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長万部温泉街観光:平和祈念館・植木蒼悦記念館・郷土資料館・飯生神社

観光・歴史

長万部にある長万部温泉街。長万部駅から線路を隔てて反対側に広がる温泉街です。

長万部温泉

長万部温泉がはじめに見つかったのは昭和30年。本来はガスを掘り当てる目的で掘ったら、ガスの他に温泉も噴き出した、というのが起源です。長万部温泉にはそれほど大きなホテルはありませんが、比較的小規模でアットホームなホテル、旅館が立ち並んでいます。

泉質はナトリウム塩化物泉。海の近くということもあり、やはり海水とよく似た泉質で、無色透明です。塩化物泉は保温効果が高く、寒さの厳しい北海道の冬にはありがたい泉質ですね。

長万部温泉へのアクセス

札幌と函館の中間に位置するため、長万部自体は結構行きやすい場所です。JRで行くなら、特急「北斗」が長万部駅に止まりますね。ただJR長万部駅から長万部温泉までのアクセスが結構大変。いや、距離的には長万部駅のすぐ近くなのですが、長万部温泉街と長万部駅の出口は線路を隔てて反対側で、駅を出て温泉街に行くにはかなりの距離を迂回する必要があります。JR長万部駅から長万部温泉に向かう場合は注意が必要です。

引用元:Google社 Googleマップ

このように長万部駅から温泉街に行くのはぐるっと回って踏切を渡り、線路の反対側に行かないといけません。

長万部温泉街の見どころ

平和祈念館

長万部温泉街には「平和祈念館」があり、主に広島の原子爆弾投下に関する展示がされています。なぜ長万部に広島の原爆??と思ってしまいますが、長万部で開業していた医師である工藤豊吉が私財を投じて建設された祈念館とのことです。

祈念館は常にオープンしているわけではなく、中を見学したい場合は町民センター(郷土資料館)に声がけをして鍵を開けてもらう必要があるようです(お金はかかりません)。しかし建物の外の彫刻などは、自由に見学できます。

彫刻は5つほど展示されてありますが、北海道出身の彫刻家、本郷新の作品です。

この祈念館で最も代表的な彫刻作品がこちら。「嵐の中の母子像」です。本郷新が47歳のときの作品です。乳飲み子を前に抱え、後ろに子どもを背負って何とか立ちあがろうとする母親です。原爆の惨状を伝える作品であると同時に、平和を願う気持ちがこめられています。

詩人・峠三吉による詩もありました。峠三吉は1917年に大阪で生まれ、すぐに父親の故郷であった広島へ転居。13歳ごろから詩や俳句をつくりはじめます。小さな時から気管支の病気があり、18歳の時には肺結核の診断を下され、療養生活となるものの、病床で詩を書き続けました。そして28歳のとき、広島に原爆が投下され、爆心地から3kmのところで被爆しました。

この被爆体験は峠三吉の作風に大きな影響を与え、戦争の悲惨さと平和への願いが詩にこめられています。「ちちをかえせ ははをかえせ」の一節で始まる詩は、峠三吉が1951年に自費出版した「原爆詩集」の冒頭「序」の部分です。

同じく峠三吉の「八月六日」という詩も。

植木蒼悦記念館

植木蒼悦記念館。小さな記念館ですが、水墨画家の記念館としては北海道内唯一の存在であるようです。入場は無料です。

植木蒼悦は北海道出身の水墨画家ですが、記念館の中には水墨画だけでなく油絵、俳句も展示されていました。展示されている作品はコレクターが寄贈したものとのことです。

町民センター(郷土資料館)

この温泉街で一番大きな見所は町民センターでしょう。多くの方が展示を見にきていました。

建物には1階、2階があり、長万部町の歴史を今に伝える資料館となっています。立派な施設ですが、入場は無料です。

北海道の先住民・アイヌが使っていた道具の展示もあります。衣服、刀、首飾りなどアイヌの生活が垣間見れる展示がたくさんあります。アイヌは大陸とも本州とも交易していたため、独自の文化が発展していました。

特に、長万部はアイヌの蜂起・シャクシャインの戦いで激戦地になったところ。シャクシャインの戦いから1980年ごろまでの長万部の歴史や文化財の展示がたくさんあります。林業・漁業・農業などについて、それぞれに関する展示があり、自然の恵みとともに営まれてきた長万部の暮らしを学ぶことができます。

施設自体は広いわけではないですが、所狭しと展示品が置かれ、説明も豊富なのでちゃんと見学しようとすると結構時間を要します。思いのほか充実した展示でした。

シャクシャインの戦いの詳細については以下の記事で紹介しています。

そしてかなり特徴的なのが鉄道コーナー。長万部は古くから鉄道の街として栄え、国鉄(今のJR)職員もたくさんいたようです。そんな国鉄職員から寄贈を受けた、鉄道関連の諸々が展示されています。

昔使われていたであろう鉄道用品がいろいろ並んでいます。

長万部温泉街でいちばんの観光地であろう町民センター。閉館は16時と早いので注意です。見学の所要時間は普通に見て30分ほどでしょうか。説明などをしっかり読んでがっつり勉強したい場合は45分くらい見てもいいかもしれませんね。まあそのくらい長い時間いる人は少数派でしょうけれど。

飯生神社

飯生(いいなり)神社は、温泉街のすぐ近くにある神社です。この神社、2022年には全国に名を馳せたのですが覚えている方はいらっしゃいますか?

そうです、あの水柱が噴出したのはこの飯生神社の境内です。水柱についてはこちらの記事をどうぞ。

飯生神社の起源は1773年。松前藩が漁業の発展を祈念し建立したことが始まりです。その後1797年に京都の京都伏見稲荷神社(現在の伏見稲荷大社)から御分霊がここに移されました。祀られている神様は天照大神(あまてらすおおみかみ)、大國主命(おおくにぬしのみこと)、倉稻魂命(うかのみたまのみこと)の三柱です。

緑の中にある赤くて大きな鳥居。美しいです。

飯生神社の本殿があるのは、小高い山の上。自然に囲まれて非常に静かな雰囲気です。なお、この階段を上がれば本殿ですし、この階段を登らずに(上の写真における)左方向に続く道へ進むと、かつての水柱の跡を見ることができます。

左の建物が社務所であり、お守りや御朱印も売られています。古くから漁業の安全を中心に、長万部を見守ってきてくれた神社です。長万部に行った際にはぜひ訪れたいスポットですね。

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