日本の北の果てに位置する利尻島。そこに「ミルピス」というドリンクがあります。しかしこの「ミルピス」、利尻に行けばどこでも買えるわけではありません。利尻町内の、それも町の中心からはそこそこ離れた大自然あふれる場所に佇む小さなお店「ミルピス商店」で、ひっそりと売られているだけなのです。キャッチコピーは「最果て自家製」。その言葉通り、原料から全て手作りで作られており、他では飲むことのできない「激レアドリンク」なのです。
乳酸飲料「ミルピス」
ミルピスは1967年から、この店独自に製造されている乳酸飲料です。「乳酸菌飲料」はよく聞く言葉ですが、「乳酸飲料」はなかなか聞きません。「乳酸飲料」で検索すると乳酸菌飲料が大量に出てきますが、おそらく正式に「乳酸飲料」を名乗っているのはここだけなのではないでしょうか。何が違うんだろう?というのは誰しも疑問に思うことですが、あまり納得できる説明は私もできませんし、調べても出てこなさそうです。自家製で手作りだから、おそらく人工的に「乳酸菌を入れている」というようなことがないのでしょう。「乳酸菌何個配合!」とか、そういったことがない、つまりそもそも乳酸菌に焦点を当てていないからこその、「乳酸飲料」なのだと推測しています。
離島情緒たっぷりの店
この店、行くだけで価値があると感じるような、なんとも旅の途中にふさわしい店構えです。

私が到着したときは、営業時間内にもかかわらずお店は閉まっていました。しかしおばあちゃんの自宅と思しき建物からは大きな掃除機の音が聞こえており、おそらく家の掃除中と見受けられました。私は1人で自転車に乗って来ましたが、同じ頃には私の他に2名がこのお店に到着。同じく自転車でここに来た大学生と、車で来たおばちゃんと連帯し、3人で鬼電した結果、家から出てきてくれお店を開けてくれました。家事の途中にほんとごめんなさい。

店はこぢんまりとしていて、そして壁には所狭しと写真や新聞記事などが飾られています。旅の途中にこんな場所で一服するなんて最高ですね。
ミルピスってどんな味?

これが「ミルピス」です。味は本当にあまり他にない味で、ヨーグルトのような風味がありながらも全くもって重くなく、牛乳のような独特な匂いも全くなく、非常に爽やかな味です。酸味と甘味のバランスも絶妙で、なんだかジュースのようにさらっと飲めてしまいます。繰り返しますが、このような味は他にはないので、本当に貴重な存在です。
横の小さなコップはお店のおばあちゃんがサービスでつけてくれたハマナスジュースです。そう、このお店はミルピスだけでなく、他にも10種類以上の自家製手作りジュースを販売しています。そのジュースも、ニンジンとかみかん、とかそう言った月並みなものだけではなくて、この「ハマナス」だったり、「野グミ」だったり、「こくわ」だったり。中には「利尻昆布ジュース」「行者ニンニクジュース」と言ったような、確かに北海道を感じるけれど、素人目にはそれジュースにして美味しいの?と思ってしまうようなものまであります。きっと間違いなく美味しいのでしょうけれど。

他にお客さんがいなかったのをいいことに、先ほどの3人で喋りながら長居をしていると、さらにもう一杯ジュースをサービスしてくれました。本当に優しいです。一応写真は撮ったものの、この頃になると会話に夢中で何のジュースだったか覚えていません。味も記憶にありません。ごめんなさい。

利尻島のここでしか飲めない味、ミルピス。他にないおいしさもさることながら、この雰囲気と、温かいおばあちゃんに本当に癒されるお店でした。アクセスがあまり良くないのがまた最果て感があっていいですよね。ぜひぜひ、旅の途中に寄ってほしい名店です。