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豪雪地帯に佇む小さな駅・紋穂内駅が美しすぎる!

無人駅めぐり

今まで降り立った無人駅の中で、最も北海道らしいと感じた無人駅を挙げろと言われれば、個人的にはここでしょうか。

駅舎はなんだか可愛い形をしていますが、かつての貨車を再利用したものであるそうです。北海道のローカル駅にはこのタイプのものが多いですね。

今では原野の中に佇む無人駅ですが、かつては立派な木造駅舎が立っていて、駅員さんも所属、この駅折り返しの列車が設定されていたこともあるほど、かつては栄えていた駅だったとのこと。特に紋穂内(もんぽない)は林業で栄え、木材の運搬が頻繁に行われていたようです。

旭川から宗谷線の列車で北上すると、この駅の一つ手前、初野(はつの)駅付近で水田の北限を迎え、紋穂内付近からは酪農地帯になります。旭川から1日1本しかない直通の普通列車で2時間半、いよいよ最北の地方に入ったと感じさせる場所にありました。

駅の周囲に人家は見当たらず、主要道路からも離れているため非常に静かです。いや、静かというか、物音ひとつしない無音の空間。主要道路の国道40号からは、道道445号線という小さな道路に入って、天塩川を渡り、その終点がこの紋穂内駅です。その道道445号の道路の名前は、「紋穂内停車場線」。ほとんどこの駅のためだけにある小さな道路の終点に紋穂内駅があるのですから、ほぼ人の気配を感じるわけがない場所です。

豪雪地帯を走る宗谷線も、この辺りは特に雪が多く、ホームは雪で嵩上げされていました。

雪に埋もれている駅舎。シンプルな駅舎が青空に映えます。

パッチワークのように割れた駅舎の塗装。この場所の厳しい気候を物語るものでしょう。

もはや美しさを感じるレベルです。

この日は運良く快晴でしたが、気温はマイナス18度。それでも今日は風がないので、空気が冷たいだけ。散策しても、そこまで辛くはありません。

どこもかしこも雪です。

太陽に照らされるホーム。辺り一面真っ白なので、とても眩しいです。

駅名板も朝日に照らされ、いささか輝いて見えます。ここ1週間ほど吹雪が続いていたので、太陽の光を受けて輝きを放つのは久しぶりでしょう。「もんぽない」といういかにも北海道らしい駅名が、いい味を出しています。

駅舎に入ろうとすると、ドアは凍りついていました。駅舎の塗装とともに、この駅の厳しい気候を物語ります。

駅前には軽トラックがとめてありました。

駅前の道路から紋穂内駅を見上げれば、駅は新雪の向こうです。

列車本数は1日上下4本ずつ。ただ冬は列車の運休が頻発するので、やはり訪問は難しい部類だったでしょう。紋穂内駅の1日の乗車人員は1〜2人程度となっていますが、1人の高校生が通学に利用していたようです。NHK「小さな旅〜北海道宗谷線〜」で、紋穂内駅を唯一日常利用する高校生が紹介され、駅が廃止になることへの複雑な心境や、今後の進路に悩む様子が描かれていました。

帰りの列車の時間が近くなると、何も音が聞こえなかったこの場所に車の音が。地元のおばさんたち4人組が列車に乗りにやってきました。今までこの駅を使ったことがなかったが、廃止になるという話を聞いて、廃止前に使ってみようと思って来たとのことでした。おばさんたちはこの駅を使うために、音威子府に買い物に行く用事を作ったとのことです。確かに利用者はほとんどいない駅かもしれませんが、この小さな駅に思いを馳せる人は決して少なくないのでしょう。

帰りの列車へは、おばさんたちと一緒に乗り込みました。まさかこの駅から5人も乗ってくるとは、運転手さんもびっくりだったのではないでしょうか。

(以上2021年2月訪問時)

紋穂内駅・2013年 夏

駅舎の下にレンガの土台が見えます。これが紋穂内駅が貨車改造の簡易駅舎になる前、立派な木造駅舎が建っていた頃の名残なのでしょうか。昔の駅舎の基礎のように見て取れます。そんな基礎部分も、駅舎の出入り口から遠い部分は人の手が加わっていないのか雑草が繁茂しています。

2013年では駅名標のフレームもまだ綺麗でしたね。2013年当時でも利用者はわずかだった紋穂内駅ですが、この頃は北海道内で廃止になる駅などほとんどなく、廃止という2文字はほとんど意識されていなかった頃ではないでしょうか。

当時はまだ塗装の劣化も少しおとなしかったですね。まるで時が止まっているかのような紋穂内駅、何年もの時を経ても同じ雰囲気であることに安心させられる駅ですが、そんな駅でもしっかり年をとっていたことがわかります。

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