[12日目]
知床五湖へ
迎えた最終日は青空の見えるいい天気。そんなわけで、朝一で知床五湖へ向かいます。


「知床五湖フィールドハウス」へ。知床五湖は、その名の通り湖が5個あるわけですが、最も一般的なのは5個ある湖の1つ、「一湖」だけを観光することです。「一湖」までは高架の木道が整備されており、誰もが気軽にいくことができます。しかし5つすべてを観光しようとすると、そうは行きません。木道ではなく地上遊歩道を歩く必要があるのですが、なんでもここはヒグマの棲家。地上遊歩道に入るには、ヒグマに出会わないようにする方法や出会った時の対処法などのレクチャーを受けて、同意書を書く必要があります。特に危ない季節には、個人での立ち入りは一切できず、ガイドさん同伴でないと立ち入りすらできないというときもあります。
私もこれまで行ったことがあるのは「一湖」だけ。今日は5湖すべてを制覇することにします。フィールドハウスでサインをして、講義を受けて、いよいよ山道を歩き始めます。最近のヒグマの目撃情報も教えてくれるのですが、この日の前日もクマが出ていたようで、やっぱりよく出る場所なのだと実感します。

実は地上遊歩道にも2種類、「大ループ」「小ループ」があります。「大ループ」は5湖すべてをめぐるルート、「小ループ」は木道で行ける一湖に加えて、「二湖」に追加で行けるというコースです。5つすべて行きたい!という方はもちろん「大ループ」ですし、「小ループ」は体力に自信のない方や時間のない方に最適です。我々は5湖の制覇が目的なので、大ループを歩きます。
地上遊歩道で湖めぐり

大ループと小ループの分岐点。ここを右に進みます。


歩いていくのは、手付かずの大自然で、また手付かずにしないといけない区域。歩いていいのは遊歩道だけで、遊歩道からちょっとでも足を踏み出したりすることはできません。

鳥の鳴き声の響く森林浴。気持ちがいいです。


最初の湖、「五湖」に到着です。知床五湖の5つの中で最も小ぶりな湖です。それでも、最初に見る湖とあって、感動もひとしおです。



五湖を出て少し歩くと、また違う湖が見えてきます。木々の隙間から見える湖も、なかなかいいものです。

ここは「四湖」です。どこを奥と呼ぶかにもよりますが、基本的に知床五湖の中で一番奥地にあるのがこの四湖。知床連山も綺麗に望めます。

波一つたってない湖面がいいですよね。本当に鏡のようです。
さらに歩みを進めていきます。


左手に、また別の湖が見えてきました。




これが「三湖」です。知床五湖の中で2番目に大きな湖で、最も大きな湖である二湖と繋がっています。いかにも秘境という雰囲気満載だった五湖や四湖に比べると、少しだけ開放的な雰囲気を感じます。




こちらが最も大きな湖である「二湖」。ここで小ループと合流します。そのためここから先の道に他の観光客も増え、賑やかになりました。


見えてきたのは「一湖」です。ということで、まもなく高架木道に合流します。高架木道からも気軽に見ることができる一湖ですが、この角度からは地上遊歩道からでないと見られません。高架木道からだと、どうしてもアングルが限られてきちゃいますからね。
高架木道

ついに高架木道へ。ここからはThe観光地に突入です。

でもやっぱり、この高架木道から見る景色はすごく美しいです。この「一湖」もそうなのですが、その向こうの知床連山、そして反対側に見えるオホーツク海など、見どころは尽きません。

まずは湖の景色とその奥の知床連山から。知床五湖といえばこれ!という景色で、多くの観光客が写真を撮っています。


大地の中を貫いている高架木道。思いっきり人工物なわけですが、不思議なほど風景に調和しています。この木道、実は柵のところに電線が通っていて、ヒグマなどの野生動物が木道に上がろうとすると感電する仕組みになっているのです。つまりここからヒグマを見ることができれば「安全に」野生のヒグマに出会えるわけですが、こんな人の気配のある場所にヒグマがノコノコと姿を現すことは極めて稀と言えるでしょう。
一方で、鹿を見かけることは割と頻繁にあります。今回は出会えませんでしたが。


木道から見えるオホーツク海も大きな見どころの一つ。木道がしっかり高い位置にあるからこそ楽しめる景色です。




この高架木道、長さはなんと800メートルもあり、右へ左へ蛇行しているため、実にいろいろな角度から山、海、湖の景色を楽しめます。この木道を歩くだけでも、十分に、いやきっと期待以上の満足を得られることでしょう。一般的な観光客が知床に来て、最も感動するところと言ったらこの木道から見る景色なのではないでしょうか。
(つづく)