阿寒湖周辺観光ガイド:基礎知識と観光スポット・所要時間・観光モデルコースも解説!

阿寒湖(あかんこ)は北海道東部に位置するカルデラ湖です。阿寒湖の畔には阿寒湖温泉があり、北海道東部を代表する観光地の一つです。まりもでも有名ですね。

神秘の湖・阿寒湖に関して、まず5つの観点からご紹介します。ここで阿寒湖に行く際に知っておきたい前提知識と観光スポットを説明します。そしてそれを踏まえた観光に関するアドバイス、最後に観光公式サイトへのリンクを紹介します。

目次

阿寒湖周辺の基礎知識と見どころ

阿寒湖の周辺地理とその風景

阿寒湖のすぐ東側に雄阿寒岳(おあかんだけ)が、阿寒湖の南西には雌阿寒岳(めあかんだけ)が聳えます。またあまり知られていませんが、雄阿寒岳を隔てて阿寒湖の反対側には、ペンケトーパンケトーがあります。トーはアイヌ語で湖沼を表す言葉で、この2つは湖です。本当はトがアイヌ語の発音に近いのですが、大体トーと伸ばしますね。ペンケはアイヌ語で上流、パンケは下流の意です。道北にもペンケ沼、パンケ沼があるなど、覚えておいて損はないアイヌ語です。

引用元:Google社 Google マップ

どうですか、よく見ると阿寒湖、ペンケトー、パンケトーが雄阿寒岳を囲んでいるように見えませんか。かつては阿寒湖、ペンケトー、パンケトーは1つの湖、古阿寒湖でした。古阿寒湖の中央付近から噴火によって雄阿寒岳ができ、やがて古阿寒湖を埋めるほどの大きさになり、このような形になったと考えられています。

現在でも、ペンケトーからパンケトーそして最後へ阿寒湖に注ぐ小川があり、この3つの湖は繋がっています。

写真は阿寒湖から眺める雄阿寒岳です。

ボッケ(泥火山)

阿寒湖の湖畔には、ボッケと呼ばれる泥火山があります。

泥のようなものがぶくぶくと下から湧いてきています。これがボッケです。写真だとわかりにくいですね。

大分・別府温泉で地獄めぐりをしたことのある方は、鬼石坊主地獄と同じもの、と説明すれば納得していただけるでしょう。地下深くにある泥が火山ガスとともに絶えず噴出しています。写真映えはしませんが、実際に見てみるとボコボコ音をたてているので、案外面白いものです。地球の活動を感じることができます。

ボッケは地熱により100℃程度あるため、冬でも雪がほとんど積もりません。

ボッケを見るには、阿寒湖畔エコミュージアムセンター横から出ている「ボッケ遊歩道」へ向かいましょう。エコミュージアムセンターからわずか15分ほど歩けばボッケを間近で見ることができます。ボッケに辿り着くまでの遊歩道も、大自然を感じられ大変気持ちのいい道ですから、退屈はしないと思いますよ。リスが出てきたりもします。

またそれと同時に阿寒湖畔エコミュージアムセンターにも行っておきましょう。阿寒湖の地理や、動物たちについて学ぶことができます。

天然記念物・阿寒湖のまりも

阿寒湖に行けば天然のまりもが見られる、というのは基本的に間違いです。皆さんがイメージされる丸いまりもが生息しているのは阿寒湖のほんの一部、チュウルイ湾キネタンぺ湾です。しかしこれらは特別保護区であり、一般の人が立ち入ることはできません。丸いまりもを見るためには阿寒湖畔エコミュージアムセンターや、遊覧船に乗って阿寒湖に浮かぶチュウルイ島に行くと、観光客用に用意された、水槽の中で育っている丸いまりもを見ることができます。

そもそもまりもとは何かご存知ですか。

まりもは、漢字で書くと毬藻と書きます。要するに、藻の一種です。まりもといえば丸いというイメージがあるかもしれませんが、丸いまりもはむしろ非常に珍しく、丸くない普通の藻の見た目であることが大半です。まりもは世界各地に生息していますが、大きな丸いまりもが群生するのは世界でもここ阿寒湖だけです。

阿寒湖が有名なのは、まりもがあるからではなく、「丸い」まりもがあるからなのです。

先に述べたように、まりもは大半が普通の藻のような見た目で、岩などに生育しています(着生型)。岩などから剥がれたまりもは水中を漂い(浮遊型)、水流などの細かい条件が整った場合に限ってそれらのまりもが集まり、球形に育っていくのです(集合型)。想像しただけでわかりませんか。いかに球形のまりもに育つのが難しいかということをです。

まりもが丸くなるためには、まりもをバランスよく回転させる風と波が必要です。風も波も、なければまりもが回転できず、強すぎても岸に打ち上げられたり流されてしまいます。

また水深も重要な要素です。深すぎると波の影響によって回転することができませんし、光が届かないので光合成もできません。水深が浅過ぎればすぐ岸にうちあがったりしてしまいます。このような厳しい条件が、何百年という長いスパンで維持され続けて初めて、大きな丸いまりもが出来上がるのです。これらの環境が揃っているのが、阿寒湖のチュウルイ湾とキネタンぺ湾だということです。すごいですよね。まさに奇跡の湖です。

ちなみに、大きすぎるまりもは中が空洞化しているものが多いです。大きすぎるとまりもの中央部まで太陽光が届かないため、その部分は光合成ができず死んでしまうのです。まりもがどんどん大きくなっていくと空洞部分も大きくなり、支えきれなくなって崩れてしまいます。そのためまりもの大きさは直径30cm程度が限界と考えられているようです。

阿寒湖アイヌコタン

阿寒湖に訪れる際に併せて見ておきたいのが、「阿寒湖アイヌコタン」です。有名な観光地なので見逃す人は少なそうですが、必ず訪問されることをお勧めします。

阿寒湖の畔では古くから、先住民であるアイヌが住んでいました。しかし和人の北海道開拓により迫害を受け、また同化政策によりアイヌの文化も危うくなっていました。そこで立ち上がったのが阿寒湖の自然保護活動に尽力した前田一歩園の3代目園主である前田光子です。前田光子は、アイヌの文化と生活を守るためここ阿寒湖畔の土地をアイヌに無償で提供。これにより元々各地に住んでいたアイヌがここに集まり、アイヌ文化を今に伝える貴重な場所となっています。

飲食店や土産物が並びますが、アイヌの文化と芸術を味わえるものばかりで、見ているだけでも面白いです。民芸品をはじめ、北海道の自然の中で生きる知恵、アイヌの歌や踊りに触れることができます。アイヌの民芸品の中には、伝統的なアイヌの楽器や木彫りなど「アイヌ文化そのもの」を表すような貴重なものから、アイヌ文様がデザインされたストラップ、トートバッグなど日常的に使えそうなものまで揃っています。本当に多彩なので、見ていて飽きることがありません。空いていればアイヌに関する話をたくさん聞かせてくれますし、売り物ではない展示品も充実しています。

アイヌコタン自体は意外と小さいと思うかもしれませんが、店を一つずつ丁寧に見てみると、それぞれの店の特徴もあり非常に面白いです。観光の醍醐味とはこういうことだ、と言いたくなる雰囲気です。

またアイヌ料理のお店も何軒かあるのでぜひ。写真は鹿肉です。ちなみに「北国の味 ばんや」という店です。

阿寒湖温泉街

阿寒湖に宿泊するのなら、夜は外に出て過ごしましょう。阿寒湖温泉は、比較的夜遅くまでお店がやっています。たくさんの土産物屋が並び、散策にはうってつけ。また夜の温泉街の雰囲気がいいんですよね。北海道にもたくさんの温泉地がありますが、中でも有数の散策が楽しい温泉街です。

よく売られているのがやはりアイヌ文化関連。北海道の象徴のような木彫りの熊も売られています。木彫り作品は大きなものから小さなものまで本当にたくさんあります。木彫りのものは、サービスで名前を彫ってくれる店も多いので、ぜひ確認してみましょう。

1つ手軽で有名なお土産を紹介しますと、「おねだりきつね」ですかね。小さな木彫りの狐なのですが、シンプルな形ながら、いろいろな場所にいろいろな姿勢で飾ることができる秀逸な作品です。その形状のおかげで思わぬ場所にひっかけられたりするほか、普通に置くこともでき、抜群のバランス感覚に驚かされます。しっかり重心が調整されている高度な技術力によって成り立っている作品ですが、よくみると耳の形がものによって違ったりするので、自分の好みの子を探してみるのも楽しいでしょう。

「おねだりきつね」のほか、実用的なものでは、名前を彫ってくれるオリジナルのハンコもおすすめです。手彫りのハンコですから、世界に一つだけのものができます。

温泉街としてすばらしい雰囲気です。そして!

ちゃんとセイコーマートもあります。こういうところにしっかりあってくれるのがセイコーマート。素晴らしいです。安心ですね。

最後に、阿寒湖温泉の泉質自体は期待しないほうがいいかもしれません。しかし「あかん遊久の里 鶴雅」の大浴場は素晴らしい設備ですよ。めちゃくちゃ広いです。8階の展望台浴場よりも1階の大浴場の設備がすごいと個人的には思います。

阿寒湖観光の所要時間

ご覧の通り、徒歩圏内にこれだけの観光スポットがあります。また阿寒湖温泉街は夜に歩きたいですし、エコミュージアムセンターやボッケは日中でないと行けません。また食事の時間にはアイヌ料理を楽しみたい。このように、時間帯ごとにそれぞれ楽しみ方があります。そして春・夏・秋は遊覧船に乗ってチュウルイ島に行ったりしたい、真冬は阿寒湖に氷が張りワカサギ釣りを楽しめたりするなど、時間帯だけでなく時季によっても楽しみ方はその幅を広げ、非常に多彩な観光ができることが特徴です。

したがって、阿寒湖を観光するには、宿泊が必須と考えていただきたいです。レンタカーでの通りすがりに数時間で観光する、という訪れ方では、不完全燃焼間違いありません。

そして、原則2泊することがおすすめです。2泊すると、間に1日あるわけなので、ここである程度観光することができます。時間の制約が厳しい場合は1泊でももちろんいいですが、その場合は、チェックイン前またはチェックアウト後に阿寒湖で1日弱観光の時間を用意するようにするといいでしょう。

夏季または春季で遊覧船に乗りたい場合は、やっぱり2泊して、しっかり2日観光に使いたいものです。冬季で、ワカサギ釣り、バナナボートなどを氷上のアクティビティを体験したい場合も、それらのアクティビティに最低1日確保したいので、やっぱり2泊して2日阿寒湖に時間を使う必要があるでしょう。

簡単に言えば、船に乗ったりイベント・アクティビティに参加することは全てせず、ただ見て食べて・・・だけの「阿寒湖ノーマル観光」に1日、そのほかに何かやりたい!とおもったらプラス1日、そのくらいの感覚です。

まあ、これは最低限必要な時間を確保するための泊数。実際には、阿寒湖では先述のような遊覧船(春夏秋)・ワカサギ釣り(冬)、バナナボート(冬)のほか、スノーモービル(冬)、スキー(冬)、サイクリング(春夏秋)、カヌー(春夏秋)、モーターボート(春夏秋)、釣り(春夏秋)なども楽しめます。3〜4泊しても、楽しみが尽きることはないでしょう。

阿寒湖モデルコース

阿寒湖は季節によって非常に多彩な楽しみ方があるので、これ!といったモデルコースはありません。各自訪問される時季や日程に合わせて、やりたいことを選ばれるのがいいと思います(阿寒湖観光公式サイトに詳しくできることが書かれていますので、このページの最後にリンクを貼っておきます)。ただ、「阿寒湖ノーマル観光」だけであれば、以下のような観光の仕方がいいのではないでしょうか。

(1日目 夕方〜夜:ホテルチェックイン・夕食後) 阿寒湖温泉街散歩

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この記事を書いた人

道外出身・道外在住大学生。
小学生のころから北海道の魅力にとりつかれ、北海道旅行回数は30回超。
詳しくは「ご挨拶」ページを参照。
2024年5月25日Xアカウント開設。

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