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「冬こそJR」は嘘?JR北海道は雪に弱いのか?

鉄道・航空・バス

かつてJR北海道は、自社のCMや広告において「冬こそJR」という標語を使っていました。

冬は、吹雪や凍結などにより自家用車は危険、バスも遅れる、でもJRなら悪天候時でも定刻で走るので安心。冬こそ車やバスではなくJRの列車を使いましょう!という意味と解釈できます。

しかし最近では、大雪になるとJRはすぐ運休になり、その運休が長引くこともしばしば。2022年には、札幌圏で1週間ほど列車が動かなかったこともありました。このことから、一部からは「冬こそJRは嘘だったのか?JR北海道はやる気があるのか?」という声もあがっているようです。確かにいくら悪天候の多い北海道とはいっても、大雪のたびに運休になるのでは、公共交通機関として信頼できないと思ってしまうのも無理はないでしょう。

では、もう「冬こそJR」ではなくなったのか?JRは雪に弱くなったのか?その理由は?について考えてみます。

もう「冬こそJR」ではない?

北海道の冬には、暴風雪や大雪がつきものです。ある程度悪天候により列車が運休するのは、仕方のないことではあります。

ところが、路線バスも高速バスも動いているのに、JRだけ運休、またもっと酷いケースだと、晴れ渡った日なのに、JRは2〜3日前に降った雪の除雪が追いついていないため運休、というケースもあります。私も、JRが動かない時に高速バスに助けられたことがありますし、他の交通機関よりも運休率が高いことは否めないでしょう。

冬季に確実に移動したい場合は、JRよりも高速バスを選んだ方がいい、ということは結構正しかったりします。

ちなみに、冬季において一番信頼のおける交通機関は、「宿からの送迎バス・送迎車」の類です。次に高速バスなど。路線によりますが、その次に飛行機やJRとなるでしょう。

これも余談ですが、札幌から新千歳空港までJRで行って新千歳空港から飛行機に乗る場合、新千歳からの飛行機が飛ぶかどうかよりも、札幌から新千歳までのJRが動くかどうかを心配した方がいい、とはよく言われます。

なぜJRは雪に弱くなった?

いや、かつてはJRだって、猛吹雪の中を疾走していたじゃないか。なぜこんなに雪に弱くなったのか、という声もあるでしょう。これについて幾つかの観点から考えてみます。

JRが雪に弱くなったのではなく、雪が強くなった

メインと考えられる理由がこれです。JRが雪に弱くなったのではなく、近年、雪の質が変わってしまったのです。

かつて、北海道の雪といえば、水分量の少ない軽い雪でした。風が吹けば簡単に舞う軽さで、雪合戦で雪玉を作ろうとしてもまとまらず、一生懸命なんとか形を作って投げようとしても、雪玉はすぐに壊れ、粉雪のように宙を舞うだけ、というような雪質です。このような雪質の場合、列車が走れば線路上の雪は簡単に飛んでいきます。JRは、このような雪に対しては強く、大雪の時でも雪を跳ね飛ばしながら列車を走らせられるのです。これが、かつての「冬こそJR」の姿です。

しかし現在、地球温暖化の影響なのか、雪質が大きく変わっています。湿性の重い雪が降るようになってきたのです。雪合戦の雪玉は簡単に作ることができ、ボールのように投げられるような雪質です。このような雪は、JR北海道が今まで経験してこなかったタイプの雪であり、除雪に苦労を強いられるのです。大量に湿性の重い雪が降ると、そこに列車が突っ込んだら立ち往生してしまいますから、時には人力も使って重い雪を除かなければなりません。

JRがかつてよりも雪に弱くなったのは、雪がパワーアップしたため、という側面がかなり強いように思います。

雪の降り方が局所的になった

次にこれ。かつては雪は全道で満遍なく降っていたのに対し、最近ではほとんど降らない地域とドカ雪が降る地域に分かれています。その「ドカ雪地域」が、ローテーションでやってくる感じです。今回の低気圧では岩見沢、次の低気圧では富良野、といった具合です。そのためドカ雪が降る地域に一回当たってしまうと、もう対応できないほどになってしまうのです。

JRの安全への意識が上がった

かつてよりも安全への意識が上がったということも挙げられます。昔は利用客の利便性のために頑張って列車を動かす、という意識もかなりありましたが、最近では列車の立ち往生などへの反省から、「危ないと思ったらすぐ列車を止める」という意識が根付くようになってきています。以前よりもJRが慎重に、比較的早い段階で運休を決めてしまうのは、「安全性」において批判を受けたJR北海道が、それを反省して安全を守ろうとしていることの表れでもあります。

他にも理由はありそうですが

他にもJR北海道の社員数の減少を理由に挙げる人もいるでしょう。昔と違って人手が足りないから除雪が間に合わないのだ、という意見です。それも一因かもしれませんが、JR北海道は発足当時に比べ大量の路線が廃止され、駅も少なくなり、列車本数も減り、設備もスリム化しています。鉄道網の規模が圧倒的に小さくなっているのですから、社員数が減っているのは当然のことです。

JR北海道を責める前に

JR北海道が雪に苦戦している理由を考えれば、度重なるJRの運休も、そこまでJRを責められないという考えが浮かぶのではないでしょうか。実際JRは我々の見えないところで、夜通し除雪に取り組み、列車を動かすために雪と必死に戦っています。考えてみれば、首都圏の電車なんてちょっと雪が降っただけで運休や大幅遅れになります。JR北海道は普段からかなりすごいことをしているんですよね。

我々にできることは、しっかりリスクヘッジをしておくことです。JRが動かないときに備え、バスなどの代替手段をあらかじめ調べておくこと、宿の送迎バスを積極的に利用することが大切です。また大幅な遅れや立ち往生に備え、お茶やスナックを持ってバスや列車に乗り込むこともお忘れなく。

そして万一運休で足止めを喰らったときは、「なるべく大きな駅で待機」が原則です。「行けるところまで進む」のは厳禁です。行けるところまで進んでしまうと、本当に何もないところや、代替交通がない小さな駅で立ち往生するリスクがあります。無理に進もうとしないで、なるべく大きな街で、他の交通手段のチェックや場合によっては宿の確保を早めに行っておきましょう。

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