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アイヌ語の超基本単語一覧〜カムイ・ヌプリって何?〜

観光・歴史

「アイヌ語」をご存知ですか。おそらく聞いたことはあるという方が多いのではないでしょうか。北海道の先住民族・アイヌが使っていた言語です。文字を持たず、口承で受け継がれてきたことが特徴です。

北海道では、今でもアイヌ語に由来する地名が残っているなど、北海道とアイヌは切っても切れない関係です。一般人はアイヌ語を本格的に学ぶ必要はないと思いますが、基本的なアイヌ語を知っておくと歴史・文化への理解が深まったり、思わぬ発見があったりするものです。ここでは北海道を旅する際、覚えておきたい基本的なアイヌ語を紹介します。

アイヌ = 人間

アイヌ(Aynu)はアイヌ語で「人間」です。したがって「アイヌ民族」というのは本当は「民族民族」みたいな表現ではあります。ただ別に「アイヌ民族」で普通に使われているので、普通に気にぜず「アイヌ民族」と呼べばいいでしょう。ちなみに私が中学生だった頃の社会の先生は、それを気にして「アイヌの人々」と呼んでいました。いやこれも「人々の人々」では?と思ってしまいますが。

イランカラプテ = こんにちは

イランカラプテは「こんにちは」ですが、日本語の「こんにちは」よりも温かい言葉であり、その言葉の奥には、「あなたの心に触れさせていただきます」という意味が込められているようです。この言葉を北海道のおもてなしの言葉として普及させようと、活動しているところも多くあります。沖縄の「めんそーれ」が、北海道の「イランカラプテ」にあたると書くとわかりやすいでしょうか。

JR北海道でも、一部列車で「イランカラプテ」というアイヌ語の自動放送が使われています。

カムイ = 神

カムイは日本語にすれば「神」ですが、日本人の考える「神」とは少し違います。日本人のいう「神」は人間よりも明らかに上の存在ですが、アイヌではほとんど対等の存在なのです。

アイヌの文化では、人間界(アイヌモシリ)とカムイの世界(カムイモシリ)があり、自然界のもの、すなわち植物や動物は、カムイモシリからアイヌモシリへやってきた存在と考えられているのです。つまり、熊やオオカミなどの動物、山や川などの自然、これら全てがカムイです。カムイとは自然界そのものであり、すごく身近な存在でありながら、尊敬の対象であるのです。

わかりやすく書けば、カムイは異世界からやってきた存在。イメージで言えば外国人のようなものでしょうか。基本的には尊敬の念を抱きながらも、カムイに対して感謝をすることもあれば、しっかり不満を伝えることもあるのです。

最も身近なカムイが火の女神であるアペフチカムイです。どのカムイに祈る時も、祈願がカムイに届くようアペフチカムイに祈リます。

モシリ = 大地

アイヌモシリといえばアイヌが住む大地、すなわち北海道のことです。カムイモシリはカムイが住む世界、そして死後の世界はポクナシリといいます。

コタン = 集落

コタンは村や集落を指します。「アイヌコタン」はアイヌが住む集落のこと、「カムイコタン」はカムイが住む集落とされる場所のことです。集落を構成する一軒一軒の家のことはチセと呼びます。チセの正面の窓は、カムイが出入りする場所として大切にされていました。

ワッカ = 水

ワッカは「水」です。稚内(わっかない)のワッカはここからきています。北見市にはワッカ原生花園というものもあったりします。また知床には「カムイワッカ湯の滝」がありますね。

ヌプリ = 山

ヌプリは「山」です。北海道の山の名前にも結構残ってます。スキー場として有名なニセコアンヌプリや硫黄山として知られるアトサヌプリが代表的でしょうか。店の名前でもよく見る気がします。

ピリカ = きれい、かわいい

ピリカは「きれい」や「かわいい」です。豊かだ、という意味になることもあります。「知床旅情」と言う歌に「ピリカが笑う」という歌詞がありますが、これはきれいな女性を指します。一般にピリカを名詞として使うときは、きれいな女性という意味になることが多いようです。北海道のお土産として人気の「じゃがポックル」の姉妹品として、「じゃがピリカ」があったりするほか、お米には「ゆめぴりか」がありますね。

ウポポイ = 大勢で歌うこと

2020年、白老町にアイヌ文化を保存・発信することを目的とした民族共生象徴空間「ウポポイ」がオープンし、一気に有名になったアイヌ語です。「大勢で歌うこと」の意味ですが、歌といっても現代で思い浮かべるような歌ではなく、もちろんアイヌの伝統的な歌のことです。

ナイ / ぺツ = 「川」

「ナイ」も「ペツ」も川を指します。使い分けについては諸説あります。北海道の地名には「〜ない」や「〜べつ」が多いのですが、だいたいはこのアイヌ語からきています。川の近くは水や食料が手に入りやすい場所でもあり、住みやすかったことを考えれば、アイヌ語の地名に川の意味を持つものが多いのも納得です。アイヌにとって川はもちろんカムイであり、重要な存在であったことも挙げられるでしょう。

「ない」のつく地名では、稚内(わっかない)、朱鞠内(しゅまりない)、幌加内(ほろかない)、厚内(あつない)、茶内(ちゃない)などがあります。

「べつ」のつく地名では、登別(のぼりべつ)、紋別(もんべつ)、士別(しべつ)、厚別(あつべつ)、女満別(めまんべつ)などがあります。

北海道旅行でアイヌ語を探そう!

北海道では、地名や名所・店の名前にアイヌ語が含まれていることが多いです。上に挙げた10語だけ覚えておくだけでも全然違いますので、ぜひ隠れたアイヌ語を発見し、その土地の文化に触れてみてください。

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