
阿寒湖の基本的な観光情報は上記の記事に記載していますが、阿寒湖には「遊覧船」というアクティビティがあります。神秘の湖、阿寒湖を堪能できるとあって、観光客には大人気の遊覧船。今回はこの遊覧船に焦点を絞って紹介をしたいと思います。
所要時間と料金
所要時間は85分、料金は2400円です(2025年8月現在)。ただ船に乗るだけで2400円?と思うかもしれませんが、この遊覧船は少し特殊で、ただ船に乗ってそのまま帰ってくる、というわけではありません。まず船に乗り込み、阿寒湖の中に浮かぶ「チュウルイ島」という島まで行き、そこで全員船を降りてチュウルイ島を観光し、その後再び船に乗り込んで戻ってくる、というコースになります。途中で全員で船を降りて観光するというところが、他の場所の遊覧船と違う面白いところです。ただの船旅が目的というよりも、チュウルイ島に行きたいから遊覧船に乗る、という人も決して少なくありません。
では多くの方がチュウルイ島に行きたいと思う理由はといえば、阿寒湖の代名詞であるまりもが見られるため。丸くて大きなマリモを鑑賞することができます。
遊覧船の旅路紹介
出発
遊覧船の発着場所は、阿寒湖温泉街中心部に程近いところ。アクセス抜群です。

遊覧船乗り場の売店では「まりもソフト」が売っているので、船に乗ってマリモを見に行く前にぜひ食べて、気分を高めておきましょう。


雄阿寒岳を見ながら、1時間半の旅路に出発です。

船は、前方が完全に室内になっており、中方に屋根はあるものの窓やドアがなく風を楽しめる区画、そして後方は甲板になっています。極力室内から景色を見たいという人から、風を感じたい人まで様々な需要に応えています。


当然ですが、ここ阿寒湖の上を通るのはこの遊覧船くらいなもの。本当に綺麗な湖面です。
雄阿寒岳側の湖の端・滝口付近へ

しばらく進むと、狭い区画に入ってきます。実はこの船、まっすぐチュウルイ島に向かうのではなく、まずは雄阿寒岳側の湖の端っこ(滝口)まで船を進め、Uターンして戻ってきた後、進路を変えてチュウルイ島に向かう、というルートを取ります。このような阿寒湖の端っこの部分は、こういった遊覧船に乗らなければまず見ることのできない場所ですから大変貴重です。ぜひ写真に収めておきましょう。緑色の湖面も美しいですね。


水中を見ることもできますが、石に緑の藻が付いていることがわかります。こういった藻が、特殊な条件により丸く成長することがあり、それが皆さんのイメージする丸いマリモになります。「マリモ」というのは本来丸いものではなく、ただの藻の一種なんですよね。したがって、「マリモ」という藻が珍しいのではなく、「丸く成長したマリモ」が珍しいのです。
阿寒湖というと丸いマリモがたくさん湖底にある、と勘違いされる方がよくいるのですが、丸いマリモが育つのは本当に特殊な条件が揃った場合のみ。この阿寒湖でも、チュウルイ湾とキネタンぺ湾の2箇所でしか丸いマリモは育っていません。そして、チュウルイ湾とキネタンぺ湾はどちらも特別保護区で、我々の船は近づくことすら許されません。
だから、皆さんがイメージする「丸いマリモ」は、阿寒湖の代名詞のようなものでありながら、「自然の中でのその姿を見ることができない」ものなのです。だからこそ、我々はこれからチュウルイ島に行き、観光客用に展示されているマリモを見に行く、というわけなのです。
マリモについて詳しくは以下の記事でも紹介していますから、丸いマリモができる条件など、詳しく知りたい方はこちらからどうぞ。



チュウルイ島へ

滝口から戻ってきて、再び湖の広いところに出たら、いよいよチュウルイ島へ向かいます。

チュウルイ島に到着。ここでは15分の観光時間が設けられており、下船して展示してあるマリモを見に行きます。「マリモの展示施設がある」というと一大観光地のように思えますが、15分という観光時間からも想像がつくように、マリモを見るための施設だけがあります。トイレすらありませんから、注意してください。

さあ、チュウルイ島に上陸です。

チュウルイ島に上陸するとまず見えてくるのが阿寒湖をバックに撮影できるスポット。遊覧船に乗らないと来れないレアな場所ですから、ぜひ写真を撮っていきましょう。


順路を進んでいくと、いよいよマリモの展示施設です。


チュウルイ湾から採集された丸いマリモが展示されていることは勿論、マリモがどのようにして丸くなるのか、そして丸いマリモがどのようにして壊れていくのか、ということが、実際のマリモとともに説明されています。

例えばこちらは少し壊れかかっているマリモ。15分の見学時間で問題なく見終わる内容ですから、じっくり見学されるといいでしょう。
帰路へ

チュウルイ島の見学が終わると、あとは帰路に着くだけです。最後に船内に「まりもの唄」が流れます。
トイレはある?船酔いはする?
続いて遊覧船に乗る上で心配となるこれらの事情についてです。まずトイレは船内にありますから安心してください。ただ唯一気をつけなければならないのはチュウルイ島にはトイレがないことですね。心配な方はチュウルイ島に降り立つ前に、船内でトイレを済ませておきましょう。
また、船酔いについてですが、基本的に心配無用です。そこまで大きくない湖ということで非常に湖面は穏やかで、まず揺れません。景色が流れていくのを見るだけで酔ってしまう、という方は確かに酔ってしまうかもしれませんが、揺れという点では問題ないはずです。
時間があれば遊覧船に乗ろう!
阿寒湖というのは大変面白い場所で、見どころたくさんです。はっきり言って、遊覧船に乗らなくとも観光するところはたくさんあり、かなり楽しめてしまいます。ぶっちゃけ温泉街歩きだけでもめちゃくちゃ面白いです。ですが、やっぱり阿寒湖に来たからには、「大きくて丸いマリモ」を見にいくこと、そして阿寒湖をぐるっと一周することには大きな価値があるのではないでしょうか。温泉街からは見えない阿寒湖の美しさを見るためにも、神秘的なマリモに出会うためにも、ぜひ時間があれば遊覧船に乗船してみることをお勧めします。