夏の北海道卒業旅行(7)絶望の朝から必死の巻き返し

[4日目]

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朝風呂

私は温泉モチベが高いので、寝ている友人を横目に、一足早く温泉に行くことにしました。普段なら圧倒的戦闘力を誇る眠気も、温泉モチベには敵いません。

今日は雲ひとつない青空。昨日の荒天が嘘だったかのように晴れ渡っています。暑くもなく、寒くもなく、半袖でちょうど心地いい、もうこれ以上ないと言っていいくらいの陽気です。

こちらはふれあいセンター。ここでも入浴が可能です。

しかし結局入浴するのはやっぱり昨晩と同じここ。ニュー温泉閣ホテルとしました。

今日ここ豊富を出発しないといけませんから、豊富温泉を噛み締めるように味わうべく、温泉でのんびり。優雅すぎる1日の始まりでした。この後とんでもないことが発覚するとも知らずに。

緊急事態

温泉から帰り、出発準備をします。今日のこの最高の天気を無駄にしないよう、早めに出発しようと、今日の計画を急いで練り、いざ車へ。しかしここでとんでもない光景を見てしまいました。

タイヤがパンクして潰れているのです。これでは自走なんて到底できません。

昨晩、車を縁石にぶつけてしまったことは書きました。しかし単に車に傷がついただけだと思っていたのです(自走できない状態だなんて夢にも思わなかった!)。暗かったのでよくわからなかったんですよね。ところが今日明るい中で見てみれば、どう考えても走れない状態になっているではないですか。

こんな状況でも、頭をよぎったのは「この最高の天気を無駄にするわけにはいかない」ということ。でもその反面、こうなってしまったら事故対応をしないといけません。まずはレンタカー会社に電話をし、指示を仰ぎます。パンクしてしまったこと、車にも傷がついてしまったこと、そして事故時の状況を伝えます。

次に警察に連絡。保険を適用するために事故証明が必要で、そのために警察への連絡が必須なんですね。私もこのような事故の当事者となるのは初めてだったので、その辺りをよくわかっていなかったのですが、ただ縁石にぶつけただけなどの軽微な事故でも、警察に直接来てもらい、事故を認定してもらう必要があるのです。

警察とのやりとりをしている間に、東京海上日動へも電話。車をレッカー移動してもらう手配をします。最初にレンタカー会社に連絡をした際、稚内店に輸送してもらうよう頼まれたので、そのことを伝えます。

レンタカー会社、警察、東京海上日動の3者と連絡をとりつつ、今度は宿の管理人さんに宿の縁石にぶつけてしまったことを話し、縁石の被害状況を確認してもらいます。幸い縁石に傷はなく、宿に迷惑をかけることはありませんでした。これは本当に安心しました。

そうこうしている間に警察が到着。2台、2人でやってきました。こんな事故でもちゃんと2台で来るんですね。迷惑かけてごめんなさい。

事情聴取を終え、あとは車をレッカー移動してもらうのみです。ドライバーさんからの連絡によれば、レッカーの到着はまだあと2時間くらいかかるとのことだったので、立ち会わなくてもいいか聞いたところ、特に立ち会う必要はないとのこと。それならと、レッカー移動はお言葉に甘えてお任せし、我々はもう出発することにしました。

脱出手段

さて、ようやく豊富温泉を出発しますが、ここは車がないと身動きがほぼ取れない場所です。つまり事故対応を終えて出発できる状況になったからといって、ここから「脱出」する手段を考えなければなりません。

事故対応をしながら考えた結論は、タクシーで豊富駅に向かい、豊富駅11時17分の稚内行き普通列車に乗って稚内へ戻り、車を借り直すこと。これも、最初は豊富町の観光協会まで行きレンタカーを借りようとしたものの空車がなく、他にもレンタサイクルでサロベツ原野へ走る案、稚内に戻るにしても事故車を輸送してもらうレッカーに同乗させてもらう案、また豊富からは「幌延留萌線」という日本海側を走る路線バスがあるので(本数は当然少ないですが)、これを利用する案など、いろいろな選択肢が頭に浮かびましたが、色々なファクターを考慮して、結局JRを使って稚内駅に戻ることとしました。

本当に、パンクを見つけてからの2時間は、左脳で事故対応をして、右脳でプランの練り直しをするみたいな感じでした。

まずタクシーを呼びます。「アズマシーナ」の場所が伝わらなかったので、ニュー温泉閣ホテルの前に迎えにきてもらいました。この町にはタクシーが1台しかないようで、運転手さんには「ちょっとズレたら全然対応できなかったよ」と。実は豊富駅11時17分の列車に乗るのもかなり時間的にギリギリ。タクシーがすぐに対応してくれなければ間違いなく間に合わず、来てくれたとしても間に合うかわからないくらいのレベルだったので、本当に助かったと思いました。

無事に豊富駅に到着。

なんとか列車に間に合うことができました。

列車内で稚内のレンタカーを借り直す手続きを行います。でもそれを終えると、ようやく美しい車窓風景を眺める余裕が出てきました。

遠くに望む利尻富士。美しいです。

特に注目なのがやっぱりこの車窓。日本海の向こうに浮かぶ利尻富士の美しさは一級品です。

オロロンライン 再び

また戻ってきてしまった稚内。ここでレンタカーを借り直し、昨日通った道と同じ道を辿って南下することにします。

昨日は分厚い雲に覆われていた空も、今日は澄み渡る青空です。

オロロンラインを南下していきます。昨日通った道ですが、天気が違うだけで雰囲気が変わりますね。大迫力の利尻富士も目の前に。

サロベツ原生花園

今日のメインはやっぱりここ。サロベツ原生花園です。天気のいい今日、なんとしてでも来たかった場所です。いやあ、よかった。事故対応がスムーズに進んでここに来れたのも、レンタカー会社の方、警察の方、東京海上日動の方などが早急に対応してくれたおかげです。本当に助かりました。

しかしもう時刻は午後2時すぎですが、朝から何も食べていません。そんな余裕なかったですもん。

レストハウスの食堂は、この時間すでにラーメンなどの食事らしい食事の提供は終わっていましたが、この辺りの名物、「あげいも」と「いももち」はOKとのことで、それをいただきます。

2日連続でご飯らしいお昼ご飯は食べていませんが、旅なんてそんなものでもいいのです。宿の食事とか、2日目夜の寿司とか、ちゃんと豪華なものだって食べてますしね。

レストハウスで腹が膨れたら、あとはサロベツ原野を散策します。

遮るものは何もない広大さ。これがサロベツ原野であり、北海道です。

利尻富士も、もうすっかりお馴染みの存在になりましたね。何度見てもその美しさに見惚れるばかりです。

ビジターセンターには、サロベツ原野に関する展示がいろいろとありますが、今回これらはスキップです。予定を決めていたわけではないですが、きっとおそらく4時間遅れくらいで行動してるんですもん。こういう時間がないときは、座学は省略。景色が最優先です。

とか言っておいて、結局見てしまうんですよね。そういうのが時間足りなくなる要因なんだってば。

でも面白いのですから仕方ありません。

(つづく)

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この記事を書いた人

道外出身・道外在住大学生。
小学生のころから北海道の魅力にとりつかれ、北海道旅行回数は30回超。
詳しくは「ご挨拶」ページを参照。
2024年5月25日Xアカウント開設。

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