[絶景]宗谷本線の車窓紹介!特急宗谷・サロベツの座席のおすすめは左側!

旭川から稚内まで、日本のてっぺんを目指して走るJR宗谷線。その車窓はまさに最果てを感じさせる絶景揃いです。

目次

旭川駅を出発

今回乗車するのは、旭川発稚内行きの特急「サロベツ1号」です。旭川を13:35に出発し、終着の稚内には17:23に到着します。4時間弱の宗谷線特急の旅が始まります。

この日は運良く「はまなす編成」の担当でした。通常の車両と異なり、全席コンセント、ラウンジまで備えた観光列車としても使える車両です。観光列車として走らないときは、このように定期特急列車としても走ってくれます。

この旭川駅が近代的で美しいのです。私は旧駅舎時代を知らず、旭川駅に初めて来た時からこの駅舎でしたが、いつ見ても本当に立派で美しいです。

旭川を出ると、旭川の街並みを見下ろしながら、高架線を走っていきます。高架橋を下り住宅街を走るとすぐ、旭川駅からわずか10分ほどで、列車は停車駅ではない「永山駅」にとまってしまいます。

車内放送では「信号待ちのため停車」と案内されます。しかし列車の待ち合わせを行うわけではないようです。不思議に思えますが、どうやら永山から北は閑散路線ゆえに簡易的な信号方式となるため、車両自体もそれに合わせて装置を切り替える必要があり、停車が必要になるとのことです。

塩狩峠を越える

永山を出て上川盆地を走るのも束の間。列車はいきなり宗谷線最大の難所、「塩狩峠」に挑んでいきます。車窓すぐそこまで木々がせまり、列車は右へ左へカーブしながら、ゆっくりと峠を登っていきます。

※別の列車からの写真です。

三浦綾子の小説「塩狩峠」をご存知ですか。この塩狩峠は、明治42年、峠を登っていた列車において、車両の連結器が外れ、最後尾の客車が坂を逆走した事故がありました。その車両に乗っていた長野政雄は、坂を転げ落ちるように下っていく車両を止めるべく、自ら線路に飛び込み命と引き換えに車両の暴走を止めたと言われています(線路に飛び込んだ理由については諸説あります)。この実話をもとに作られたのが、三浦綾子の小説「塩狩峠」です。

凄まじい峠ですよね。そしてこの塩狩峠、トンネルが1ヶ所もありません。最近の鉄道路線であれば間違いなくトンネルで突っ切るであろうところを、急勾配と急カーブを駆使しながら登っていくのは圧巻です。この区間の開通は明治36年。土木技術がまだ乏しかった、古い鉄道路線ならではの風景でしょう。

峠の頂上である塩狩駅を過ぎると、今度は峠を下ります。エンジン音が急に聞こえなくなり、転がるように峠をおりていきます。

塩狩峠を下り切ると、比較的平坦な直線の区間を、気持ちのいい速度で走っていきます。

雄大な天塩川に沿って北上

2つ目の停車駅、士別を出てすぐ、小さな川「天塩川」を渡ります。天塩川はすぐ見えなくなりますが、覚えておいてください。この後もっと大きくなった姿で車窓に現れます。お楽しみに。

旭川から1時間弱。列車は宗谷線の途中駅では最大の駅、名寄(なよろ)駅に着きます。名寄まではローカル線でもそこそこの本数がありますが、名寄から先は列車本数が一気に減り、超閑散区間となります。名寄以北へ行く普通列車は一日上下4本ずつのみ。人家も見えない大自然の中を走っていくことになります。案の定名寄を出ると、列車のスピードは落ち、揺れも大きくなりますが、だからこそいよいよ最北へ向かうのだという実感が湧いてきます。稚内まではあと3時間ほど。宗谷線の旅は、ここからが本番です。

名寄を出て市街地を抜けると、車窓左手に再び天塩川が姿を現します。士別付近で見た天塩川に比べ、ずっと大きく立派な姿になっています。

ここから幌延付近まで、宗谷線は天塩川と並行して走ります。雄大な天塩川を旅のお供に、北へ走ります。

ところで、天塩川はずっと見えるのですが、綺麗な写真はなかなか難しいかもしれません。木々に遮られ、草の間から天塩川がチラチラ見える、といった車窓が続きます。でも安心してください。ちゃんと天塩川をバッチリ綺麗に撮れるところがこの先ありますから。今は我慢です。

宗谷線のほぼ中間地点、音威子府(おといねっぷ)駅に到着です。音威子府村は北海道で一番人口の少ない村で、特急が止まる自治体としても全国最小です。

しかしその規模に反して、非常に重要な駅です。かつてはここからオホーツク海側、浜頓別経由で稚内方面へ向かう鉄道路線(天北線)が分岐していた交通の要衝です。道路も日本海側経由(国道40号)とオホーツク海側経由(国道275号)が分岐します。名寄から北へ向かう普通列車は4本ですが、そのうち2本はこの駅止まりです。早朝に音威子府駅始発の稚内行きが1本あるので、ここから先は普通列車が1日3本という区間に入ります。

音威子府を出ると、列車は天塩川の蛇行に沿って西へ走ります。列車は引き続き天塩川の右側を走りますが、国道40号は川の反対側に移ります。列車が走る側、つまり天塩川の右側は線路設備以外何もない世界です。左手に天塩川、右手に山が迫り、よくここに鉄道が通ってるなと思わされる風景になります。こういう景色が、北海道を鉄道で旅する醍醐味です。道路からはこんな大自然中の大自然は味わえません。やっぱり北海道の鉄道は、道路と違ってかなり古い時期に敷かれているので、え、なんでここ選んだ??って思ってしまうような、とんでもない場所に線路が敷かれていたりするのです。

天塩川を眺めながら山間を走るこの区間は、列車の窓を開けて走ると本当に気持ちがいいのですが、特急列車は窓が開かないのでそういうわけにいきません。それでも天塩川の水面に映る空も美しく、北海道の雄大さを感じさせてくれる、宗谷線のハイライトの1つです。

右へ左へカーブしながら、引き続き天塩川に寄り添います。佐久駅を通過するあたりで進路を再び北に戻します。

開業当時の姿に復元された天塩中川駅に停車したのち、問寒別(といかんべつ)付近まで北上、その後再び西へ向かいます。糠南(ぬかなん)駅を通過した後、問平陸橋を渡る頃には、列車が減速します。ここが、天塩川を綺麗に見ることができるポイントです。天塩川の写真を撮りたい方はここでしょう。

そして、列車は宗谷線唯一のトンネル下平トンネルに入ります。そうです、あの塩狩峠さえもトンネルなしで乗り越えた宗谷線が、ここはトンネルがあるのです。不思議だと思いませんか。

実はかつてこの区間にはトンネルはありませんでした。これまでの区間のように、天塩川にへばりつくように線路が敷かれていました。

しかしこの区間は地滑りや雪崩が多発したのです。あまりに災害が多かったので、新しく下平トンネルを経由する新線が建設され、そちらに移行しました。そんなわけで、開業当時1つもトンネルがなかった宗谷線に、唯一のトンネルができました。

列車は山間を北へ進んでいきます。ずっと左側に見えていた天塩川に別れを告げると、幌延(ほろのべ)駅に到着です。

しかし、名寄付近から120km程度、天塩川にずっと寄り添ってきたにもかかわらず、1度も天塩川を渡っていません(渡ったのは名寄より南、士別付近です)。橋梁も最小限にしたいという考えが垣間見える、古い鉄道路線ならではの特徴ですね。

ついに最北の区間へ

幌延付近が北緯45度になります。正式には幌延駅の少し手前(南)です。国道沿いには北緯45度を示すモニュメントがありますが、線路沿いにはなく、北緯45度線はあっさり突破してしまう印象です。

豊富(とよとみ)駅を出ると、北海道らしい牧場の風景が広がります。

勇知(ゆうち)駅を通過し、列車は丘陵地へ。抜海(ばっかい)駅を通過した後、丘の上まで登りきったところで、一気に視界が開けます。今まで見えなかった日本海が突如見え、その向こうに利尻富士を望む車窓は、宗谷線のクライマックスです。稚内まであと少し、というところで神秘的とも言える車窓が広がるのです。

まあそれは、天気のいい日の話。この日は雲が多かったので、綺麗ではありますがそれほどでもありませんでした。利尻山はというと・・・

その姿は確認できますね。天気が悪いと利尻山が全く見えないなんてこともあります。

別の日の画像になりますが、天気のいい日はこんな車窓になります。

利尻山と日本海を同時に望めるのは10数秒しかないので、写真を撮りたい場合は気をつけるべきでしょう。

稚内駅に到着

この区間を過ぎると、列車は丘陵地を下っていき、南稚内駅、そしてすぐに終着の稚内駅です。

稚内駅は線路が1本のみの簡単な作りです。

しかし駅舎は立派です。この建物、稚内駅だけでなく、道の駅、バスターミナル、映画館、コンビニ、高齢者住宅などが一緒になった複合施設。そのため列車本数は少なくとも活気があります。

稚内駅前は、最北らしく閑散としています。稚内市の中心部は1駅手前、南稚内駅付近になり、逆にそちらの方は市街地の賑わいを感じられます。有名な観光地・北防波堤ドームは歩いてすぐ。では最北の宗谷岬は・・・というとこちらは車で1時間です。バスもありますが、1日4本のみ。しかも、4本あるうちの前の2本に乗らないと、帰って来られなくなるので気をつけてください。つまり宗谷岬へ行く場合、バスは実質1日2本、最終便は13時台です。

盆地の旭川と違い、夏でも涼しいです。このときの気温は17〜18度くらいで、暑かった旭川から半袖で来ると、肌寒さを感じます。

おすすめの座席は稚内に向かって進行左側!

そして最後に座席についてです。この記事で紹介したような宗谷線の見どころ、すなわち天塩川の流れや日本海・利尻島を望めるのは稚内行きの場合、進行方向左側です。進行右側は、特に天塩川に寄り添って走る箇所では山が車窓に迫り、眺めは良くありません。宗谷線の車窓の魅力は全て進行左側と言い切ってもいいほど、左側の圧勝です。

宗谷線は道内でも屈指の絶景路線です。ぜひ乗車してみてください。

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この記事を書いた人

道外出身・道外在住大学生。
小学生のころから北海道の魅力にとりつかれ、北海道旅行回数は30回超。
詳しくは「ご挨拶」ページを参照。
2024年5月25日Xアカウント開設。

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