函館に、「立待岬(たちまちみさき)」という岬があります。断崖絶壁の岬で、津軽海峡を望むことができます。
立待岬ってどんなところ?
立待岬は、「有名観光地」とまではいえないかもしれません。絶景スポットなのですが、函館の中心部からは少し距離があるのと、函館は他の観光地が強すぎるので、割と「知る人ぞ知る名所」という印象がある場所です。
冬季(概ね11月〜3月)は立待岬までの道が通行止めとなり、車ではアプローチできなくなります。徒歩では訪問可能なのですが、冬に訪れる人は極めて少ない場所です。一方で、立待岬はハマナスの花が咲く名所として知られており、6月がそのシーズンです。
立待岬へは、市電の終点、谷地頭電停から徒歩20分ほど。決して訪れにくい場所ではありません。
また、立待岬に向かう道の途中には「石川啄木一族の墓」もあり、こちらも併せて訪問したい場所です。
冬の立待岬って?
と言うと、気になるのが立待岬の冬。「道路が通行止めになり、徒歩でしか訪問できない」といっても、「なるほど、じゃあ徒歩でなら行けるのか」と前向きに考えるか、「冬は閉ざされた場所になるのか、そんな場所を歩くなんて怖い」と考えるかは人によって違うと思います。
実際に、立待岬は市電の電停からも遠くなく、そこまでアクセスが悪い場所とは思えません。というわけで、冬の立待岬、どんなところなのか実際に行ってみました。
立待岬 訪問記
季節は1月。まずは市電の終点、「谷地頭」電停に降り立ちます。電停を降りてしばらくは、谷地頭の住宅街の中を抜けていきます。

立待岬に近づいてくると、不穏な看板が増えてきます。

「冬期間通行止めのため立待岬へは行けません」。でもこっちは徒歩ですから、気にせずズカズカと進んでいきます。ツルッと滑らないように気をつけながら。

やがて通行止めゲートが見えてきました。あそこから先はもう徒歩しか許されない領域です。

そしてゲートに到着です。ゲートの横にあるわずかな隙間をすり抜けて、立待岬方面へ向かっていきます。

道の両側には墓地が並びます。海はすぐ隣。冷たい海風の中を歩いていきます。通行止めのゲートを抜ける前に比べ、明らかに路面は滑りやすくなっており、慎重に歩みを進める必要がありました。

中には、「石川啄木一族の墓」もありました。ここも訪れる人が多い場所の一つです。石川啄木と函館の関連については、「函館市文学館」でその詳細を学ぶことができます。興味がある方は、ぜひそちらも訪問され、石川啄木の生涯と作品に触れてみるといいでしょう。

さらに坂を登っていきます。

坂の頂上に着くと、海が見えてきました。いよいよ立待岬です。

誰もいない立待岬に着きました。

広い駐車場があることから、シーズンには多くの観光客で賑わうのだな、ということを想像させます。それでも冬はまさに「冬眠」という言葉がピッタリくるように、静まり返っていました。

立待岬売店「はまなす」。そうです、シーズンにはハマナスが咲く岬として有名な場所なんですよね。そんな名前を冠した売店は、開いているはずもありません。


立待岬までの道は雪がかなりありましたが、岬の部分にはほとんど雪がありませんでした。岬付近は、風が強いために風に流されて、雪があまり積らないのでしょう。


まさに「北の岬」といった雰囲気です。函館市電の電停から歩いて来れる場所とは思えないような、自然の畏怖を感じさせるような光景が広がっていました。


大自然を感じる場所ですが、振り返れば函館の街並みが見えます。改めて、立待岬の雰囲気に反して、こんなに人里に近い場所だったのかと思ってしまいますね。

ほら、アップにすると見やすいでしょうか。ここから見る函館の街並みも美しいですね。
冬の立待岬、行くべき??
冬の立待岬、行くべき?
というわけで、冬の立待岬を紹介しました。まあ、行った感想としては、立待岬は冬は完全にオフシーズンなので、良い子は行くものではない場所、という感じでしょうか。
冒険が好きで、生粋の旅好きであれば、こういった誰もいない場所は面白いと思います。魅力的なスポットであることに間違いはありません。ただ普通の観光客が来ても楽しい場所か、というとやはり違うとは思います。冬に立待岬を楽しむのは、中上級者向けではあると思います。
冬の立待岬も、確かに市電の電停から歩ける距離であるため、気楽に行ける観光地のように思えるかもしれませんが、やはり「プチ冒険」感はあるでしょう。特に途中の道は滑るので慎重に歩く必要があり、通常よりも時間を要します。また、冬は立待岬に着いたからといってこれ!といった見どころがあるわけではないので、「何もない」ことを楽しめるマインドを持っていない限り、通常の観光では避けるのが無難かもしれません。
冬の立待岬に行く際の注意点
とは言っても、冬に行っても特別危険な場所ではないと思います。道に迷うリスクも遭難するリスクもほとんどありませんし、スノーシューズとかも不要でしょう。ある程度ちゃんとした雪国用のブーツなら、冬の立待岬は十分踏破可能です。天候さえ問題なければ、過度な心配は全く必要ありません。
一方で、普通の運動靴では近づかないほうがいい場所です。やっぱり冬は滑ります。特に、立待岬への道のりは坂道なので、油断していたり、靴がしっかりしていないと本当に滑ります。冬の立待岬に行かれる場合は、ちゃんとした靴で行ってくださいね。
また、市電の谷地頭電停から立待岬までは徒歩20分ほどと書かれているものが多いですが、あくまでこれは夏のお話。冬は滑らないようにゆっくり歩く必要があるので、片道40分、岬の見学時間も含めて往復90分は最低限見込む必要があるでしょう。
ぜひ、気をつけて、冬の立待岬を楽しんできてください。帰りに谷地頭温泉に入浴して、冷えた体を温めるのがおすすめです。