夕暮れの散策



さて、日が沈んだ頃、少し町を散策しに行きます。

相変わらず美しい雪山です。日中はあれだけ晴れていましたが、また雲に覆われてしまいました。

大きな船もとまっていました。もうこれだけで絵になります。

これはMackビールの工場(メインの工場はこれとは別に郊外にあるようです)。世界最北のビール醸造所です。トロムソにあるものは結構な確率で「世界最北の」が枕詞につきます。
ケビン
さて、宿に帰って夕食を済ませたら、いよいよオーロラツアーに参加するため、街の中心部へ向かいます。

昨日も歩いた夜のダウンタウンですが、やっぱり美しいです。昨日よりは早い時間なので、歩いている人もちゃんといて、活気があります。


さて、こちらの大型バスに乗り込んで6時間のオーロラツアーの始まりです。トロムソにはオーロラを見るためのツアーがいくつもあります。オーロラが見えそうなスポットに行ってくれるもの、オーロラと一緒に伝統料理を味わうもの、オーロラとセットで現地の文化に触れるものなど多岐にわたりますが、我々が選んだのは6時間ひたすらオーロラを求めて移動し続ける、というツアーです。伝統料理もなく、ココアすらもなく、ただオーロラに全振りしてオーロラを追い求める「Aurora Chase」ツアー(本当にこんな名前)なのですが、その分リーズナブルで、さらにオーロラが見える確率も高いはずです。
それでも、昨日オーロラを見ることができているので、「見れなかったらどうしよう」という心配もなく、気楽な気持ちでツアーに参加できます。

バスに乗り込むと、これから各所で真っ暗な場所で投げ出されることを考慮し、全員反射ベルトを付けさせられます。
ガイドはケビン。「オーロラは自然現象だから必ず見られるとは約束できないが、俺は今日見えると思ってる。見れそうな場所に連れて行く」と早速言ってくれ、期待が高まります。
バスは闇の中をひた走り、闇の中でバスを下ろされます。星が綺麗に見えることを確認し、「ここならオーロラが見えそうだ」とケビン。


しばらく待つと、夜空には一筋の光が。


一筋の強い光は一瞬で消えました。かと思えばまた別のオーロラが。しかしその光はあまり強くはならず、うっすら見える程度です。それでもオーロラが見えたことに、ケビンは喜んでいる様子で、ハイテンションでオーロラの案内をしています。

次から次へとオーロラは姿を現しますが、どれもあまり強い光にはなりませんでした。かなりケビンが粘ってくれたのですけどね。
ケビンはオーロラが見えたぞ!すごいぞ!みたいなことを言って盛り上げようとしてくれます。しかしまあ、我々は日本語が他の人にわからないのをいいことに、あれ、昨日見たやつの方がすごくない??と。オーロラツアーって言っても、「オーロラが見えた!!!!」って興奮げに言っても、まあ実際のところはこんなものか、と拍子抜けしてしまいました。
さらにオーロラを求めて
それでも、このツアーのいいところは6時間もあるところ。といっても、我々だって結構粘ったので、結構な時間を使ってしまいました。しかしまだチャンスはあります。今いるスポットを出発し、さらなるオーロラを求めてバスはさらに遠くへ走ります。

本当にどこだかわからない山間ですが、他にもオーロラハントにきたグループがいました。このような何もない場所だから、地上に明かりがなくてオーロラを見られるんですよね。道路に街灯すらないわけですから、こういったオーロラ見物には好都合です。
気温は何度なのでしょうか。尋常ではない寒さなので、交代で暖房の効いたバスに戻ったりしながら、オーロラを見張ります。こんな寒さだからかみんなトイレも近くなっているらしく、バス車内の通路は、車内のトイレに並ぶ人たちが常に順番待ちをしています。

しばらく待っていると、森の向こうからはっきりとしたオーロラの光が現れました。通常は緑であるオーロラですが、今回出たオーロラは赤色も含まれています。
そして瞬く間にどんどん光が強くなっていき、大きくなっていきます。

その範囲は、空の上の方にどんどん広がっていきます。


緑色の光はあっという間に空を覆い、我々を包んでいきます。オーロラが踊るように波打つ様子もみられました。このような「ダンシング・オーロラ」はかなり珍しいようです。ほんの2~3秒だったので動画を撮ったりはできませんでしたが、しっかりこの目に焼き付けることができました。あまりの美しさに歓声を上げずにはいられません。

星空を覆い尽くすように広がるオーロラほど、神秘的で幻想的なものはありません。ツアーの終盤、「昨日見えたオーロラは凄かったんだな」と思っていた我々に、感動的なオーロラを見せてくれました。ケビン、本当にありがとう。バス車内でも、先ほどの微妙なオーロラが何回か見えた時は変に盛り上げようとするようなハイテンションで喋っていたケビンが、真面目なトーンで「このようなオーロラが見えるのは珍しい。今日はすごかった」と語ってくれ、我々も本当にいいものが見られたのだ、ということを実感し、幸せな気分になりました。
4時間睡眠
さて、オーロラに感動した後は、バスで帰路に着きます。オーロラを求めて移動しているうちに、我々は思っていたよりも遠くまで来てしまっており、ここからトロムソに帰るまで2時間以上かかるようです。
トロムソに着く頃には時刻は午前1時半くらいに。ツアーの終了時刻も過ぎてしまっていますが、ここまでみっちりオーロラを求めて動いてくれたケビンとバスの運転手さんには感謝しかありません。当然ですが、バスを降りるときにしっかりとお礼を言ってきました。

こんな時間でも明るく、綺麗なトロムソの街を歩いて宿に帰ると、後は風呂に入って歯を磨いて寝ます。じっくり寝たいところですが、残念ながら睡眠時間は4時間くらいしか取れません。明日は早く起きて、朝から犬ぞりツアーに参加するためです。もちろん犬ぞりツアー、本当は別の日にしたかったのですが、どの日時もいっぱいで、唯一取れたのが明日朝の時間帯だったのです。まあでも、楽しいことのために睡眠時間を削るなんて、とっても幸せなことです。
(つづく)

