絶景区間と見どころ紹介!地球探索鉄道・花咲線を乗り通してみた!

JR北海道の根室本線は滝川〜根室間450km弱を結ぶ長〜い路線です。その末端区間、釧路〜根室間は「花咲線」という愛称がつけられて、他の区間と区別されています。

特急が走らず、「根室本線」という名に似合わないローカル線だからという意味合いも強いでしょうが、何よりこの区間、絶景の連続する区間なのです。北海道の東の果てに向かう鉄路は、本当に大自然、地球の雄大さを感じさせます。

そのことから、最近では「地球探索鉄道」という名前もつけられました。大袈裟ではなくて、本当に花咲線は「地球探索鉄道」という名前がぴったりです。

今回は釧路から終点の根室まで、朝一番の列車に乗っていきます。根室までは2時間半ほどの道のりになります。

目次

早朝の釧路駅

朝5時過ぎ。早春とはいえまだまだ寒い釧路駅にやってきました。ここから花咲線に乗って根室へ向かいます。レトロな佇まいながら立派な釧路駅も、この時間ではほとんど人がいません。駅の中にあるセブンイレブンも、今日6時の営業開始に向けて商品を入れているのでしょうか。

乗車する列車は5:35発の「快速はなさき」。朝一番の列車です。この列車を含めて、根室駅まで行く列車は1日に6本あります。

まだ夜が明けきらない駅のホームに、1両の列車が発車を待っていました。駅の上屋も旅情を引き立てますね。

わずかな乗客を乗せて釧路駅を出発すると、しばらくは住宅街の中を走っていきます。始発列車に乗るといつも思うことですが、朝焼けは本当に美しく、気持ちがいいものです。気持ちの問題かもしれませんが、夕焼けよりも澄んだ感じがしますね。次の東釧路駅で釧網線・網走方面と別れ、根室方面に進んでいきます。

気づけば外は原野になっていました。別保駅を通過すると、上別保原野と呼ばれる場所を走っていきます。やがて両側から木々が迫り、線路も右へ曲がり左へ曲がり。別保〜上尾幌は山越えの区間です。山の中であり、カーブで先も見通せないのでよく鹿にぶつかりやすい区間です。列車は鹿笛を鳴らし、時折ブレーキをかけながら、鹿にぶつからないよう慎重に進みます。なんだかサファリパークの中を貫くトロッコに乗っているかのような感覚です。

見どころ①:厚岸湾・厚岸湖

山間を抜けると、右側に海が広がります。ニシンやサンマがとれることで有名な厚岸(あっけし)湾です。花咲線の最初の絶景ポイントと言ってもいいでしょう。厚岸湾が見えれば、やがて花咲線の主要駅である厚岸駅に到着します。この快速「はなさき」は東釧路からここ厚岸までノンストップで走ってきました。

厚岸駅ではルパン三世ラッピングトレインを目撃。ルパンと花咲線の関係については後述します。

厚岸駅を出ると、また車窓右側には海のような景色。さっきと同じ厚岸湾でしょ?と思ってしまいますが、こちらは厚岸湖です。厚岸湾と繋がっており、こちらは牡蠣の養殖で有名な湖です。厚岸といえば牡蠣というイメージも強いでしょう。厚岸の牡蠣の歴史は古く、アイヌの人々も昔から天然の牡蠣をとっていたようです。厚岸駅の駅弁「かきめし」は全国区の人気を誇ります。

見どころ②:別寒辺牛湿原

厚岸湖に別れを告げると、列車は別寒辺牛(べかんべうし)湿原に入ります。

少し湿原であることが分かりにくいので、以下、少しだけ別日の写真をお見せします。以下のような車窓が楽しめます。美しいですよ。

あ!鹿だ!となる人もいるでしょうが、花咲線に乗っているとどこもかしこも鹿がたくさんいるので、「また鹿だよ!」みたいに特に何も感じなくなるかもしれません。

参考までに、夏だと次のような車窓になり、より湿原のなかを線路が通っていることを実感できそうです。釧網線も釧路湿原を走りますが、基本的には湿原の端を走っていくので、ここ別寒辺牛湿原の方が湿原らしさを楽しめると思います。

(夏の別寒辺牛湿原)

海から離れ、内陸部を走る

茶内(ちゃない)駅に到着です。ここでしばらく停車するとのこと。茶内駅のある浜中町はルパン三世の作者、モンキー・パンチの出身地です。そのために花咲線で先述の「ルパン三世ラッピングトレイン」が運行されているのです。

茶内を出ると、次は町名を冠した浜中駅ですが、そちらよりも茶内駅の方が栄えています。列車は引き続き、広大な大地の中を延々と走ります。

なんだかよく見る形をした駅舎の別当賀(べっとが)駅を出ると、列車は南へ向かい、再び海岸線に出ていきます。

見どころ③:落石海岸

別当賀駅を出たのち、車窓右手に広がるのが落石(おちいし)海岸です。花咲線のハイライトでしょう。まさに最果て、そんな風景が出迎えてくれます。

突き出て見えるのが落石岬のあるところです。この岬が見えてくると落石海岸も終わりです。北海道の中でも屈指の絶景区間でしょう。YouTubeに「空から見る花咲線」という動画がありますが、それで落石海岸を見るといかにこの区間が凄まじいかがわかります。よくここに鉄道が敷かれているなという感じです。

昆布盛(こんぶもり)駅手前で急ブレーキ。とうとうエゾシカを轢いてしまいました。カーブで先が見えず、曲がった先にエゾシカがいたようです。運転手さんは踏切にかからない部分まで列車を移動させた後、轢かれたエゾシカのところまで走り、線路の外に引きづり出していました。轢かれた仲間を見つめるエゾシカの群れを線路の外に誘導したようにも見え、本当に慣れた様子でした。

根室駅に到着

ついに根室駅に到着です。実は日本最東端の駅はこのお隣、東根室駅で、東根室駅から大カーブを描いて進路を西に変え根室に着きます。

駅前は花咲ガニなど海産物を売る店が並んでいます。これぞ根室駅という感じがしませんか。ここから納沙布(のさっぷ)岬まではバスで45分ほどです。ちなみに、根室にあるのがノサップ岬で、稚内にあるのがノシャップ岬(漢字表記では野寒布岬)です。語源については諸説あるかもしれませんが、どちらもアイヌ語のnot-sam(岬のそば・傍)に由来すると考えられています。岬の近くにあったアイヌの集落(コタンといいます)の呼び名が、岬の名前になったと思われます。納沙布岬は漢字表記、ノシャップ岬はカタカナ表記が主に使われるので、そこで区別するといいかもしれません。

ちなみに、花咲線が遅れても納沙布岬行きのバスは(大抵の場合)接続を待ってくれません。私も、花咲線で根室まで来て、そこからバスに乗り継いで納沙布岬に行こうとしたのに、JRが遅れてバスに乗れず納沙布岬まで行けなかった、ということがありました。まあ私の場合納沙布岬なんて以前にも来ていますし、これからもまた必ず来ますから、こういうことがあっても「これも旅だよね」で笑えますが、なかなか北海道に来ない方とかだと結構ショックでしょう。あらかじめ、「花咲線は(鹿によくぶつかるので)よく遅れる」「JRが遅れてもバスは接続を待ってくれない」ということは頭に入れておきましょう。時間に余裕を持ったスケジュールにするか、冬季以外はそもそもJRを使わずに、最初からレンタカーで行くのもいいかもしれませんね。

でも、この記事でご紹介したように、花咲線からの車窓は、車の道路からはとても見えないような絶景揃いだったりするので、JR利用もやっぱり捨て難いんですよね。車で根室まで行ってもそんなに「すごいぞここは!」というような印象は大きくないのですが、花咲線に乗ると「すごいところまで来たな!まさに地の果てに来たな!」という印象を受けたりします。個人的には、よく鹿にぶつかって遅れることや、遅れにより根室駅でバスに接続できず納沙布岬まで行けないリスクを加味しても、結構花咲線おすすめなんですよね。大自然を貫く超ローカル線って感じも、またいいんだなあ。

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この記事を書いた人

道外出身・道外在住大学生。
小学生のころから北海道の魅力にとりつかれ、北海道旅行回数は30回超。
詳しくは「運営者情報」ページを参照。

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