4度目の宗谷岬
ノシャップ岬を出て、次に向かうのは宗谷岬です。
昨日の宗谷丘陵に行く前、日の高い時に1回、宗谷丘陵に行ったあと、夕暮れ時に1回、そして深夜に1回ということで、この旅で3回も宗谷岬を訪れているわけですが、またもや宗谷岬に向かいます。
もちろんまた宗谷岬に来たのには理由があって、今日は宗谷岬にあるお土産物屋と、宗谷岬の食堂に行こうということになったのです。雨の日の使い方としては賢いでしょう??
マイナス15度
というわけで、宗谷岬のお土産物と言ったらここ、最北観光株式会社の「柏屋」に行きます。
ここ、基本は土産物屋なのですが、面白そうなものもあります。
「流氷館入口」と。入ってみます。
中ではマイナス15度を体験できます。
こんなところ、厚着で入っても面白くありませんが、今は夏。当然薄い半袖です。極寒を体験するにはもってこいです。
中には(おそらく)本物の流氷と、鹿、アザラシのモニュメントがあります。なにしろ寒いので「ここには3分しかいられない」というウルトラマン状態で、写真撮影等をテキパキとこなします。いやあ、当たり前ですがめちゃくちゃ寒かったですね。
最北の食事
次に向かったのは、宗谷岬すぐのところにある「食堂最北端」。せっかくだから日本で一番北の食事処を名乗る場所に行ってみようではないですか。
はい、残念でした。
というわけで、2番目に北だと思われる食堂をトライしようと。2位じゃダメなんですか??
ところが2番目と思われる、食堂最北端隣の食堂も今日は休業。これではお昼ご飯にありつけません。
しかし、我々は気づいてしまったのです。「日本で一番北の食事処」よりもまだ北に、本当の最北の食事処があることを。それは先ほどのお土産物屋さんの北側に・・・
これですよ、これ。まあこの形態だと、食堂とは言えないですね。それがこの店が「最北の食事処」を謳えない理由だと思います。書かれている通り「休憩所」の扱いなのでしょう。でも飲食物を売っている店としては、間違いなくここが最北です。「食堂最北端」が休業していたおかげで、「真の最北の食事」にありつけたのですから、なかなかツイているではありませんか。食堂最北端はまた今度来た時にリベンジですね。
注文したのは、ホタテとすり身汁。売り切れのメニューも多く、結局これにしました。店内にも飲食できるカウンターがあったのですが、店内はハエが飛び交っていたので、屋外でいただくことにしました。
食事としてはこんな感じ。確かに昼食としては貧相ではありますが、最北の海岸線に座って、最北の風を浴びながらの食事は格別です。味ですか?こういうものが美味しくないわけがないじゃないですか。絶品でした。
最北の無人駅
宗谷岬からは、稚内方面へ戻り、そこから南下します。
稚内を出たら、日本海沿いを走ります。「オロロンライン」と呼ばれ、利尻富士を望める風光明媚な道路として知られています。
途中で豪雨に遭遇しました。車の中にいる時でよかったです。
今日は天気がイマイチなので、利尻富士も雲に隠れていますね。でも、その存在は十分確認できます。
さて、抜海(ばっかい)駅にやってきました。最北の無人駅、最北の木造駅舎として知られるほか、広大な原野の中にあることから最果ての旅情を感じさせる駅として、旅人から人気の駅です。
駅前通りには普通に鹿が歩いています。北海道では割と普通の光景ではありますが、驚く人も多いでしょう。
本当に風情のある駅ですね。木造駅舎がいい味を出しています。
オロロンラインをさらに南下
抜海駅を出て、オロロンラインをさらに南下します。途中、こんなところがあったので立ち寄ることにしました。
「浜茄子の咲きみだれたるサロベツの砂丘の涯の海に立つ富士」。季節になれば、この海岸線にはハマナスの花が咲くのでしょう。そして天気が良ければ、ここから利尻富士も拝めるはずです。
今日は利尻島も礼文等も見えません。そしてすごい強風です。今日は朝から風が強いです。運がいいことに、外にいる時はあんまり雨に当たっていませんが、運転中には何度か激しい雨に襲われています。
灰色の空と灰色の海、そして強風、いつ激しい雨が降り出してもおかしくない空模様と、誰もいない大自然。自然への畏怖をも感じさせ、まさに「最果て」という感触です。近くにちょっとした展望台があるので、上がってみることにしました。
展望台の上も、もうすでに海が広がっていました。
展望台から海を眺めます。やっぱり小高いところに上がると、景色がいいですね。
天気がいいとあの辺に利尻富士が見えるはずなんだけどなあ。先ほどまでうっすら見えていた利尻富士の裾野も、雲に覆われて見えなくなってしまいました。
再び雨がポツリポツリと降ってきたので、撤収。
しかし、この強風ゆえか、雨だからか、オロロンラインを走っていても他の車をほとんど見ません。悪天候の日は、流石に海沿いのこんな道路を走る人などいないのでしょうか。
豊富温泉へ
さて、今日の宿は豊富町の豊富温泉にとってあります。今日宿泊するのは、ホテルではなくゲストハウス。予算の都合上ホテルにはしませんでした。
というわけで、今日は夕食が出ません。今夜の夕食は自炊します。
豊富町のスーパーで買い出し。スーパーに入る前はメニューすら決まっていませんでしたが、中に入るや否やあるものに惹かれ即決。
そして豊富町の中心市街を出て、山の方へ車を走らせます。豊富温泉は豊富町の中心部から結構離れており、山を上がっていく必要があります。道中、轢かれた鹿が道路に横たわっていました。本当に運転には十分気をつけなければなりません。ここで暮らす野生動物のためにも、自分のためにも。
今日宿泊するゲストハウス「豊富温泉アズマシーナ」に到着です。できたばかりの新しいゲストハウスで、非常に綺麗。そして湯治客もターゲットにしているため、長期滞在も可能です。キッチン、洗濯機など長期滞在に必要なものもしっかり揃っています。それでいてホテルのように歯ブラシなどのアメニティもあったりします。素晴らしいです。
実はここ、アズマシーナの駐車場で事件がありました。友人が駐車の際、レンタカーを縁石にぶつけてしまったのです。外から確認したところ、車に傷がついてしまっていましたが、保険にもしっかり入っているのでおそらく大きな問題はないでしょう。返却の際に手続きが必要になると思われるので、明日、営業時間になったらレンタカー会社に電話をして指示を仰ぎたいと思います。
温泉と宴会
まずは温泉へ。ここはゲストハウスなので当然温泉設備はありません。近くにある「ニュー温泉閣ホテル」に日帰り入浴をしに行きます。
豊富温泉は「日本最北の温泉郷」とも言われますが、本当にすごいのはそこではありません。豊富温泉の泉質は非常に珍しく、石油分を含んでいます。こんな温泉は日本ではここ豊富温泉だけ。世界的に見ても豊富温泉を含めて2つしかありません。それだけ珍しい泉質なのです。特に皮膚疾患に効果があると言われ、「美肌の湯」「奇跡の湯」などとも呼ばれています。
温泉の後はクッキング。ジンギスカンを作ります。鹿肉はここ豊富産、もやしは名寄産、トマトは下川産、にんじん、ピーマンも北海道産。なんと全て北海道の食材で作るジンギスカンです。そしてジンギスカンのお供は池田町のワイン。全て北海道産という幸せすぎるジンギスカンになりました。
鍋の中はどれをとっても北海道産。天国のようです。
鍋をつまみながら中学・高校時代の思い出話に花を咲かせます。ちなみにその話はビデオで撮って同級生に公開したりなんてして。すごーく呑気なことをやっています。とても事故後の態度ではありませんね。
食後には豊富温泉名物の「とよとみカタラーナ」を。美味しかった。窓の外は1時間雨量22mmの強い雨のようです。
(つづく)