オトンルイ風力発電所
車を走らせ、日本海沿いを南下していきます。
すると見えてきました。風車群です。
一列に並ぶ風車。オトンルイ風力発電所です。風車の数は28、そしてその長さはなんと3kmもあります。広大な大地にずらっと並ぶ風車は、圧巻の光景です。
3km並ぶ風車の中間地点くらいの場所に、「サロベツ原野駐車公園」があります。オトンルイ風力発電所の目の前なのですが、「オトンルイ」の「オ」の字もありません。記載があるのは、「サロベツ原野」と「利尻富士」だけ。これが示すように、オトンルイ風力発電所は、観光地というわけではありません。ただただ現役の「普通の」発電所が、綺麗だからといって旅人に人気、というだけなんですよね。「人気」と言えるかも怪しいのかな。
私もここに来るのは初めてなのですが、前々から気になっていた場所なんですよね。何せ交通アクセスが悪い場所(公共交通不毛の地!)ですから、訪れるにはなかなかハードルの高い場所でもあります。
ほら、1列に並んだ風車を間近に見ることができます。そして風車を回している海風が気持ちいいです。
もちろん利尻富士も海の向こうに。
利尻富士とオトンルイ風力発電所を一緒に望んでみました。壮大です。
雄信内へ
ここで次は雄信内へ行くことになりました。雄信内って言っても皆さん知らないでしょう??知らないはずです、雄信内(おのぶない)は、天塩町にある、山間の集落です。
まず雄信内の何を目指したかって、雄信内郵便局です。これまで書いてこなかったですが、我々は音威子府郵便局・浜頓別郵便局・宗谷岬郵便局、そして抜海郵便局に寄ってきたのです(そしてそこから家にハガキを送っていました)。次の郵便局めぐり候補として白羽の矢が立ったのが雄信内郵便局だったのです。
オトンルイ風力発電所から雄信内郵便局までは30kmほど。しかも内陸に入るので今日の宿からちょっと遠ざかるんですが、まあ面白いんでいいです。
しかし気になるのが時間。オトンルイ風力発電所を出たのが16時半。Googleマップによれば雄信内郵便局までは30分かかり、17時到着予定。そして雄信内郵便局の営業時間が17時までなのです。
ということで、雄信内まで走りましたが、到着は17時1分。なんと間に合いませんでした。
でもせっかく来たので記念写真をパシャリ。いやあのさ、雄信内の集落に入る前の信号に引っかかったのが痛かった。あれがなければきっと間に合ってたな。
でもいいのです。よく考えてみてください。なぜ雄信内郵便局に行こうっていうことになったのか。いくら頭のおかしい我々でも、目的地に「雄信内郵便局」が候補に上がるなんていうのがおかしいじゃないですか。
これにはちゃんとした理由があって、雄信内郵便局のさらに奥、集落を抜けて天塩川を渡った対岸に、「雄信内(おのっぷない)駅」という無人駅があるのです。この駅、実は私の大のお気に入り無人駅。もし私が「北海道無人駅魅力度ランキング」を作るとしたら、間違いなくこの駅がナンバーワンです。雄信内駅があるから、「無人駅めぐり」に魅力を感じたようなものなのです。ここに来る流れになったのも、私が雄信内駅の素晴らしさについて日頃から洗脳教育を行ってきた成果でしょう。
駅まで続く道は砂利道。先ほどの雄信内集落からも天塩川を挟んで3.5kmほど離れています。全く人の気配を感じない、山中の無人駅。この雰囲気がたまらなくいいんですよね。
非常に浪漫溢れる木造駅舎が建っています。この佇まいに何も感じない人っているんですかね?
雄信内駅の訪問はこれで3回目。前回は5年前にここで下車したことがあります。列車は1日わずか3本のみ。5年前の夕暮れ時、この駅で降りようとしたら、車内で言葉を交わしたおばちゃんに本当に深刻な表情で心配されたこと、そしてこの駅を最終列車で「脱出」した際には、午前中に言葉を交わした別のおばちゃんと車内で再会し、再び会話に花を咲かせて最後に連絡先をもらって帰った思い出があります。旅は一期一会と割り切ってあれから連絡を取ってはいないのですが、みなさん元気にしてるかな。
5年前に比べて駅舎の補修はちょっと増えたけれど、やっぱりあの時と変わらない佇まいです。
道の駅てしお
さて、大きな寄り道をしてしまいましたが、再び海岸線に戻ります。まず向かったのは日本海沿いにある、「道の駅てしお」です。
「道の駅てしお」に到着。ちょっとしたお買い物もします。
あの建物なんだと思います?天塩中学校ですよ??立派すぎません???羨ましいなあ笑
道の駅では「てしおプリン」を買いました。「てしおプリン」って有名なんですよ。何がどう有名なのかは分かりませんが、私の頭の中の辞書に確かに「てしおプリン」という用語があるので、多分有名なのです。
てしおプリンにもいろいろな味があるのですが、選んだのは「黒いプリン」。あのね、ごめんなさい。これ、とんでもないです。めっちゃうまい。びっくりするほど美味かった。
ここで私のスマホに着信が。今晩の宿からです。「まだ到着しませんか」という催促の電話でした。夕食の準備があるので、20時までに必ず到着してくださいとのこと。確かに当初は(事故を起こすなんて思ってもいませんでしたので)18時くらいをチェックイン時刻として連絡していたのです。チェックインが遅れてしまうお詫びと、20時までに必ず到着する旨を伝えました。
まあ20時までに着く、と軽く言っていますが、それはここからノンストップで走らないと厳しいのです。ここ道の駅てしおから、今晩の宿がある苫前町まではまだあと70kmもあるのです。もうここから先は一切寄り道禁止で、全ての誘惑を振り切って走ることにしました。
とままえ温泉
すでに暗くなった海岸線を70kmノンストップで走り抜けます。天塩町から、遠別町、初山別村、そして羽幌町を通り、苫前町へ。今晩の宿「とままえ温泉ふわっと」に着いたのは19時40分ごろ。なんとか20分ほど余裕を持って到着することができました。
迷惑をかけるわけにはいきませんので、チェックインしたらまずは夕食。
懐石料理は、めちゃくちゃ豪華で、めちゃくちゃ美味でした。この内容じゃ催促もされますね。特に期待していなかったのですが、見事に裏切られました。素晴らしかったです。
こちらは苫前産のメロンとのこと。言うまでもありませんが美味しかった。
ここ「とままえ温泉ふわっと」は道の駅に併設された宿です。それでも吹き抜け空間に観葉植物が配置され、おしゃれなロビーになっています。写真には写していませんが、客室も綺麗でした。
ちょっと外に出てみます。そこにあるのは・・・
足湯です。おそらく宿泊者じゃなくても、道の駅利用者でも使えるのではないでしょうか。気軽に温泉を楽しめます。
なんか作品がある・・・と思ったら見覚えのある文章でした。何か苫前町と関係があるのでしょうか。
例の「あれ」も売られています。
2日目、3日目と落ち着きのない夜を過ごしてきた我々ですが、今日は流石に穏やかな夜になりそうです。夕飯にお酒を飲んでしまっているので、深夜ドライブに行こう、みたいな選択肢が消えるんですよね。お酒が「リミッター」として機能しているという、なんとも特異な状況です。
それにしても、いろいろな人の助けもあり、今朝あの状況だったとは思えないほど充実した1日を過ごせました。
(つづく)