プロローグ
北海道を旅していると、北海道でオーロラなどほとんど見える機会がないにも関わらず、「オーロラ」という文字を見ることがあります。例えば陸別の「オーロラハウス」。網走の流氷砕氷船は「おーろら」。前者のオーロラハウスは、冬の夜にオーロラが見える可能性がゼロとは言えないわけですが、後者の流氷砕氷船に関しては日中しか航行しないわけで、オーロラが見える可能性など微塵もありません。それでも船の名前は「おーろら」なのです。
それだけオーロラって、見たことがなかったとしても、たとえ見られないとしても、人の心を惹きつけるものです。私もぜひこの目でオーロラを見てみたい、そんな思いがずっとありました。
本当は北海道で見れたらいいのですが、そんなことよほどの強運の持ち主でなければできません。オーロラを見たいとなったら、海外に行くしか基本的にはないのです。
候補にはいろいろな場所を挙げました。イエローナイフ、アイスランド、そしてノルウェーのトロムソが最終選考まで残りました。最終的にはオーロラが見られなかった場合でも一番観光地として面白そうだと感じたノルウェー・トロムソを目的地とすることに。こんな遠いところ、時間的制約もお金的制約もかなり効いてきて、本来なかなか行けないわけですが、これは大学の卒業旅行です。燥ぐなら今でしょう。こんなところを卒業旅行の目的地にするなんて同期から「絶対嫌だ!」と言われそうですが、とりあえずなんかうまく騙すことができました。
というわけで、今回はオーロラを見るという目的から、北海道と関係のない旅行記です。
でも、やっぱり北海道好きって、北欧も好きだな、って実感できた旅でもあったんですよね。きっと北海道が好きな方にとっては、北欧旅行は感動の連続で、忘れられない旅となると思っています。私も初めての北欧ですが、「北海道好き」の根底にあるものが、なんだか見えた旅路でした。
羽田空港

まだ陽の光が眩しい午後3時半ごろ。やってきたのは羽田空港ですが、いつもとは違います。いつも国内線ばっかりであるわけですが、今日は国際線利用のため第3ターミナルに来ました。実は乗る飛行機の出発時刻は21時55分で、まだまだ早すぎる時間なわけですが、暇だったので早く来てしまいました。もちろん他のメンバーはまだまだ羽田に着いていない時刻ですが、1人で空港をぶらぶら歩いてみようと思います。出発前のこういった時間が旅の気分を盛り上げるのですよ、きっと。

というわけで、まずはお腹が空いたのでお食事。適当にその辺の店で食べればいいだろう、と思っていたのですが、国際線ターミナルをなめていました。価格帯がすごく高いんですよね。やっぱり外国人向けの価格です。彼らにとってはなんて事のない値段なのでしょうが、いや、日本人の私には高かった。高いお店の中でもちょっとリーズナブルな、でもやっぱり高い天ぷらのお店に行き、定食を食べることにしました。

3000円くらいしましたが、高いだけあって味は至高。天ぷらは目の前で揚げたてのものを出してくれ、すこぶる美味しかったです。日本を出国する前に最高の日本食でした。

腹が膨れたあとは「羽田エアポートガーデン」へ。ここにはなんと温泉があります。「泉天空の湯」という名前がついています。温泉に入ってから出国できるなんて最高すぎます。

ここ、温泉の入浴料が4000円以上かかるというこれまた「外国人プライス」なわけですが、中に入ってみて驚き。「大規模天然温泉」の名に恥じない立派な施設です。大きな露天風呂、内風呂はもちろんのこと、サウナあり、休憩どころあり、そして岩盤浴あり。半日くらいいても十分楽しめるくらい素晴らしい施設だなと思いました。せっかくなので時間の許す限りのんびりしていくことにしました。また来たいけど、やっぱり高いから、次はいつになることやら。
出国前から「海外価格」の洗礼を受けつつも、羽田空港で至福の時を過ごしていると、いよいよ出発の時間です。出国手続きや搭乗手続きを済ませ、メンバーとも合流して、飛行機へ向かいます。
出発

楽しそうな行き先の並ぶ案内板。今回搭乗するのは21:55発のフィンランド航空ヘルシンキ行きです。最終目的地のトロムソへは、ヘルシンキで乗り継ぐことになります。


夜の出発って、遠くに行く旅の始まりを感じさせるというか、異世界への出発を感じさせるというか、なかなか情緒ありますね。夜行列車もこんな感じの雰囲気がありますが、夜間フライトもロマンがあるものです。未知への出発に胸が高鳴る瞬間ですね。
(つづく)