宗谷丘陵へ
宗谷岬でももちろん写真を撮りますが、ここで長居はしません。それはこれから宗谷丘陵に行きたいためです。まだ日の高いうちに宗谷丘陵を見たいのです。
宗谷丘陵といっても、このエリア一帯が宗谷丘陵、という感じで、宗谷丘陵の展望ポイントはここ!と決まっているわけではありません。私は知識はあります(いや、あるつもりでいる)が、下調べをしてきているわけではないので、とりあえず助手席の友人にそれっぽい展望スポットを調べてもらい、そこにナビをセットします。
そしてたどり着いた場所がこちら。
うん、美しいです。でも個人的には、ちょっと物足りません。宗谷丘陵といえば、起伏のある大地に大量に回る風車です。という文句を言ってもう一度調べさせ、それっぽい場所に車を走らせます。
うん、これです。これが見たかったのです。なんと壮大な風景でしょう。これこそが宗谷丘陵です。
白い道へ
さて、まだまだ満足するには早いです。これから白い道(シェルロード)にも足を伸ばします。白い道は、白い帆立の貝殻を敷き詰めた道。宗谷丘陵最大の見どころです。
エサヌカ線で出会ったライダーの方には、白い道は午前中だよ(午前が順光なので)、とつっこまれましたが、そんなことを言ってられません。明日は天気が悪いわけですから、明日の午前に回すわけにはいかないのです。
しっかり白い道。「思ったより白くないや」みたいなことが他の観光地ではあるあるですが、北海道先生がそんな姑息な手を使うわけがありません。真っ白です。
白い道に、白い車が映えますね。真っ赤な車だったらもっと映えただろうなって言葉が脳裏をよぎりますが、そこはご愛嬌。
ついに白い道の向こうに海が見えてきました。午前中がいいと言われる所以はこれです。午前の順光の時だと、海がもっと真っ青にみえ、白い道とのコントラストが美しくなるのです。でも夕刻のこの時間も、趣があって美しいと思いました。そして空いています笑
やっぱり、利尻富士がしっかり見えるのが嬉しいです。何度見ても神秘的で美しい山ですよね。
宗谷岬と宗谷岬公園
白い道を終点まで走った後、もう一度宗谷岬へやってきました。
まあこんな写真を撮ろうとするのは我々だけでしょう。誰か面白がって話しかけてくれるかな、と思いましたが、やっぱり観光地だけあって、みんな割とドライですね。特に注目してくれませんでした。
宗谷岬にもう一度来た目的は、宗谷岬公園の散策です。
宗谷岬灯台。
これは「祈りの塔」です。1983年に起きた、大韓航空機の撃墜事件。この事件によって遭難した方々の慰霊と世界平和を願って作られた塔です。鶴が羽を広げ、首を長くして真の平和を願う様子が表現されているとのことです。この首の向いている先は、大韓航空機が撃墜された場所を向いており、塔の高さ19.83mは、事件が起きた1983年を表しています。この鶴の羽は16枚ありますが、これは遭難者の母国の数を表しています。
こちらは「子育て平和の鐘」です。子どもたちの幸せを始めとした、世界平和を願うための鐘です。国境に近いこの場所は、平和について深く考えさせられる場所でもあります。
公園では、シカさんが静かに草を頬張っていました。
公園を出て、もう一度宗谷岬に戻ります。
最北の無人島、弁天島も望めます。一般人の立ち入りはできません。
稚内市街へ
いよいよ宗谷岬を出発し、稚内へ向けて車を走らせることにします。北海道に来たことがない人だと、稚内と宗谷岬は近いという印象を持つかもしれませんが、宗谷岬から稚内までは30kmあります。
稚内市街に入り、回転寿司屋「花いちもんめ」で夕食とすることにしました。
またホタテを食べるわけですが、今日の遅めのお昼も、その前のおやつにもホタテを食べたことなんてすっかり忘れてしまっています。3食ホタテでもいいくらい美味しいのです。
夕食を取り終わった後は、今晩の宿、稚内のドーミーインへ向かいます。
今日は動き回ったのでかなり疲れました。ドーミーインの天然温泉で疲れを癒します。
深夜ドライブ
ドーミーイン名物の夜泣きそばを食べて、時刻は23時すぎ。23時まで営業の稚内駅前のセイコーマートに買い出しに行っていた友人が、店に入ろうとした目の前で店を閉められたらしく、腹が立ったのか回線がおかしくなったのか知りませんが、今からドライブに行こう、と。今日は流石に眠気を感じていたので、ちょっとこれから自分が運転するのは怖いなと思っていたのですが、運転はやってくれるとのことで、そう言われたなら行くしかないじゃないですか。
ということで、ノシャップ岬にやってきました。稚内市はキツネの顔のような形をしており、キツネの右側の耳の部分が宗谷岬、左側の耳の部分がノシャップ岬です。
こちらはノシャップ岬のところにある稚内灯台。北海道では一番高い灯台、全国でも2番目の高さとなっています。夜に訪れると、灯台の光が確かに回転していることがよくわかります。
ノシャップ岬に行った後は、またまた宗谷岬へ。ノシャップ岬から宗谷岬は、距離にして40kmほどです。途中、道路を横断するエゾシカに出会ったりキタキツネに出会ったり。こんな時間帯の宗谷岬への道のりなど、車通りもほとんどなく(当たり前か)、出会うのは野生動物ばかりです。運転は慎重にしないといけません。
ついに日本最北端の地、宗谷岬に到着です。青空の宗谷岬と、夕暮れの宗谷岬に続き、漆黒の宗谷岬にやってきました。
もちろんこんな時間、誰もいませんし何もありません。それでも、ロマンはあります。いかにも最果て、という雰囲気は、日中の何倍もあります。
さて、その宗谷岬からの帰り。案の定野生動物はひっきりなしに出てきます。キタキツネ、エゾシカ、そしてタヌキなど。帰り道は本当に危ない時が2回あって、1回目はタヌキのような小動物だったのですが、突然の目の前の横断に、急ブレーキをかけたものが間に合ったかどうかわからず、一旦車を止め、下車して調査をすることに。結局、轢いてしまった痕跡も、その様子もなく一安心。野生動物が住んでいる中を、我々が「通らせていただいている」わけですから、轢いてしまうわけにはいきません。この時刻なんて、まず普段はほとんど車が通らない時刻でしょうから。
2回目は、エゾシカの群れ。これも急ブレーキでギリギリ回避です。50cmくらいにまで迫っていたのではないでしょうか。シカだって車が来たら逃げるだろう、とお思いの方もいるでしょうが、鹿からすれば、接近してくる車なんて野生の暮らしでほとんど見たことがないもの。迫る車にパニック状態になってしまい、身動きが取れなくなってしまうシカが多いのです。「なぜ逃げないんだ」と言われますが、そういうものなのです。人間の感覚で他の動物を見てはいけません。
私も運転していなかったとはいえ、助手席に乗っていただけでかなりヒヤリとしました。夜間の北海道の運転は本当に気をつけなければならないと、身に染みて感じました。
結局、午前2時ごろに無事にホテルに帰ることができました。事故にならなくて本当によかったです。
(つづく)