函館朝市に「きくよ食堂」という食堂があります。黄色い看板が特徴のお店で、創業は昭和31年。函館朝市を代表するお店の1つです。この「きくよ食堂」、超有名店でありながら、なかなか個性的な面白い店です。
そんなきくよ食堂を皆さんに知っていただき、楽しんでいただくために、この店に何度か通っている私が、そしてこれからも多分行くであろう私が、きくよ食堂の特徴とおすすめメニューについて書いてみます。
お店は道内に3つ!
この「きくよ食堂」、超有名店ではありますが、お店はたった3軒だけです。函館朝市にある本店・支店と、新千歳空港店です。しかし、函館朝市は函館駅から歩いてすぐのところですし、新千歳空港は言わずもがな北海道の玄関口。どちらの店舗もアクセスは抜群です。
函館朝市本店・支店
写真は朝市本店です。

新千歳空港店
新千歳空港の3階グルメエリアにあります。

極めて個性的な海鮮丼専門店
具材が極めて特徴的な店
きくよ食堂は「海鮮丼専門店」を名乗っていますが、極めて特徴的なお店です。まず普通の海鮮丼というと、マグロ、カンパチ、ネギトロ、そして玉子が乗っていて・・・みたいなものをイメージすると思います。しかしこの店は、マグロもカンパチもハマチもネギトロも玉子もありません。大体の人がイメージする、「The海鮮丼」に乗っているものが全然なかったりするのです。
あるのは、いくら、ウニ、ホタテ、かに、エビ、イカ、さけフレーク(イカは函館本店のみで、新千歳空港店には無い模様)。なんと丼の上に乗せるものの選択肢として、魚の切り身がほとんどないのです。確かに定義上は「海鮮丼」なのでしょうが、我々がイメージするような「たくさんの刺身が乗った」海鮮丼とは全く異なる海鮮丼を提供しているお店なのです。
海鮮丼のご飯も非常に特徴的
ご飯の味も、極めて特徴的です。まず酢飯ではありません。白米です。でもこれは、北海道においては割と普通だったりするのでまあ特に「特徴的」というものでもないでしょう。
問題はご飯そのもの。きくよ食堂のご飯は、我々が知るような普通の白米とは一味も二味も異なる異質なものです。まず、もっちりしていて、ずしっと重たくて、米粒同士がノリのようにくっついているような印象も受けます。なんだか丼の中に米がぎゅうぎゅうに詰まっていて、1粒1粒が立っていないように見えるのですが、食べてみると他のお米では感じたことのないような甘さを感じるお米です。
これはきくよ食堂のご飯の炊き方が通常と全く異なるからであり、きくよ食堂オリジナルの「炭炊き蒸し釜戸」でお米を炊いているからであるようです。本当にびっくりするほど、巷のご飯とは違います。
正直、私は最初にこのご飯を食べた時は、そんなに美味しいとは思わなかったんですよね。でもそれもそのはず、これまで食べたことのない味なのですから、そのように感じてしまうのも仕方がなかったのかもしれません。でも、何度か「きくよ食堂」で食べるうちに、このお米の本当の美味しさに気づいてしまいました。もしかしたら、私と同じように「きくよ食堂」のお米が他の米と全く違うために、「まずい」と感じてしまう人もいるかもしれません。普通のお米だと思わないで、全く違うタイプのお米なんだと思って食べると、その真の美味しさ、お米の感動的な甘さに気づけるかもしれません。

「きくよ食堂」の味は唯一無二
こんなわけで、「きくよ食堂」の海鮮丼はめちゃくちゃ個性的です。全国にたくさんある海鮮丼の中で、唯一無二の味と言っていいのではないでしょうか。ご飯をとっても具材をとっても、「きくよ食堂」じゃないとこの味は食べられないと私は思います。
でもこれだけ個性的であるからこそ、「普通の海鮮丼」だと思って食べると「思っていたのと違った」となるかもしれません。そう言った意味で嫌いな人もいると思いますし、否定的な意見も出ることはあるように思います。でも、実際はすごくいいお店ですから、一度食べて合わないように感じても、そういうものだと知った上でもう一度食べてみると、本当の美味しさに気づけるかもしれません。
看板メニューは「元祖函館巴丼」!迷ったらこれ!

きくよ食堂を代表するメニューといえば、こちらの「元祖函館巴丼」。いくら、ウニ、ホタテの3種類がのった、The豪華!って感じのする海鮮丼です。
この3種類のうち、ホタテは普通に醤油をつけて食べますが、ウニといくらは味つき。ウニは無添加の塩水ウニを使っています。通常のウニというのは日もちさせるためにミョウバンとかにつけるものが多いのですが、ここではそのようなことをしておらず、「獲れたて」に近い味を堪能することができます。それゆえか嫌な味が全くせず、またクリーミーでとても美味しいものです。ほんのりわさび醤油で味付けしてあるのも絶妙で、ウニのおいしさを再認識すること間違いありません。
いくらについても、毎年鮭が取れる秋に1年分のいくらを確保し、急速冷凍して保存、そして1日ごとにその日使う分だけを解凍し、醤油だれにつけて提供されているとのこと。もっともいい時期のいくらを冷凍保存して1年分使っているため、どの時期でも最高品質のいくらを味わえる、というカラクリのようです。醤油の味付けもいくらの味を決して邪魔することなく、でもしっかり塩っけがあって美味しいです。
きくよ食堂の海鮮丼の具材としては、いくら、うに、ホタテの他に、カニ、エビ、イカ、さけフレークの7種類がありますが、中でもこの食堂を代表するこだわりの食材はいくらとうにです。苦手でない限りは、きくよ食堂に来たのならいくら、ウニの両方を食べることをお勧めします。
そういった点も含めて、やっぱり一番のお勧めはいくら、ウニ、ホタテが乗ったこの「元祖函館巴丼」。迷うくらいならこれを注文するといいでしょう。
好きな具材をチョイスできるのも特徴!どの具材がお勧め?

「きくよ食堂」の海鮮丼には、「4種盛り」や「5種盛り」などと言ったものがあり、自分の好きな具材をチョイスして海鮮丼にすることができます。先述したいくら、うに、ホタテ、カニ、エビ、イカ、さけフレークの7つの中から、好きなものを数種類選んで丼にできるのです。もちろん、皆さんの好きなものを選べばいいのですが、中には何をチョイスしようか迷う方もいらっしゃるかと思います。ということで、この7種類の具材についてレビューしてみたいと思います。皆さんのチョイスの参考になればと思います。
いくら・うに
7種類の具材の中でも、もっともおすすめなのが「いくら」と「うに」の2つです。先ほどの「函館元祖巴丼」の紹介の際に、きくよ食堂の「いくら」「うに」の特徴について書きましたので、ここでは割愛しますが、この2つがきくよ食堂を代表する具材と言えるでしょう。きくよ食堂に来たのなら、ぜひ味わいたいものです。
なお、ウニについて言及すると、ウニには「エゾバフンウニ」と「ムラサキウニ」の2種類があります。前者は鮮やかなオレンジ色、後者は少しくすんだ色をしており、どちらも非常に美味しいのですが、どちらが美味しいかというとエゾバフンウニが好きだという人の方が圧倒的に多いです。エゾバフンウニの方が味が濃厚なんですよね。
この「きくよ食堂」では、エゾバフンウニかムラサキウニか、その季節や日によって変わるので、気にしてみると面白いかもしれません。ざっくりいうと、冬はエゾバフンウニ、夏はムラサキウニが提供されることが多いです。エゾバフンウニはまさに高級食材そのものなので、その日提供されるウニがエゾバフンウニであるようなら、ウニを選ばない手はないでしょう。(エゾバフンウニかムラサキウニかは、店の前に掲示してあることもありますし、または店員さんに尋ねれば教えてくれますよ。)

参考までに、このウニがエゾバフンウニ。

こっちがムラサキウニ。
いか
函館店の場合、いかもかなりおすすめ。函館らしく新鮮なイカを味わえます。透き通った身がその新鮮さの証であり、本当のイカの味っていうのはこういうものなんだ、というのを知ることができるでしょう。まあ、もっとも、函館朝市はどの店でも美味しいイカを食せます。「きくよ食堂ならではの味」ではないですが、「函館ならではの味」を楽しめます。
ホタテ
ホタテも美味しいものを食べられます。ただ、ちょっと薄く切られているのは残念なところです。私が最初に食べた時はあまりにも薄く切られていて、貝の味がしませんでした。ただ、2回目以降行った際には確かに薄く切られてはいるものの、ある程度の厚みは確保されており、美味しいホタテを堪能できました。
えび
これは当たり外れがあるのではないでしょうか。私が最初に食べた時はそこら辺のスーパーのエビか?というような感じでしたが、2回目に食べた時はすごく美味しいエビでした。仕入れに左右されるのかもしれません。海鮮丼という特性上、当然のことでしょう。
かに
これも普通に美味しいです。まあ特筆することはあまりないでしょうか。
さけフレーク
さけフレーク。これはハズレチョイスだと思った方も多いでしょう?実はきくよ食堂のさけフレーク、めちゃくちゃ美味しいんですよ。それもそのはず、自家製のさけフレークであるそうで、脂の乗った鮭の身と、程よい塩味が絶妙で、またこのしょっぱさが釜焚きの甘いご飯とマッチするんですよね。一番「原価が安そう」「しょぼそう」に思えるさけフレークですが、実際はかなりの実力派です。控えめに言ってかなり美味しいさけフレークだと個人的には思います。
クーポン券もありますよ!
このきくよ食堂、公式HPにはクーポン券もあります。函館朝市店、新千歳空港店両方にありますから、ぜひ利用されるといいでしょう。
きくよ食堂は昭和31年創業の名物食堂。その実力は伊達ではありません。世の中には「同じような海鮮丼」がたくさん溢れている中で、独特の存在感を放つきくよ食堂は、私としても強くおすすめしたいお店です。ぜひ一度足を運んでいただいて、「名物食堂の味」を堪能してみてはいかがでしょうか。私はすっかり「きくよ食堂」の虜になってしまっています。