知床を代表する観光地の一つ、知床五湖。知床観光のメインとも言える場所です。この記事では、そんな知床五湖の多彩な楽しみ方をご紹介し、皆様にとって最もいい選択をしていただき、さらに知床五湖観光が充実したものとなるようサポートします。
知床五湖の5つの楽しみ方と所要時間
まず、知床五湖には大きく分けて5つの楽しみ方があります。
楽しみ方1:高架木道のみ散策(ガイドなし)

まずは、知床五湖の最も整備されたところだけに行くという選択肢です。知床五湖には高架木道があり、5つある湖のうち1つ、「一湖」に行くことができます。この楽しみ方の最大のメリットは、何よりも手軽であるところ。高架木道には階段すらありませんから、車椅子の方でも散策可能です。また、高架木道のみを散策するガイドツアーはありませんので、高架木道のみ散策して帰るという場合、必然的に「ガイドなし」になります。また、野生動物に襲われる心配もないので安全、ということもメリットでしょう。
この楽しみ方のデメリットは、5つある湖のうちたった1つ、「一湖」にしか行けないということです。当然のことながら、最も手軽な分、見ることができる範囲は狭いです。
とは言っても、高架木道の長さは800mもあり、十分に満足できる観光が楽しめてしまうという側面もあります。


「一湖と知床連山」

「高架木道から見えるオホーツク海」

高架木道だけを観光する場合の所要時間は、写真を撮る時間も含めて45分〜60分ほどです。歩く距離だけでも、800メートルの高架木道を往復する必要がありますから、意外と時間を要します。また高架木道にはその道の途中にも多くの写真スポットがある上、高架木道の終点・一湖の前の写真スポットは多くの観光客で混み合いますから、このくらいの所要時間は普通にかかります。また景色が非常に綺麗ですから、これくらいゆっくり滞在しないと消化不良に感じてしまうでしょう。
楽しみ方2:高架木道+地上遊歩道小ループ(ガイドなし)
次はこちら。高架木道に加え、地上遊歩道のうち距離が短い方を散策するという方法です。高架木道からも見える「一湖」に加え、知床五湖の中で最も大きな湖、「二湖」にも行くことができます。高架木道だけでは物足りない、地上も散策したい、でもあんまり時間がないまたは長い距離を歩きたくはない方におすすめです。
なお、ヒグマ活動期(例年5月10日〜7月末まで)は、地上遊歩道をガイドなしで歩くことはできません。すなわち、このシーズンにはこの選択肢は取ることができません。
なお、地上遊歩道散策に加え、高架木道散策の時間も含めた全体の所要時間は1時間30分〜1時間45分ほどです。

「二湖」
楽しみ方3:高架木道+地上遊歩道小ループ(ガイドあり)
楽しみ方2にガイドさんをつけるタイプ。(ガイドツアーに参加するということ)。所要時間は同じく1時間30分〜45分ほどです。ガイドさんをつけると、植生等について詳しく説明してくれるのでいいですよ。また、ヒグマ活動期(例年5月10日〜7月末まで)は「楽しみ方2」の選択肢は取れず、ガイドツアーへの参加が必須です。
楽しみ方4:高架木道+地上遊歩道大ループ(ガイドなし)
地上遊歩道を歩き、5つあるすべての湖に行くルートです。他のコースでは行けない「三湖」「四湖」「五湖」を含めた知床五湖の5つの湖をすべて制覇できます。高架木道散策も含めた全体の所要時間は3時間ほどになります。また小ループと同じように、ヒグマ活動期(例年5月10日〜7月末まで)は、地上遊歩道をガイドなしで歩くことはできないため、この選択肢は取ることができません。

「三湖」

「四湖」

「五湖」
楽しみ方5:高架木道+地上遊歩道大ループ(ガイドあり)
知床五湖観光の上で、最も豪華なコース。5湖すべてを歩く上に、その散策にガイドさんをつけるという方法です。ヒグマ活動期(例年5月10日〜7月末まで)に5湖全てに行きたい場合は、「楽しみ方4」の選択肢は取れず、ガイドツアー参加が必須です。散策にかかる全体の所要時間は3時間ほどです。
高架木道のみ・小ループ散策・大ループ散策どれがおすすめ?

高架木道のみを歩き、「一湖」にだけ行く方法、高架木道に加え「地上遊歩道の小ループ」も歩き、「一湖」「二湖」に行く方法。高架木道に加え「地上遊歩道の大ループ」を歩き、「一湖」「二湖」「三湖」「四湖」「五湖」全てに行く方法。これらがあることは、先に紹介しました。基本的には、皆さんの体力や旅程に合わせて決めていただければいいのですが、ぶっちゃけどれがおすすめなの?と言われた場合、私は以下のように考えます。
基本的には、正直初心者ならば「高架木道だけ」で全然いいと思います。5つも湖がありながら「一湖」にしか行けない、というのは寂しさを感じるかもしれませんが、知床五湖の美しい景色のTOP5くらいまでこの高架木道に詰まっているのではないか、というくらい、高架木道から見える景色は最高です。正直、知床五湖のハイライトは高架木道から見える景色です。「高架木道だけ散策する」は、「ケーキの一番美味しいところだけ食べる」みたいなものです。
地上遊歩道は、「森の中を歩きたい」「森林浴をしたい」という方にはとてもおすすめですが、「地上遊歩道を歩いた方がいい景色が見えるのでは?」とはあまり期待しない方がいいかもしれません。初めて知床に来た人が一番感動するのは高架木道からの景色なんですよね。
とは言っても、地上遊歩道も歩く価値は十分にあります。世界遺産の森の中を歩けること、そして数々の美しい湖の景色を見られることは、素晴らしい体験です。大ループを歩くと、「自分は三湖の景色が好き」「私は二湖が一番だと思う」「やっぱり五湖の雰囲気好きなんだよな」といったふうに、気に入る湖は結構意見が分かれます。それくらい、どの湖も美しいということです。先ほど高架木道だけでも全然いい!と書きましたが、地上遊歩道に価値がないわけでは全くありません。どの湖も美しく、また手付かずの森の中の雰囲気も最高です。高架木道の観光だけで十分満足できるはずなので、無理に歩く必要はありませんが、時間があるなら地上遊歩道の散策をしてみることもお勧めします。
地上遊歩道を歩く場合、体力はどのくらい必要?

地上遊歩道を歩く場合、体力はどのくらい必要なのか心配する方もいるでしょう。基本的には、平坦な道を3km歩けるなら大ループ、1.5km歩けるなら小ループでOKです。山道なの?と心配される方もいらっしゃるでしょうが、知床五湖の遊歩道は基本的に平坦ですので、そこはご安心ください。ただ、地上遊歩道から高架木道に上がる際に階段がありますので、地上遊歩道を歩く場合、階段の上り下りは問題なくできる必要があります。
知床五湖はヒグマが出るって本当?
知床五湖はよくヒグマが出ます。よく出ます。おそらくメジャーな場所の中では、北海道内で最もヒグマに出会いやすい場所の一つなのではないでしょうか。
高架木道のみを歩く場合、ヒグマの心配は不要
まず、高架木道だけを歩く場合、ヒグマに襲われる心配はありません。高架木道は、道に沿って電線が張られており、ヒグマが高架木道に上がってこようとすると感電する仕組みになっているので安全です。また、そもそもヒグマ自体が臆病な生き物なので、多くの観光客で賑わっている高架木道に近づくことはほとんどありません。
地上遊歩道ではヒグマの出没多数!
一方、もちろん時期にもよりますが、地上遊歩道では比較的頻繁にヒグマの目撃情報があります。ヒグマが本当に心配な人は、ガイドツアーに参加しましょう。ガイドさんはヒグマの気配を察して、ツアー参加者の安全を確保してくれます。また、よく熊鈴を持って行く人がいるようですが、熊鈴の持参はNGです。熊鈴は音がうるさく、その音によりガイドさんがヒグマの音や気配を察知できなくなってしまいます。安全を阻害する行為ですから、熊鈴の持参はやめましょう。
ただし、ヒグマの活動期(5月10日〜7月末)でない限りは、ガイドさんをつけずに散策することもできますから、ご自身でヒグマへの対処法を学ばれた上で、ガイドなしで歩いても全然いいでしょう。ヒグマが出る可能性のあるシーズンには、地上遊歩道を散策する前にヒグマ対策についてレクチャーを受ける必要がありますから、ガイドさんを無理につけなくても、その講義をしっかり聞いて、素直にヒグマ対策をすれば、ヒグマを極端に恐れる必要はありません(ある程度の緊張感はもちろん必要ですが)。
頭に入れておいていただきたいのが、ヒグマも基本臆病な動物ですから、闇雲に人を襲ってきたりはしない、ということです。ヒグマだって基本的には人間と出会いたくないのです。たまに狂ったヒグマがいて、何もしていないのに襲ってくるようなヒグマがいることはいますが、仮にヒグマに出会っても、背中を向けず、落ち着いて距離を取れば大丈夫なことが多いです。大切なことは、ヒグマに出会ったときに「やばい!もうだめだ!」とパニックにならず、落ち着いて行動することです。「たいていの場合は大丈夫だ」ということを念頭に、落ち着いて対応しましょう。具体的には、背中を向けずにゆっくりヒグマと距離をとることです。パニックになって大声を上げる、走って逃げるなどは厳禁です。死んだふりももちろん駄目です。繰り返しになりますが、とにかく落ち着いた対応が求められます。
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