網走川を渡る必要があります。この橋の名前を鏡橋（かがみばし）といいます。
この説明書きにも書かれている通り、鏡橋という名前は、刑務所と町を行き来する上で、この橋で網走川の水面に移る自らの姿を見つめて襟を正す、という意味が込められているようです。「博物館 網走監獄」にもかつての鏡橋が再現されたものがありますから、これを見てから博物館に行くとイメージが湧きやすいでしょう。
凍てつく網走川の水面。鴨がいます。
網走川の向こうにはレンガの塀に囲まれた場所が。あれが網走刑務所です。刑務所のすぐ裏側には山があるのが分かり、確かに脱獄が難しそうな地形です。
レンガの塀の隣には社宅のようなものがあります。これは網走刑務所で働く職員たちが寝泊まりする建物です。
塀の外から観光できる
何度も書いているように、現役の刑務所ですから、塀の中に入ることはできません。しかし塀の外で写真を撮ったりすることはできます。刑務所の周りをウロチョロしているなんて普通に考えたらヤバイ奴ですが、ここ網走刑務所は観光客が来ることもしっかり想定されているので、怪しまれることはまずありません。
レンガの塀が、ずっと続いています。実はこのレンガ、受刑者たちが焼いているものです。刑務所では刑務作業をやらされることが一般的ですが、自分達を閉じ込めるためのものを自分達で作らされているのです。
網走刑務所の正門です。この正門も受刑者によって作られました。「博物館 網走監獄」にも同じ門が展示されています。
「網走刑務所」の看板もあり写真撮影スポットです。
門の外から刑務所内を見ることができます。
正門の左右には小部屋があります。昔は受付や待合所として使われていたようですが、観光客が自由に立ち入れるスペースになっています。「網走刑務所」というプレートが置かれた机もあり、写真撮影には最適です。空いていれば、思い思いのポーズで写真を撮ることができます。
しっかりした現役の刑務所なので、観光できるのはここまで。これ以上は入れません。
刑務作業品売り場
網走刑務所のすぐ隣には、「網走刑務所作業製品展示場」があり、必ず寄っておきたいスポットです。いや、見どころで言えば、むしろこちらがメインかもしれません。「展示場」とありますが、実際には刑務作業品を購入できます。安価でいいものが買えるので、お土産にお勧めです。ただし営業時間が短いので注意してください。
刑務作業品と言っても、網走刑務所で作られたものだけが売られているわけではありません。全国いろいろな場所での刑務作業品が売られていますから、網走のものにこだわりたい方は表示をしっかり見てご購入ください。
家具のような大きなものから小物まで売られており、見るだけでも面白いですし、見たら結構買いたくなってしまうと思います。「博物館網走監獄」では刑務作業品は売られていませんので（他の土産物は大量に売られています）、お気に入りのものを見つけたら、博物館でも買えるかも・・・とは思わずに、ここで買ってしまいましょう。
網走刑務所 ＝ 凶悪犯？？？
網走刑務所は、凶悪犯が入る場所、というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。確かに、かつてはそうでした。網走刑務所は凶悪犯が入り、誰もが恐れる過酷な刑務所であった、というのは、嘘ではありませんでした。
しかし、1968年に網走刑務所の立ち位置が変わり、現在は長期受刑者ではなく、刑期8年未満の比較的短期の受刑者を収容する施設となっています。もう網走刑務所が重罪人の場所ではなくなって久しいですが、「網走＝刑務所」のイメージは多くの人に根付いているようです。
