2022年8月8日、長万部(おしゃまんべ)町の飯生(いいなり)神社境内で突如として巨大水柱が現れました。全国ニュースでも報道され、衝撃だった方も多いのではないでしょうか。
当時もその位置はGoogleマップに掲載され、2023年現在でも、「長万部巨大水柱跡」として掲載されています。
地面から噴き出す水は高さ30メートルにもなり、当初は噴出の原因も不明でした。何もないところから突如噴き出したのです。のちにこの場所は、以前石油資源などの採掘のために井戸を掘った場所であることや、噴き出す水が温泉水であることがわかりましたが、はっきりとした原因特定はされていなかったように思います。
周辺住民にとっては、水の噴き出す轟音で夜も眠れなかったようで、大変厄介な存在でした。水柱に囲いを作り、防音対策を取ろうとしたところで、水柱は止まったのです。それが9月26日。水柱が現れてちょうど50日目のことでした。
長万部駅から水柱までは、徒歩20分ほどでした。函館線山線の踏切、飯生神社の鳥居、そしてその奥に水柱が見えます。この距離でもはっきりと、水柱の音が聞こえます。これは住民の方は眠れませんね。
境内に入ります。鳥居の左側に水柱が見えるのがわかりますでしょうか。木の高さを飛び越えて、上まで水しぶきが上がっていることがわかります。少し雲と被って見えにくいですかね。
鳥居をくぐって左側の道に、人だかりが見えました。やはり見物に来ている人も多いようです。少し前に見物客の路上駐車が地元住民の迷惑になっているとして問題になりましたが、この日はそのような車はなかったようでした。見物客のマナーが少しは改善されたのは、地元の方の地道な働きかけによるものでしょうか。
すごい迫力です。大分・別府温泉の地獄めぐりにある竜巻地獄のようなイメージを持っていくと衝撃的でしょう。水の噴出もずっと同じ水量が出ているわけでなく、不規則なリズムで轟音と共に噴き出します。こんな水の音は聞いたことがありませんでした。噴水みたいなものでしょうって?いや、全然違うんですよ全然。もう水の勢いもリズムも音もド迫力なのです。まるで地鳴りのように音が響き渡り、自然の息吹を感じるというか、自然のマッスルを感じます。
※音が入っています。音量にご注意ください。
少しは迫力が伝わるでしょうか。これ、高さ30メートルですからね。
この迫力に、神社の境内ということもあって、神秘的な雰囲気すら感じます。現実離れした目の前の光景には、すごいとしか言いようがありません。
水柱には必要以上に近づけないよう、立ち入り禁止の柵がしてあります。しかしそれを無視して入っていく中年の観光客もいました。地元警察の方が注意していましたが、入るなと書いてあるのに意図的に柵を乗り越えてズカズカ入っていってしまう人がいるのですから、地元の方も大変です。
わかりますか。水柱周辺には、ドローンが飛んでいました。何かの調査目的なのか、撮影目的なのかはわかりません。それでもかなり長時間、激しく動き回っていたので、仮に撮影だとしてもメディア用とかではなく、調査のためのものだと思います。
神社の境内の水柱を見にきたのだから、お参りくらいはしていくのが礼儀でしょう。しかし、水柱だけを見て帰る人が大半でした。
水柱にはあれだけ人が集まっていても、神社の境内はがらんとしています。無料で水柱を見て、お参りもしない観光客がたくさんいたら、神社としては不満を持っても良さそうなものですが、そんな気配は全くありません。本当に心の優しい方達によって守り抜かれてきた神社なのでしょう。
神社を出発し、長万部温泉の方へ歩いてみることにします。奥に水柱が、手前に一般住宅があります。水柱は住宅にこれほど近い位置だったのです。
水柱から少し歩くと、長万部温泉です。先述したように、水柱の水は温泉水でした。水柱の噴出原因は不明でしたが、この長万部温泉が多かれ少なかれ関連していることは間違いないのではないでしょうか。