知床峠
ホテルで荷物をまとめた後は、再びレンタカーで羅臼に向け出発です。
知床半島には、ウトロ側と羅臼側があります。そしてその両者を隔てているのが知床峠です。この知床峠、昨日の夜にも行った場所ですが、この知床峠を突っ切り、ウトロと羅臼を結ぶ「知床横断道路」は毎年11月から4月まで通行止めとなる「日本一開通期間が短い国道」としても知られています。今私たちが泊まっているところはウトロ側であり、大半の宿泊施設はウトロ側にあるのですが、これからその峠を越えて羅臼側に向かう、というわけです。

知床峠を登っていきます。昨晩は鹿がたくさん出てきて危険だらけのこの道も、日中は落ち着いています。もちろん油断はできませんが、快調に車を走らせます。

道路から見えてくる一際目立つ山が羅臼岳です。標高1661メートル、知床半島の最高峰です。北海道でも、全国のそれのように「蝦夷富士」と呼ばれる羊蹄山や「渡島富士」「利尻富士」など「〜富士」というものがいろいろありますが、これも「知床富士」と呼ばれていたりします。ちなみにこの山、7月でも雪が残っていたりすることも多く、また9月には雪が降り始めることもあり、登頂の難しい山として知られているものの、登山客は決して少なくありません。また今日は羅臼岳の姿を見ることができましたが、知床峠は霧が深い日も多く、知床峠の頂上まで来ても羅臼岳が見えない、なんてこともザラにあります。
知床峠の頂上まで来ると、羅臼岳、そしてオホーツク海を望めます。


羅臼のほっけ
知床峠を今度は降ると、羅臼に到着です。ここ羅臼ではどうしてもやりたかったことが一つ。それは羅臼のホッケを食べることです。北海道のホッケは本当に美味しいですが、中でも羅臼のホッケは別格。脂のノリが半端なく、またものすごくデカイのです。実はホッケというのは大きければ大きいほど脂が乗って美味しい魚。マグロとかもそうですよね。
よくこういうことを書くと「美味しい店はどこなの」という質問をされることがありますが、ナンセンスです。ここ羅臼においては「巨大なメチャクチャ美味しいホッケ」が海で獲れる普通のものであり、まずいホッケを提供することのほうが難しいのです。まずいホッケなんて獲れませんから、たとえ提供したくてもできないのです。どの店でも普通に出てくるホッケが至高のもの。すごいですよね。

というわけで、こちらのお食事処へ。佇まいからして美味しそうな店ですけれどね。ちなみに地元でも特に美味しい店として有名だったりします。「さっきの内容と矛盾してるじゃん」とは言わないでおいてください。そりゃちょっとはありますよ、「特に美味しい店」くらい。

ちなみに駐車が上手だった記念に1枚。

ホッケ定食を注文しました。いやあ、でかい。とにかく、デカイ。



あまりに美味しくて、醤油もつけずにぺろっと食べ上げてしまいました。醤油でこの味を汚したくない!とまで思える旨さのホッケ、出会ったことはありますか。
調子に乗ってホタテやつぶ貝も注文。



これはブリのカマだったかな。ちょっと燥ぎすぎましたが、どれも本当に美味しかった。
知床の最果てへ
幸せな気分になった後は、知床の「最果ての地」へ行ってみます。
知床半島は「日本最後の秘境」とも呼ばれる場所で、知床半島先端部までは道がつながっていません。では先端に行くにはどうしたらいいかと言うと、まず陸路を諦めるのが一般的です。船に乗って海路で半島の先端に向かうということです。そしてどうしても陸路で行きたい場合は、道道87号を北上し、その道路の終点「相泊」から道なき道を海岸線沿いに歩いていくということになります。相泊から半島先端まで行き、相泊まで帰ってくる場合、往復の総距離は45kmほどですが、なんと2泊3日を要します。海岸ギリギリの場所、断崖絶壁の岩山など、本当に過酷な道のりで危険も多いので、素人が近づいていい場所では決してありません。
というわけで、道路の終点、相泊が実質的な「終点」であり「最果て」なのです。日本の北東端に位置する知床半島の北東端ということで、Googleマップでは「日本最北東端の地」といった名前が付けられていたりします。本当に何もない場所なので普通の観光客はまず行かない場所ですが、せっかくなので行ってみることにしました。

1本道の終点に向かう車などほとんどいません。対向車も来ません。「最果て」に向かっている雰囲気満載です。

先に進むにつれ、だんだんと道路も悪くなってきたようです。


道路に鹿が出るのはもう慣れっこです。でも見つけるといつも写真を撮りたくなってしまいます。

道路脇に美しい滝が見えてきました。きっと名無しの滝だろうと思っていたら、「セセキの滝」という名前がついているようです。


ついに道路の終点に到着。ここが相泊です。「この先行き止まり」の表示が示すように、ここから先は命懸けの道のりになります。

「ここから先に行かれる方へ」の看板には、「ヒグマ高密度生息地」「すべて自己責任」などの文字が並んでいます。また自然環境や漁業活動への配慮も求められていますね。


終点で出迎えてくれたのは立派なツノをもった1匹の鹿。近づいてみても気にするそぶりもなく、黙々と草を食べています。

隣には「相泊漁港」という漁港があります。だからこの場所まで道が続いているのでしょう。

少し雨が降ってきたところで、帰ることにしました。
ウトロの宿へ戻る
帰り道、道の駅に立ち寄ることにしました。



美味しそうなものもいっぱい売られていますが、今日もこの後ホテルのビュッフェがあるので我慢。知床峠を越えてウトロに帰ります。

行きはそこそこ綺麗に見えた羅臼岳も、帰りは霧の中でした。雨も降っていますね。
深夜のお出かけ
昨日に引き続き、今日も深夜のドライブに出かけます。約1名を除いて全員アルコールを飲まずに済んだのはビュッフェにあった白ぶどうジュースのおかげです。あれがめちゃくちゃ美味しかったんですよね。おかげで今日も深夜ドライブと星空鑑賞が可能になったというわけです。

2日連続知床峠では面白くないので、今日はウトロ側で星空が見えそうな場所を探すことに。

まずは知床五湖に向かおうとしましたが、夜間は道路が閉鎖されており断念。その後フレペの滝がある知床自然センター付近で星空を見てみましたが、その時はまだ少し雲が多めでした。結局そこからの帰りに雲が晴れて、ブユニ岬付近で綺麗な星空をみることができました。

(備考:友人撮影)

ブユニ岬付近からは、ウトロの街並みも望めます。この夏の北海道旅行も、いよいよ今日が最後の夜。名残惜しいですが、噛みしめるように満喫します。
(つづく)