新青森駅から北海道新幹線で1駅、まだ青函トンネルに入る手前・青森県にある駅、奥津軽いまべつ。北海道新幹線で北海道に行こうとすると、ここでとまる電車も結構あり、本当に何もない駅周辺の風景に驚くものです。
そんな奥津軽いまべつ駅、面白そうだからいっそのこと降りてみた!というのが今回の内容です。「奥津軽いまべつ」なんて、名前からしても面白い感満載ですがね。ノーマルな駅でないことは一目瞭然です。
奥津軽いまべつ駅ってどんな駅?
さて、そんな奥津軽いまべつ駅。気になってしまうのは以下のポイントです。
本州にあるのにJR北海道の駅!
この駅は本州(青森県)にあるものの北海道新幹線の駅なので、JR北海道の管轄。JR北海道の社員が勤務し、JR北海道のマークが掲げられる、正真正銘の「JR北海道の駅」です。北海道にないJR北海道の駅として唯一の存在です。
「北海道じゃないのに北海道」というなんとも不思議な立ち位置です。
利用客が少なすぎる!
新型コロナの影響を受ける前、令和元年の一日平均乗車人員はわずか26人とのこと。全国の新幹線駅の中で最小です。
アクセスが悪く、訪問が難しすぎる!
まず新幹線の本数は、1日上下各7本ずつ。北海道内のローカル駅に慣れてしまうと割と普通だと錯覚してしまいますが、新幹線駅としては非常に少ないです。また北海道内のようにフリーきっぷで訪れることはできず、高額なことで有名な北海道新幹線の料金を支払わなければいけないのも難易度の高さに加担しています。
奥津軽いまべつ駅は隣に在来線の津軽二股駅があるからそこを使えば、と思う方もいるでしょう。確かにそうなのですが、2023年現在津軽線は土砂災害により走っていません。また不通となる前も、ここに来る列車は1日上下5本ずつのみ。やっぱり難しいことには変わりありませんね。
周囲に何もなさすぎる!
後に詳しく載せますが、とても新幹線駅とは思えない風景が広がります。都会に慣れている人は、駅があることすら不思議に思う立地かもしれません。
実は駅が3つ並んでいる!
そんな奥津軽いまべつ駅ですが、在来線の津軽二股駅と隣接しているほか、道の駅とも隣接しています。道の駅には売店とレストランがあり、なんだかんだ時間を潰すことができます。この道の駅が、奥津軽いまべつに滞在するときには救世主となるでしょう。逆に言えば、この道の駅がなかったら本当に時間を潰す場所がありません。
奥津軽いまべつ駅に到着
新函館北斗駅から新幹線で2駅、青函トンネルを抜けて、はやぶさ28号で奥津軽いまべつ駅に降り立ちます。
利用客の少なさが元から見込まれていたためか、ホームは非常に狭いです。しかし線路は各ホームに一つずつの2線ではなく、間にもう1線あります。この奥津軽いまべつ駅、利用客云々というよりも、青函トンネルで何かあったときの前哨基地という意味合いが強い駅です。そのため下り線(新函館北斗方面)に通過線があると思われます。青函トンネル内での万一の事態のとき、列車をここに待避させたりするのでしょうか。逆に青函トンネルの北海道側の最前線、木古内駅には上り線(東京方面)にのみ通過線があるようです。
改札は非常にコンパクトにまとまっています。閑散として、全くひとけを感じませんが、みどりの窓口ではJR北海道の社員さんがきっぷの販売をしています。ここは本州とはいえ、れっきとしたJR北海道の駅です。
駅前散策
駅前に出てみましょう。青函トンネルをイメージした駅舎がモダンでいいですね。青森県なのに「JR北海道」のマークが誇らしげに掲げられています。ちなみにこの駅舎、新幹線コンコースまでは階段で116段あります。もちろん最近の駅なのでバリアフリー対応、エレベーターで上がれるのでご心配なく。
駅前の風景です。信じられますか。「はやぶさ」がとまる新幹線の駅で、駅舎を出た瞬間がこれです。
山の中にある立派な駅舎。ミスマッチのようで意外とマッチしている気もします。駅前通りを真っ直ぐ進むと、T字路にぶつかります。そこが県道14号です。T字路まで歩き、左右を見渡すと・・・
まあそうですよね。こんな感じです。道路の交通量すら少ないです。しかし、看板に「道の駅 いまべつ」の文字があるように、奥津軽いまべつ駅に隣接して道の駅があるのです。行ってみましょう。
道の駅と津軽二股駅
中にはお土産物屋とレストランがあります。他にお客さんはほとんどいなく、また店員さん同士で楽しそうに談笑してらっしゃったので、話しかけるような雰囲気でもありませんでした。食事はゆっくりできるのでいいと思いますよ。大きなハエが飛んでいて気になりましたが。
また道の駅のすぐ裏が津軽線・津軽二股駅です。災害により現在は不通となっています。錆びた線路、自然に還りかけているような場所もあり、長らく列車が通っていないことを実感させます。
奥津軽いまべつ駅から見下ろした奥津軽いまべつ駅・道の駅・津軽二股駅の位置関係です。真ん中が道の駅、そのすぐ右が津軽二股駅、その横、少し高いところに貨物列車の走る線路、そのさらに右が北海道新幹線です。道の駅の左下、大きな白い建物は駐車場です。
奥津軽いまべつ駅を「脱出」
迎えの新幹線がやってきて駅に別れを告げます。他にも乗車するお客さんがいました。
何か観光する場所があるわけでもない、山の中ではあるがそこまでの絶景というわけでもない、道の駅などがあるので特に秘境というわけでもない、でも何もない。そんな駅なのではないでしょうか。
なんだそんな駅、クソつまんねえ、時間と金の無駄だ。そう思われても不思議ではありません。しかし、面白そうだ、行ってみたいと思う人も一定数いると思うのです。「何もない」「やることがない」けれど、面白そう、楽しそうだと思えるかが、旅に向いているかどうかを表す気がします。旅は快適な場所に行くことではありません。私はまた行ってみたい場所だと思いましたね。むしろ、ものすごく面白いと思います。面白い理由ですか?わかる方にはわかるはずです。