宗谷岬。北海道のてっぺん。旅をする人なら、誰もが憧れる場所ではないでしょうか。
でも、だからこそアクセスは悪そうだし、冬は寒そうだ、と言った心配をする方も多いでしょう。時間を潰せる場所はあるの?そして、なかなか行ける場所ではないからこそ、せっかくの見どころを見逃した!なんてことがあると本当に勿体無いです。この記事では、北海道旅行初心者でもわかりやすいように、宗谷岬への行き方、観光案内と、見逃してはいけないポイントを徹底的に説明します。この記事では、皆さんが自信を持って宗谷岬を制覇し、宗谷岬マスターになれるようサポートします。
注意:宗谷岬と稚内は遠い
まずはこれ。よく稚内の観光地として宗谷岬が挙げられるわけですが、宗谷岬と稚内は距離にしておよそ30kmです。レンタカー等で行くなら、道は走りやすいので30分ほどで行けてしまいますが、公共交通で行くとなると稚内市街から宗谷岬へのバスというのは非常に限られており、1日わずか4便ほどしかありません。そしてそのバスも、稚内駅から宗谷岬まで50分ほど要します。
というわけで、JRやバスで行こうという場合、宗谷岬というのはかなり到達が難しい場所なんですよね。基本、宗谷岬観光だけで半日を要します。「わかった、車で行けばいいんでしょ」と思うかもしれませんが、冬は道路が凍結し、車の運転がかなり難しくなりますから、冬季に訪問するのはかなりハードルが高いです。
やっぱり最果ての地だけあって、そう簡単には行けないのです。
冬季の宗谷岬訪問を検討されている方へ
そういったことからもわかるように、宗谷岬の観光シーズンは夏で、ほとんど夏しかありません。冬は伽藍としています。稚内の冬というのはとにかく風が強く、暴風雪等が多発します。交通機関もかなり乱れます。稚内空港の就航率なんて冬季には6〜7割にまで落ち、JRだって1週間くらいずっと運休、みたいなことがザラにあります。冬にはまさに「陸の孤島」になる可能性があるのが稚内なのです。
したがって、初心者の冬季の稚内訪問は、基本的におすすめしません。ある程度上級者になってきてからにすることをおすすめします。
宗谷岬の観光スポット
日本最北端の地の碑
まずはここ。日本最北端の地の碑は、宗谷岬のシンボルですよね。この碑が立っている場所が本当に岬の突端に位置し、ここに立てば誰もが「日本でいちばん北にいる人」になることができます。

すらっと空に向かって尖った姿が特徴的なこの碑ですが、北極星の一稜をモチーフにしています。北海道というのは開拓使の時代から「星」が一種のシンボルマークのようなところがあり、まさに北海道のてっぺんに相応しいモニュメントです。
「日本最北端の地」の文字の上にあるのは「N」を模ったもの。North(北)を表しています。


間宮林蔵の像も、宗谷岬の象徴の一つです。「樺太の探検家」として知られていますね。


弁天島と平島

見ている人は少ないですが、日本最北端の地の碑から見て北西側に、小さな無人島が見えます。これは「弁天島」という島で、トドが大量に上陸する島として知られています。そしてまたもっと見にくいのですが、その左側には「平島」という小さな島があります。

弁天島と平島。この2つの島を夫婦とするアイヌの民話もあります。
日本最北の〇〇
この宗谷岬周辺にあるものは、だいたい「日本最北の」が枕詞につきます。

「日本で一番北の食べ処」。日本最北の食堂ですね。

「最北の宿」もあります。

さらには「日本最北のトイレ」。

こんなのにも「日本最北端自販機」と書かれているのです。
柏屋

駐車場の横に、「柏屋」という一際目立つ建物があります。ここが宗谷岬の(唯一の)お土産物屋さんです。宗谷岬でしか見ないようなお土産や、「日本最北端到達証明書」なんてものも売られており、お土産を見るのもなかなか楽しいはずです。
しかし、ここ柏屋をわざわざ「観光スポット」として紹介しているのは、それなりの理由があります。単なるお土産物屋さんではないのです。店の奥の方にあるので、気づかずに帰ってしまう方も多いのですが・・・

小さな看板で、「流氷館入口<無料>」とあります。小さな流氷館ですが、マイナス15度を体験できる場所なので、夏に来た際はぜひ体験すると楽しいでしょう。


中には「本物の」流氷も展示されています。鹿とかアザラシは本物じゃありませんからご心配なく。夏に軽装で入ってみてくださいね。
宗谷岬公園
宗谷岬から、歩いて階段を上ったところに「宗谷岬公園」があります。ここも必ず訪れておきたいスポット。色々と見所があるのですが、まず見たいのは「宗谷岬灯台」。岬といったら灯台は必須ですよね。

あれ、意外と小さい?なんて思うかもしれませんね。

こちらは「祈りの塔」。大韓航空機墜落事件の遭難者の慰霊と、平和への思いが込められています。

こちらは「世界平和の鐘」。隣には「子育て平和の鐘」があります。

宮沢賢治の文学碑もあります。


そんな中、公園の中は普通にエゾシカが散歩していたり、草を食べていたりします。エゾシカの糞がところどころ落ちているので歩く際はお気をつけて。


宗谷岬周辺の観光スポット
以上が宗谷岬の観光スポットですが、宗谷岬はその周辺にも観光スポットがいくつかあります。宗谷岬に行ったならぜひ併せて行ってみたい観光スポットをご紹介しましょう。
白い道
まずは「白い道」。宗谷岬周辺の観光地としては代表的なものです。

白い道の向こうに望む利尻富士。

貝殻が敷き詰められた真っ白な道。この道の風景が写真映えするだけでなく、宗谷丘陵らしい風景も見られます。特にたくさんの風車が回る姿は、まさに宗谷丘陵といった感じです。

白い道は必ず車で!車以外では行けません!
白い道に行く際は、必ず車で行ってください。車以外の手段はありません。公共交通の類はありませんし、宗谷岬から徒歩で行ける距離でもありません。基本、坂なので自転車も厳しいでしょう。白い道は道路幅がかなり狭いです。
必ずスタート地点(起点)から入ってゴール(終点)から出ること!
これがかなり大切なのですが、写真を見ていただければわかるように白い道は幅員が狭いです。一応、すれ違いもできますが、それなりに観光客がたくさんくるので基本一方通行がルールです。必ず白い道(スタート地点)に向かい、そこから白い道に入り、白い道(スタート地点)から入って、白い道(ゴール地点)から出るようにしましょう。どちらがスタートでどちらがゴールかわからない方は、道路の東端がスタートで西端がゴールなので、お間違いのないように。ほぼ全ての車がこの向きに走るので、逆走してしまうと迷惑になってしまうかもしれません。
午前中が順光!
ここに載せている写真は午後の逆光の時間帯なのですが、写真に適しているのは午前中です。白い道の写真で最も有名な構図は上に載せた「白い道の向こうに望む利尻富士」の写真ですが、この写真が午前中だと順光で、真っ白な道と真っ青な海、そしてその向こうに聳える利尻富士という風に、綺麗に映るのです。
写真映えを気にする方はぜひ午前中に。でも逆に言えば、午前中の方が観光客が多いですから、逆光でも空いていた方がいいという方は午後を狙うのも悪くはありません。あくまでも「白い道+海+利尻富士」の3コンボ写真を撮るときに午前中の方がいいというだけで、そのほかの写真が順光か逆光かは撮影者の裁量ですから、別に気にしないという人もいるでしょう。
宗谷丘陵
宗谷丘陵は、あまり観光客は多くない場所です。まず「宗谷丘陵」という観光地があるわけではなく、この辺一帯を「宗谷丘陵」と呼ぶというだけです。

広い丘陵に、無造作に立つ風車。私はかなり好きな風景で、この地域の象徴のように捉えています。冒頭にもちょっと触れましたが、ここ宗谷地方は、特に冬に強風が吹き荒れる場所です。そのために風力発電が盛んなのです。
この風景が見られる場所は、地図上でいうとここ。ぜひ訪れてみることをおすすめします。
ちなみに、地図上には「宗谷丘陵駐車帯」という場所もあります。
一見こちらの方が宗谷丘陵の象徴的な景色が見えそうな名前ですが、こちらからはあまり風車を近くにみることはできません。その代わり、丘陵の向こうに大海原を望むことができます。

宗谷丘陵らしい地形と、その向こうに見える青い海。美しいです。まあ前者と後者、比べろと言われたら個人的に好きなのは、前者の風車の風景ですかね。荒涼とした大地に回る風車は、本当に美しくて、気持ちよくて、大迫力の風景です。
宗谷丘陵の観光地情報は、訪問者が少ないためか、ウェブ上で探してもあまり載っていない印象がありますが、この二箇所のスポットを覚えておけば十分宗谷丘陵を満喫できると思います。
まだまだ「穴場」感のある宗谷丘陵の景色ですが、個人的には北海道内でも指折りの景色だと思うので、お時間のある方はぜひ。
宗谷岬観光の所要時間は?
宗谷岬だけを観光する場合
この記事で紹介したように、「宗谷岬周辺の観光スポット」を含めずに宗谷岬だけを観光する場合、所要時間はおよそ1時間程度でしょう。最北端の碑はみんな写真を撮りたいのでシーズンには列ができることもありますし、宗谷岬流氷館に行ったり広い宗谷岬公園を散策したりするには、サクッと見るにしても1時間は見ておきたいところです。宗谷岬公園はかなり広いので、公園でちょっとのんびりしたり鹿の写真を撮ったりしたいのであれば1時間半くらいは見ておくといいかもしれません。
宗谷岬周辺のスポットを併せて行く場合
この記事で紹介したような周辺の観光スポット、白い道+宗谷丘陵の2箇所の展望スポットの計3箇所を、宗谷岬に加えて行く場合、+2時間程度見込む必要があります。宗谷丘陵に行かずに、白い道だけ追加で行くならば+1時間半くらいでしょう。白い道も、距離的には短いですが、ところどころ車を止めて写真を撮ったりしながら進む方がほとんどでしょうから、このくらいの時間を見込んでおく必要があるでしょう。