皆さんが買った航空券。札幌行きってなっていたり、千歳行きってなっていたり、新千歳行きってなっていたり、はたまた札幌(千歳)だったり札幌(新千歳)だったり。いったいどこに行くんだよ!なんて思う人もいるのではないでしょうか。
これ、みんな「当たり前」に使っているので、案外ちゃんと説明されていなかったりするんですよね。でも、大丈夫です。全然何も難しくありません。
札幌の空港は「新千歳空港」と「丘珠空港」の2つ
札幌には2つの空港があります。1つが「新千歳空港」で、東京や大阪からの便はもちろん、国際線も発着する大きな空港です。一方でもう一つの「丘珠(おかだま)空港」は、プロペラ機が主に発着する小さな空港。北海道内の路線や、新潟、秋田便などが飛んでいます。
(新千歳空港)

(丘珠空港)

丘珠空港は確かに札幌市内にありますが、新千歳空港は札幌市にはありません(千歳市にあります)。でも、新千歳空港は事実上札幌の空港として機能しているため、新千歳行きの飛行機も「札幌行き」と表示されます。
このように、札幌には「新千歳空港」と「札幌丘珠空港」の2つがあるのだ、そして2つしかないのだ、と言うことは頭に入れておくといいでしょう。そして丘珠空港は小さな空港ですから、大多数の人が使うのは「新千歳空港」になります。
新千歳空港・千歳空港・札幌(新千歳)・札幌(千歳)と書かれているのは、すべて「新千歳空港」を指します。丘珠空港・札幌丘珠空港・札幌(丘珠)・札幌飛行場は、すべて「札幌丘珠空港」を指します。
「札幌空港」という言い方はかなり曖昧
一方で、「札幌空港」と言う名前を耳にすることがないわけではありません。先に述べたように、札幌にある空港は「新千歳空港」「丘珠空港」の2つで、「札幌空港」という空港はありません。しかし新千歳空港、丘珠空港の双方が行き先として「札幌」表記をされるので、そういった意味で新千歳か丘珠かを特に区別せずに言う場合に「札幌空港」といった言葉を使う人が多いです。以下に詳しく書いてみますが、前提として「札幌空港」という表現は曖昧な言い方なので推奨される言い方ではありません。やっぱり「新千歳」「丘珠」とはっきり言うのがわかりやすいです。
「新千歳」「丘珠」双方が「札幌」表記
最初に書いたように、一般には、「札幌空港」と呼ぶと、札幌(新千歳)と札幌(丘珠)の総称、すなわち新千歳空港と丘珠空港の双方を合わせて指し示す場合が多いかな、と思います。例えば女満別空港から札幌行きの飛行機の時刻表を調べる場合、「女満別→札幌(すべての空港)」の時刻表を調べることで新千歳空港行きの飛行機と丘珠空港行きの飛行機の両方の便が載った時刻表を見ることができます。女満別空港から新千歳空港に行く飛行機は2025年現在、1日6便ですが、これに丘珠空港行きの便も含めると1日8便になります。丘珠空港も視野に入れることでちょっと選択肢が広がりますよね。
このように、「札幌の空港といったら新千歳しか知らない」という状態だと、ちょっと勿体無いこともあります。まあ、新千歳空港はやっぱり巨大なので、基本は新千歳空港だけを利用してもなんとかなるのも事実なんですけどね。
「新千歳」↔︎「丘珠」は同一空港と見做した乗り継ぎも可能
新千歳空港と丘珠空港はそこそこ離れた位置になりますが、航空会社によっては乗り継ぎも可能です。つまり、例えば仙台→札幌(千歳)と札幌(丘珠)→釧路の航空券は、別々に買わなくとも「乗り継ぎ便」として1回で購入することが可能です(利用する航空会社によって例外もあります)。

これはskyscannerの画面ですが、こんな感じです。
札幌の空港を新千歳空港だけに絞って考えてしまうとできないような旅程でも、新千歳空港と丘珠空港の間での乗り継ぎを効率的に使うことで旅程の幅が広がったりもするので、時刻表を調べたり便を調べるときは参考にしてみるといいでしょう。ちょっと新千歳空港と丘珠空港の間の行き来は面倒ですが、飛行機の時刻によっては、新千歳空港から丘珠空港(または丘珠空港から新千歳空港)への移動の途中にちょっと札幌観光もできるので、旅行者にとっては一石二鳥!という方も実は多いでしょう。
ただ、新千歳空港と丘珠空港の移動には時間がかかり、各航空会社で「最小接続時分」というものが設けられています。新千歳(または丘珠)に到着する時刻と、乗り継ぎ便の丘珠(または新千歳)出発時刻の間は、最低でも何分あけてくださいね、という指標です。これは利用する航空会社のサイトで確認していただきたいですが、確か150分とかだと思います。
とはいえ新千歳↔︎丘珠乗り継ぎは中上級者向けテクニックではあるので、旅行に慣れていない方は素直にどちらか片方の空港を使うことをお勧めします。
「札幌飛行場」=「丘珠空港」なので注意!
「札幌空港」という言葉に似た言葉として「札幌飛行場」という言葉があります。「札幌空港」が新千歳空港と丘珠空港の双方を指すことが多いなら、「札幌飛行場」もそうだろう!と思ったあなたは大間違い。「札幌飛行場」は丘珠空港の正式名称です。ややこしいですよね。
なぜ「千歳空港」と「新千歳空港」2つの表記があるの?
これまで、札幌の空港は「新千歳空港」と「丘珠空港」の2つだ、と言う話をしました。ここで気になるのが、なぜ「新千歳空港」「千歳空港」、同じ空港を指すのに2つ表記があるの?ということです。
実は新千歳空港は1988年に現在の場所に移転しているのです。移転前は「千歳空港」と呼ばれていましたが、1988年の移転の後、移転後の新しい空港を「新千歳空港」と呼ぶようになりました。とはいえ、かつての「千歳空港」はもう存在しないため、わざわざ「新」をつけて区別する必要もなく、より呼びやすい「千歳空港」という名称も使われるようになった、ということです。
では1988年以前の「正真正銘・千歳空港」はどこにあったかというと、今の航空自衛隊の千歳基地の場所にありました。そう、現在のJR南千歳駅の近くですね。かつての空港移転前は南千歳駅は「千歳空港駅」を名乗っており、空港最寄駅だった、というのも何かと有名な話です。めっちゃ近いところにあったんじゃないか!移転に何の意味があったんだ!って思う方もいらっしゃるかもしれませんが、自衛隊の飛行機と民間機共用の空港だったために混雑が激しいなどの問題があり、安全性にも課題があったため、民間機用の「新千歳空港」を隣に作り、民間機部門はそちらに移転した、ということのようです。とはいえ、「千歳空港」と呼んで1988年以前の昔の「正真正銘・千歳空港」だと思う人はいないでしょうから、「新千歳空港」のことを「千歳空港」と呼んで全く差し支えはありませんよ。あ、もちろんご丁寧に「新千歳空港」と呼んでもOKです。